第5話リア・メルスギル

 玄関が開いて入って来たのは褐色肌の妖艶なエルフ。ルナに…似ている?ルナの家に入って来たという事はルナが言っていたお姉さんだろう。


「…─ていいか?」


 俺の姿を見るなり一言目がそれだった…。何て言ったのかは聞き取れなかったんだけど俺は驚きが隠せない。何故なら殺気みたいなモノを感じたからだ。そりゃあ、変な奴が家に居て妹と2人っきりならそうなるか…。


「お姉ちゃん!殺気を引っ込めて!この人は敵じゃないから!落ち着いて!」


 やはりか…。妹が余程大切なんだろう。


「…どうして男がここに居る?」


「お姉ちゃん分かるの!?」


「…逆に分からない訳ないだろう?」


「うっ!?そ、そうなんだね…」

(わ、私は分からなかったんだけど…)


「…け、決してルナさんに手を出そうとしていた訳ではないんです!ルナさんに助けてもらって…」


「豊和君?ルナって呼び捨てでいいんだよ?」


「それ今言う必要あるっ!?」


「呼んで欲しいん…だもん」


 可愛よっ!?─って、今はそれどころじゃあないんだった!何とか誤解を解かないと!


「…そうか…察したよ」


 ん?今の流れで把握してくれたのか?


「…ルナの姉のリア・メルスギルだ。すまない…。私とした事が少ししまった様だ」


「豊和と言います。ルナさんに危ない所を助けて貰った次第です」


「…ゆっくりしていくといい。ルナ…私は風呂に入って来る…」


「うん…お姉ちゃんありがとう」


 リアさんはルナの頭を撫でた後、お風呂場へと向かった。やはり妹が可愛くて仕方ないのだろう…。


「ううっ…と、豊和君が居るのにお姉ちゃんに撫でられるなんて…恥ずかしいな…」


「気にしないでいいよ!お姉さんからしたら妹が可愛くて可愛くて堪らないんだろうし」


「お姉ちゃんちょっと過保護過ぎるところがあって…」


「大切なんだよ…ルナが…」


「っ!?」


「どうしたんだ?」


「豊和君が私を、たたた、大切って…」


「お姉さんの話してたよねっ!?」


「あっ、そうだった…。お姉ちゃん口数少なくてごめんね?」


「話変わるの早くねっ!?」


「いつもクールで出来る女性って感じだから…」


「なるほど…」


「お姉ちゃんに手を出したら駄目だからね?」


「出さないから…」


 助けて貰った恩人の姉に対してそんな事するわけないだろ?なのに、何故ルナは頬を膨らませて少しはぶててるんだ?分からん…。





******


~sideリア~



 家に帰って来て玄関を開いた瞬間に私の中の本能が感じ取った…。こいつは男だと…。まさかルナがに男を連れて来てくれるとはな…。つい、「ヤッていいか?」─と、ポロッと口から出てしまったが聞こえてなくて良かった。それに2人はどうやら勘違いしていたみたいだけどあれは殺気等ではない…。ただのエローラ(※エロ+オーラ)が溢れただけの事…。


 それも仕方がない事だろう。目の前に極上の男が無防備にまるで喰ってくれと言わんばかりに居るのだ。私は私を押さえるだけで精一杯だった…。だから私は足早へと風呂に向かい浴場にて一先ず発散…。そして私はになる。


「何あれっ何あれっ!?カッコ良すぎじゃない!?ルナが連れて来たって事は私の為よね?私の誕生日が近いから!そうに違いないよね?ヤッちゃえヤッちゃえ!って言ってるのよね?きゃっ…恥ずっ!?恥ずかしっ!?ででででででも、私も~処女拗らせちゃってるし~、私の褐色肌見ても嫌な顔してなかったし~、孕んで孕んで孕んでいいのよね?だよねだよね!きゃぴきゃぴ…。ここここ今夜早速寝室に行く?別の意味で逝く?きゃっ!何言ってるの私!お姉ちゃん、ルナの姉を思う気持ちに上も下も涙が溢れてくりゅぅぅぅぅぅー!ホント姉想いの良い妹なんだからっ!ルナ!私頑張りゅうぅぅぅぅうう!」



 風呂場でリアがこんな事を思っているとは豊和もルナも知らない。ましてや姉が性格(妹の前ではカッコ良くありたい)を偽っている事もルナはまだ知らない…。

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