第8話万事解決?

「『ラブドール』!」


 俺が魔法を唱えると目の前に俺が出現する。やはり思った通りだ。全く同じと説明欄には書いてあったからな。


「と、豊和君がもう一人…」

(ふ、2人の豊和君から迫られるシチュエーション…萌えるかも♡)

「…そんな魔法がっ!?」

(これは一人作って貰えれば…じゅるり…楽しめるのでは…)

「にぃに…がもう一人いるワン…」

(マーキング…マーキングするべきかワン?)


 フッハッハッハッ…みんな驚いているみたいだ!


「さあ、ナンナ。魔法で作った俺が人魚族の危機を救ってくれる!ここにある卵にかける様に指示を出すから俺達を地上へと返してくれるか?」


「「「何で!?」」」


「何で?じゃないんだよっ!何が悲しくして自分が掛けてる所を見ないといけないんだよっ!どんな罰ゲームなんだよっ!」


「よ、予習になる気がするし…」


「そんな予習いらないからな、ルナ?それに…」


「それに?」


「お、お互い…そういうのは…手探りで確かめていけば…いいだろ?」


「はぇっ!?た、確かに!?」


「…だろ?」


「…と、豊和君♡」

「…ルナ♡」


 2人の距離が縮まり、ルナを引き寄せ…


「他所でやれ!バカップルかっ!?」

「私達の存在を忘れてるワン…」

「ホントなので〜す…」


「「っ!?」」


 いかん…2人だけの世界に入ってしまうところだった…。付き合いたてのカップルが己の世界に入るのが分かった気がする…。



***


 あの後、俺達は地上へと戻って来た。ナンナが俺達を地上へと送ってくれた際には無事と言っていいのかは分からないが人魚族の危機を救えた事をここに報告するとしよう。頑張ったな、もう一人の俺。


 そしてそこから東へと向けて旅立つ事になった。


 ―そこまでは良かったんだけど…


「た、溜まってるよね?」

「そろそろ限界だよねっ?ねっ?」

「私の中に…欲望吐き出したいと思わない?」

「私…我慢出来ないかも…♡」

「そろそろ…しよっ?」


 ―等、ルナが積極的になってしまった…。ただでさえイチャイチャしたくなるのに…俺はいつまで貞操を守れるだろうか?いや…そりゃあ…俺だって男だし、好きなルナを欲しいとは思うけど…のめり込んでしまいそうだから我慢してるんだ…。


 リアとクルルは魔法でもう一人出してくれとせがんでくるし…。流石にそれは、ねぇ?



 まあ、そんな感じなんだけど順調に旅は進み、ようやく次の村が見えてきた。次はどんな種族の人達と出会うのだろうか?どんな事が待ち受けているのだろうか?本当に楽しみだ…。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る