第8話南へと向かう

 クウネルさんと別れた俺達は犬人族の村から南へと向かう事にした。


「ここからは地図でしたか私も見た事がない。みんな気を付けてな?」


 流石ベテラン冒険者といった所だなリアは。締めるべき所は締めてくれるか。


「了解。お姉ちゃん」

「クルルも了解だワン」

「俺も了解!リアの言う事をちゃんと聞くから頼むね?」


「…本当か?」


「旅に関してだけだからね?」


「ちっ…」


 危ない危ない…。すぐにリアはそっち方面に持っていくから…そこも気を付けておかないと…。


「そういえばクルルは戦えるのか?」


「クルルつおいつおいワン!」

「犬人族は確か…戦闘も得意な種族だった筈だよ」

「そうだな…。戦闘力に換算すると53万といったところか…」

「えっ、何だとぉー!?フ○ーザの戦闘力って異世界でも共有出来る話題なの!?」

「フ、フ○ーザが何かは分からんが相手の戦闘を褒める際にはこう言った方がいいと伝わっているぞ?」


 あ~…あの女神の仕業か…。ちょっと頭のネジが1本足りなかったみたいだし、余計な知識を広めたんだろうな…。


「クルル…鑑定を使ってもいいか?」


「鑑定って何ワン?」


「それを使うとクルルの能力等が分かるんだ」


「にぃにに任せるワン!」


「ありがとうクルル!『鑑定』!」


********************


・クルル


[種族] 犬人族


[age] 12


[職業] 


・ベルセルク


[Lv]  15


[HP]  300

[MP] 0


[スキル] 


獣化けものか 犬の姿になり攻撃と素

          早さが倍増。


・ワンワンストライク 爪で切り裂く



[個人情報]


身長138

体重35

B67w48H65


・豊和が大好き


[称号]


・豊和の忠犬



[性感帯] 


耳 尻尾 お腹 


********************



 あれ…これって…。クルルにレベルで負けてるんだがっ!?しかも獣化って完全に犬になれるというのかっ!?そ、そんなことがあっていいのか!?こ、これは…全てをモフれるのでは?


「…流石クルル…だな」


「ホントっ?にぃに♪」


「見られて恥ずかしい場所が一つもないなんて…」

「私も別に見られても構わんが?なんなら見てもらった方が興奮するがっ?」

「お姉ちゃんは黙ってて!」


 2人は相変わらずだな…。クルルが即戦力なのは本当にありがたいな…。守ってあげないとと思っていたがこのままでは守られそうな感じだな…。


「ルナねぇ…リアねぇ…」


「どうしたクルル?」


「クルル…もしかして」

「ああ…何か近付いて来てるな」


「…人間の匂いワン」


「数は…5」

「盗賊かなお姉ちゃん?」


 何で…みんな気配とか分かるんだ?長年の戦いの勘という奴か?俺には全く分からないのだが…。


 3人共既に戦闘態勢に入りルナは弓を、リアは剣を…クルルは四つん這いになり尻尾は逆立ちグルルルッ言っているな…。俺はぼっーとしているけど…。



***


「すでにあたし等が来る事を分かっていたのか?」


 俺達の前に堂々と5人が姿を見せた。みんな顔に傷がある女性達ばかりだ…。体格もかなりいいな…。


「気配で分かるだろ?」


 リアが答える。


「奴等やるみたいですね…お頭?」

「取り敢えず荷物や有り金を置いていけば命は助けてやるぞ?」

「そうだそうだ!」


「お前等こそ引くなら今のうちだぞ?私は容赦しない…」


 リアが殺気みたいな物を込めて相手に言い放つ…。ああいう時のリアはホントカッコいいな…。


「お姉ちゃん一人で大丈夫だから…豊和君はこっちに…」


「えっ?ちょっ…ルナっ!?」


 俺はルナの胸に顔を埋める形に…。何事かと思って恥ずかしがっていた俺の耳に聞こえて来たのは戦闘音と…人の断末魔だった…。


 この時ルナは俺がモンスターが死んだ時の事を思い出し気を使って人が死ぬ所を見せない様にしてくれたんだろう…。だって…俺は断末魔を聞いただけでルナに抱き締められながらプルプルと震えていたのだから…。


 

 

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