第7話異世界2日目
目を覚ました俺はリビングへと向かう。リビングにあるキッチンではルナが料理を作っていた。美味しそうな匂いが食欲を刺激する。料理を作るルナと話をしていたんだけど、話を聞いて俺が驚いた事といえばもう翌日の夕方になっていた事。どうやら寝過ぎてしまった。もしかしたら新しい体に慣れていないのかもしれない…。
とにかく仕事探したり色々するには夕方からじゃあ出来る事が限られている。そう考えた俺はルナに迷惑じゃないか聞いてみる事にした。
「今日もお世話になっても大丈夫?迷惑じゃない?もし…迷惑なら言ってね?」
「全然!全然迷惑なんかじゃないから!寧ろいつまででも居てくれて良いんだからね?」
「いやいや…幾らなんでもそんなにお世話になる事は出来ないよ。ただ…もう少しだけお世話になっても良いかな?何しろ無一文だし…だからまずはお金を稼ごうと思ってるんだ。そしたら家賃という訳ではないけど少しは返せると思うし」
カラン!カランカラン…
突如ルナが持っていたお玉を床へと落とし、こちらへと距離を詰めて来た…。あれっ?俺はまた何か余計な事言ったのか?
「ははははは、働くの!?豊和きゅんが!?そそそそ、そんにゃあ…」
何でそんな絶望したような表情を浮かべてるんだルナは?
「だって、ただでお世話になるわけにはいかないでしょ?男として…」
「か、稼ぐって…アレだよアレ!?男性が稼ぐって方法は1つしかないんだお!?」
語尾がだおなんて久し振りに聞いたな…。
「え~と、何かマズいの?」
「マズイと言うか…だ、だったら…」
「ん?」
「私が買うから!幾ら?幾ら必要なの!?」
「いや、ホストじゃあ無いんだからね!?」
「大丈夫!ホストって意味は分からないけどお金ならあるんだから!これでもA級冒険者だしっ!私が豊和君を買うから!必要ならお姉ちゃんを質に入れるから!」
「うぉーい!?お姉さんを質に入れたら駄目だろ!?あんなにお姉さんを褒めていたのにお姉さんと何があった!?」
眠ってる間にホントに何があった?いつもクールで出来る女性って言ってたよね?それにそれはホストに入れ込む女性の典型的なパターンじゃね!?
そして突然、遠くを見つめるルナのその目には何か光る物と悲しさが宿っていた…。
「…豊和君…理想と現実って…違うね」
「マジで何があった!?」
「よお!起きたのか豊和?今日もあそこは元気か?」
「─このタイミングで誰だよ!?しかもあそこが元気って何だ!?─ってお姉さん!?」
変な事を言って来たのはリアさん…。しかも何気に気安くね!?いや、別に呼び捨てとかは構わないんだけど…昨日と違い過ぎない!?
「リアって呼んで!私はもう…自分を偽らないと決めたの!さあ、思う存分私の体を使ってくれたまえ!!!そして、豊和の性欲と言う名の欲望の全てをこのエロフの王にぶつけてくるがいいわ!全て受け止めてみせようではないか!」
「エロフって何だ!?突っ込みどころ多すぎるわ!!!それにその格好は何っ!?」
「…豊和君…気にしないで。居ないものとして考えてくれていいから…ねっ?」
「逆に気になり過ぎるわ!?お姉さんは何で童貞を殺すセーターを着てるの!?暴走族愛用の特攻服みたいに刺繍で童貞殺すと背中にそうほどこされているし、こっちの世界でも流行ってるの!?」
(元いた世界では何年か前に話題になってたけど…)
「これはエロフに代々伝わる…「そろそろ黙ろうか元お姉ちゃん?」あっ…はい…」
「それでね、さっきの話の続きなんだけどね豊和君…」
「えっ!?今の無かった事にするの!?」
「男の人が働くとしたら…お、大人の店しかないんだよ?」
「…何ですとぉぉぉー!?」
「…男性の数が少ないから、働けるなら…そのね…」
「男のアレを使えというわけだ!」
「黙っててと言ったでしょっ?」
「…すいません」
「…ちょっと待って。ルナはさっきA級冒険者と言ってたよね?」
「えっ…うん、そうだよ」
「私はS級冒険者だぞ?」
「S級の変態なだけだよね?」
「あっ…その通りです」
「俺が冒険者になって稼ぐのは…」
「「男性はそもそも冒険者になれない(よ)?
?」」
馬鹿な…。テンプレなら冒険者になってモンスター退治して…その素材を売って─とかするんじゃないの!?あの女神どんだけ滅茶苦茶な世界を造ったんだよ!!!
「ただでさえ少ない男性に危ない事はさせないってなってるの」
「なっにぃぃぃぃーーー!?」
「男は黙って!腰振りマシーン!!!」
「もう!お姉ちゃんが喋ると滅茶苦茶だよ!」
「クール ○コか!!」
「くっ…ルナが何時間かぶりに私をお姉ちゃんと呼んでくれた…」
「だから…そんな所で働かなくてもいいように私が買うと言ったの。男性はどうしても…性奴隷とかそういう扱いされてるみたいだし…」
「そうだったのか…。なら…俺は運が良かったんだな…。ルナみたいないい子に巡り合えたんだから…」
「そ、そんな風に言われると、て、照れちゃうよ?」
「ルナがメスの顔してるぅぅぅぅぅー!?」
「お姉ちゃん?」
「すいません!余計な事を言いました!」
これからの事をもっとよく考えないといけない…か。俺はそんな風に思ったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます