第2話sideメルティーナ

「に、人間って何て不便なのかしら…。喉は渇くしお腹は空くし…おまけに排泄物は出るし…ブツブツブツ…」


 私は女神(※元)メルティーナ。ちょっとしたミスのせいでゼウス様のお怒りを買い人間にされて私が作った異世界へと送り込まれた。ミスで死んでしまった男の嫁になり子を育み天寿を全うしろみたいな事を言われたわ…。


「…せめて…それならあの男の元に直接送ってくれればいいのに…。私の世話は誰がするのよー!」


 とにかく何処かの街の近くは有り難かったのだけれど、食事にお金が掛かるなんて知らなかったわ!ご飯を注文してお腹いっぱい食べて店を出ようとしたら、


「お、おい!お金!お金払ってないぞ!」


「お金?私はここを作った女神よ?」


「…頭おかしいのか?とにかくお金持ってないんなら無銭飲食だ!役人に突き出してやる!」


「はあっ!?役人って私を捕まえるってこと!?」


「当たり前だろ!何言ってんだあんた?」



 それを聞いて全力で逃げたわ。思った以上に疲れるし…長い距離追い掛けてくるし…走ったらまたお腹は空いてくるし…。街を離れると川を見付けた。ガブガブ水を飲んだ迄は良いけど…お腹が痛くなった…。な、なんかお尻?から出そうなのは何かしら?くっ…


「ああぁぁぁぁぁーーーーーーー!?」


 な、何か凄い音と共にいっぱい出たんだけど!?くさっ!?臭すぎる!?仕方なく着ていた服を脱ぎ川でゴシゴシ洗う。ううっ…何か泣けてくる…。どうして私がこんな目に…



 そんな事を思いながら早くもこの世界に来て3日が経過…。洞穴に寝たり、大木に寄り添って寝たり、拾い食いしたらまたお腹が痛くなるし…早くも死にかけてると思うのだけれど!?男に会う前にしんじゃうわよ~!?


ガサッ!


 何よ、今の音は?


「ガルルルルルルッッ!!!」


 物音と共に姿を現したのは犬?狼?確かそんな名前した生物に似ているモンスター…。


「モンスターなんか居る設定なんて作るんじゃあなかったわ~~~!!!」


 慌ててその場から逃走を図る。


「ガルルルッッーー!!!」


 回り込まれてしまった。絶体絶命のピンチ…。これ…詰んでない?詰んでるよね?

モンスターは私に襲い掛かり…


『貸しですよ…先輩?』


 光と共にモンスターの姿はなくなり、代わりに目の前に居るのは後輩のセイリーン。


「セ、セイリーーーーーン!!!」


 私はセイリーンに飛び付いた…。


『ちょっ…!?先輩!?臭い!臭いからっ!顕現中は人と同じ様に嗅覚もあるんだから離れて!!マジ臭いからぁぁぁー!!!』


「セイリーンセイリーンセイリーン!!!」


『と、とにかく離れて!!ハエもたかってるじゃないですか!?うっぷっ…。離れないと帰りますからね!』


 

******


「それにしても…どうしてあんたがここに?」


『ゼウス様からの指示です…。何も出来ないだろうから死にかけたら助け船を出すようにと…』


「…迎えに来てくれた訳じゃないのか…」


『…反省してないですね?』


「反省って何をよ?」


『そんな事じゃあ駄目ですよ?』


「……くっ…後輩の癖に…」


『はぁ~…私はもう戻ります…』


「私を見捨てるっていうの!?」


『…よく考えて下さいね?反省の意味を…。そして、排泄した後は、ちゃんと拭いて下さい。無銭飲食は駄目です!働いてお金を稼いで下さい!少しだけお金は持たせますけど考えて使わないとなくなったらもうあげませんから…。それに…体も洗って下さい。先輩臭すぎて…彼に会えても抱いても貰えませんよ?』


「ちょっ!?ちょっと待って!?」


 セイリーンの体が透けていく…。


『よ~く考えて下さいね?』


 その言葉を最後に…完全にセイリーンの姿が消えてしまった…。


「……反省…か…」



 それからはセイリーンが言った言葉の意味を私は考える様になった…。

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