第12話 仲間 その①

 暁は千夜に入団した。自身の体内に機獣を打ち込み、機械人間となった。


 帝国との戦争で数多の手柄をあげた暁は千夜の中でも実力者のみしか入れないという特殊部隊配属になった。暁は特殊部隊で帝国の実力者の首を次から次にとった。


 「なあ、お前。」


 暁が男の口元に黒刀を押し付けて言う。


 「ギュスターヴという男を知っているか?」


 「し、知らない。何だよ? グハッ。」


 

 「おい、暁。」


 「なんですか? シャルル隊長。」


 「お前の活躍はよく聞いている。見事だ。だが、自らの仲間をも巻き込むような無茶な特効はさすがに容認しかねるぞ。」


 シャルルが言う。


 「俺はただ、俺の最善を尽くしてるだけです。」


 「それは分かっている。だが、戦争というのは個人での戦いではない。戦争で勝つには必ず仲間がいる。仲間意識を持てとは言わんが、少し周りを見れるようになれ。焦ることはない。お前の強さなら、いずれ仇にはたどり着けるだろうよ。」


 シャルルは去っていった。


 「……仲間、か。」


 暁は黒刀を見つめる。



 しばらくしてのことだった。ブラッドの小隊と明仙教の戦いの様子の記録。それが暁への任務だった。


 なんてことないただの偵察任務だと思っていた暁であった。その考えは戦場に着くまでの間であった。


 「なんだ、これは?」


 辺り一面は更地になっており、至るところに機獣の残骸が落ちていた。


 「……あいつか。」


 巫女服姿に中性的な顔立ち。そして空を飛んでいるその少年を暁は見つめる。


 「あれ、新しいおもちゃが来たのかな?」


 「あいつは、確か明仙教の、風音零。」


 「そういう君は、知ってるよ。その黒刀、黒薔薇の暁だよね。」


 零が言う。


 「こりゃあ、偵察だけじゃ済まなそうだな。」


 突如として起きた強風に暁は吹き飛ばされる。


 「この風、機獣の力だよな。零の能力って訳か。こりゃあ、めんどくせえわな。」


 暁は風の軌道から外れた場所を駆け抜ける。


 「なんだ、この人の動き。人間の動きとは思えない。そういう能力かな? いや、そういうわけでもなさそうだな。」


 零は暁に向けて直接風を放つ。


 「おっと、耐えられるかな。」


 暁は強風に身構える。


 「動かないでください。」


 突然暁の背後から声が聞こえる。


 「誰だ? どっかで聞いたことあるぞ。その声。」


 「話しは後です。まずは私の機獣の能力であなたが風に飛ばされないようにします。ある程度風がやんだら、私の合図と共に突撃を。」


 男が言う。


 男の能力で暁は風に飛ばされなくなる。


 「なんだ? あいつ。急に飛ばなくなった。」


 零が首をかしげる。


 「今です!!」


 暁は零に向かってジャンプする。


 「これは、まずいかな?」

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