第7話 普通 その①

 「私たち八雲一族は戦闘や殺しを主な活動としてる。強ければ強いだけ高い地位に立てる。私くらい強ければトップに立てると思うんだけど、男尊女卑が激しくてね。だから私はこうして下っ端やってるって訳。」


 「ひどい一族ですね。」


 「ああ、本当にな。戦うことしか認められていない私の夢。それは、普通に生きることなんだ。」


 風月が言う。


 「散々人を殺しといてこんなこと言うのも何だがな、一回でいいから、普通の生活ってのを体験してみたい。暁。君も普通に生きてみたいんじゃないか?」


 「……。」


 「まあまだ分からねえか。何がともあれよ。私は一族を抜けて、普通に生きてみたい。その為に金を集めてる。お前も協力してくれ。」


 「……わかりました。」


 「よし、いい子だ。それじゃ怪我がよくなったら早速任務だ。」



 それから暁は風月と共にいくつもの任務をこなした。風月の後ろを着いていく内に、暁は風月に近い動きができるようになった。


 鬼神と鬼人。2人は戦場でも名が知られ、恐れられるようになった。


 

 「暁。聞いてくれ!」


 風月が暁の部屋に飛び込むように入る。


 「なんですか?」


 「私は、八雲一族を抜けることにする。」


 「それって、つまり!?」


 「ああ。暁。お前も来てくれるか?」


 「もちろんです。」


 このまま風月に着いていけば、暁自身も変わることができると思った。


 「聞き捨てならんな。風月。」


 数十人ほどの部下を連れた長い髭に和服の男が部屋の戸を開ける。


 「当主……。なぜ、ここに?」

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