第6話色々あった1日の終わり…

 ルナが作ってくれた食事を頂いた後、来客用の部屋を借りて今日は休む事にした。異世界に来るわ、ゴブルンというモンスターに襲われそうになるわで相当疲れていたんだろう。最早…超眠い…。それにしてもルナが作ってくれたご飯は美味しかった。エルフ秘伝のスープと山菜の炒め物。あのスープは毎日でも食べられる位だ。また…明日も…食べたい………


 ─そう思いながら俺は意識を手放した。


「す~…す~…す~…」





******

~??~



「そろそろか?」


 食事を終えて三時間が経った…。ターゲットは完全に眠りの世界へと誘われている事だろう。くっくっくっ…。食事の際に一服盛ってやったのだ!それは丸1日以上眠ってしまうエルフ族秘伝の超強力な睡眠薬。男を手に入れる為には手段を選ぶなかれ!ルナが作ってくれたこのチャンス活かしてみせる!


「さあ、行こうか…。陵辱の果てにある快楽の沼へ…(じゅるり…)」


 私は静かにターゲットの部屋へと向かう。こういう時はアレだアレ。抜き足…差し足…忍び足…。自分でも言うのはなんだが完璧な歩き方。


 ─ターゲットが寝ている部屋の前に辿り着いた。はぁはぁ…興奮し過ぎて呼吸が荒くなる…。今日私は真のエロフとなりこの世界に降臨するのだ…。


「さあ、ヤろうか」


 私はドアノブに手を…


「お姉ちゃんそこで何してるの?」


「…えっ?」


 恐る恐る声のする方へと振り向くと…


「お姉ちゃんそこは豊和君が休んでる部屋だと知ってるよね?それなのにしようとしてるのかな?かな?」


 ルナが笑顔でそう問い掛けてくる…。あの表情はヤバい!ルナが本気で怒ってる時だ。一度だけ見た事がある。そ、それにしても何故ルナがここに…!?い、いや、それよりもルナにも念の為盛った筈なんだがっ!?


「私がここに居るのが不思議なの…かな?」


「何故…だ?」


「それはね。この子が教えてくれたの…」


『私偉い?私偉い?』


「風の精霊…シルフ…」


 ルナの周りをヒュンヒュン飛んでいるのは体長10センチ位の風の下位精霊シルフ。ルナが契約している精霊。あの蝿野郎!!告げ口しやがったのか!?炎で炙ってやる…。あっ、蝿野郎が消えた。精霊界へ帰ったか!?


「最初は信じられなかったよ…。まさかお姉ちゃんが私に迄エルフ秘伝の睡眠薬を飲ませようとしているなんて…」


「…ルナもスープを口にした筈…だ?」


「口にした振りをしただけ…」


 そう言ったルナの表情は固い…。


「…そうか」


「お姉ちゃん何をしようとしていたの?そろそろ答えて!!」


 どうやら…ここまでか…。


「…くっくっくっ」


「…お姉ちゃん?」


「バレたら仕方ないわ。私は彼を美味しく頂こうとしていたのよ!私の下腹部がキュンキュンしているの!これは誰にも止められるモノじゃないの!ましてやルナ貴女にもね。あんないい男見て欲情しない方が無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!」


「お、お姉ちゃんの口数が多いぃぃ!??しかもそれって、ただのエロフじゃん!?」


「エロフ上等!」


「わ、私のお姉ちゃんがこんな…」


「ルナの前では…カッコいい姉を演じたかった…それも今日迄…かな」


「何を勝手な事を言ってるのお姉ちゃん!?しかも勝手に少しシリアス入れてるけど、やろうとしてる事は最低だからね?」


「もういい!私はエロフの王になるのぉー!ヤるったらヤるんだも~ん!産ませてよぉ~!私に彼の子を産ませてよぉ~!」


「ヤらせる訳ないし産ませる訳ないでしょう!?何言ってるのお姉ちゃん!?」


「何でだよぉぉぉぉぉーーー!!!」


「…豊和君…は…私のだから…」


 !?…何だと!?ルナのこんな表情初めて見た…。これは…まさか…


「…惚れたとでも言うのか?出会って短時間だろうにっ…」


「そそそ、そんにゃ事は分からにゃいけど…とにかく駄目にゃものは駄目にゃの!?」


 ニャンニャン語迄…。


「今日会ったばかりだろう?」


「とと、とにかく豊和君は駄目!」


「チョロインかっ!?」


「ちょっ…チョロイン!?失礼な!私はチョロくなんてないもん!」


「チョロインだろうが!?」


「…こうなったら…姉妹喧嘩なんて小さい時以来だけど…」


「…私と…やるというのか、ルナ?」


「…豊和君は私が守ってみせるんだから!」


 どうやら本気の様だ…。ならば、私は…


「…負けたよ。私の負けだ…」


「…えっ?」


「…これでもルナの姉だからな。ルナとは戦えない…」


「お姉ちゃん…。そんなの私だって…」


「だから…先っちょだけいいか?」


「駄目に決まってるよねっ!?」


「やだやだやだやだやだやだ!!先っちょ!先っちょだけで良いからぁ~!」




 その後…駄々を捏ねたのに縛られて放置された…。ルナの分からず屋めっ…。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る