第2話 殴り合い

集落の小さな一室で暁は目を覚ました。


 「おはよう。数日間も寝たきりなんて、もう駄目だと思ったよ。」


 風月が暁に言う。


 「あなたは?」


 「八雲風月。旅人みたいなものね。各地をまわって殺しから護衛まで何でも引き受けている。もちろんただでは引き受けないけどね。」


 「そんなあなたが、俺に何の用ですか? 」


 暁が尋ねる。


 「私の手伝いをして欲しい。それだけよ。」


 「断ると言ったら?」


 「んー。殴ってでも従わせるね。」


 風月は暁の前に拳をつき出す。


 「殴り合いなら負けませんよ。」


 「いいね。じゃあこうしよう。私に一発でもいれられたら君は私を好きにしていい。いれられなかったら私は君を好きにする。」


 「いいですよ。」


 暁も拳を構える。 


 

 「私の勝ちだね。」


 風月は倒れ込んだ暁に言う。


 「それじゃあ、早速だけど君にも私の任務を手伝って貰おうかな。君、戦争って知ってる?」


 「見たことは、ないです。」


 「わかった。じゃあそこに連れていってあげるよ。」


 

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