第3話 初陣

「君もよく知る機獣って言うのは人を襲う悪い化け物だ。機械でできていて体の形状は人に近い。右手のコアが弱点だ。そして機獣を体に宿して戦う機械人間がいる。弱点は機獣同様。そしてどちらもクラスDからクラスSまでの階級に分けられている。ここまではいいかな?」


 風月が暁に言う。


 「……。機獣って言うのは、悪者なんですか?」


 「何を言ってるんだ?」


 「いや、もし機獣によって救われる命があるとすれば。」


 「機獣によって救われる人間なんて、死人も同然だね。」


 「そうです、か。」


 暁と風月は戦場に着く。


 「これは……。」


 「インヴェスト帝国とブラッドという盗賊団の戦いだ。」


 「よくぞ、来てくださりましたな。風月殿。」


 気だるげな表情をした長身の男が現れる。


 「依頼なんでね。この人は私たちの雇い主。ブラッドの幹部の1人 カロンさんだ。」


 風月がカロンを指差す。


 「お連れさんもいるようで、まあいいです。今回頼みたいことは、イデア三幹部の1人、スカー、オーウェン、ライトのいずれかの暗殺です。」


 カロンが3人の写真を見せる。


 「わかった。行くぞ、暁。」


 「え、もうですか?」


 「当たり前だろ。他に何すんだよ。行くぞ。」


 「はい、はい。」


 暁は渋々風月に着いていく。混沌に包まれたビル街の路地を駆け抜ける2人の後を15の足音が追尾する。


 「暁、敵だ。」


 風月は自身の持っていた短刀を暁に投げ渡す。


 「戦え、暁。」


 「戦い方なんて、わかりませんよ。」


 「んじゃ、私を真似ろ。」


 風月は黒刀を鞘から出す。そして追手の間を獲物を追う大鷹のようにくぐり抜けコアを破壊していく。


 「あっれれぇ、君、才能ありそうだったんだけどなぁ。君を連れてきたのは間違いだったかなぁ?」


 風月は舌をだし暁をおちょくる。その反面、左右にわかれたスプリットタンが異様な空気を醸し出す。


 「だったら、連れてこないでください。」


 暁が溜め息がてら言う。


 「そんなんじゃモテねえぞ。」


 風月は暁の手を引っ張る。


 「え、ちょっと、待ってください!」


 「暴れない。目開けときなよ。」


 風月は片手に暁を抱えた状態で敵を切り裂いていく。


 「どうだった?」


 「そう言われましても……。」


 「……。暁、警戒しろ。手練れが来てるぞ、あれはここ最近名を上げているベノム部隊だ。」


 風月は前の集団を指差す。


 「俺は足手まといでは?」


 「足手まといにならないように頼むよ。」





 「いきなり本陣襲うなんて、総統も無茶言うよな。なあ、ブルータスさんよぉ。」

 

 オルカのマントを羽織ったオッドアイの男が不満げに言う。


 「……。よかったなディノ。変更だそうだ。」


 黒の毛皮で首元を覆ったオルカの男が答える。


 「あぁ? 今度はなんだってんだ?」


 「八雲風月が出た。手練れのベノム部隊が敗走とのことだ。」


 「おぉ。そうか、風月か。こりゃあ楽しくなってきたな。」

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