エルフの美少女

第1話ここが…異世界…

「─こ、このクソ女神がぁぁー!って…あれっ?………ここは─」


 辺りをキョロキョロと見渡してみてビックリ!先程までの白い空間とは違い、深い森の中に俺は居るからだ。

 

 普通の異世界転生って転生先が赤ちゃんだったり、町の近くなんじゃないの?だってレベル1なんでしょ?こんなもの○け姫で見た様な深い深い森の中に放り込まれたら俺…軽く死ねる自信があるんだけど?チートなしだぜ?何の為の異世界転生なんだ?アレか?スローライフでも極めればいいのか?って、スローライフすら無理ゲーだろ…。


「と、とにかく…何の職業か把握しないと…どうすればいいんだ?念じるのか?『ステータスオープン』とか言えばいいのか?」


 ブンッ─と、目の前にタブレットの様な画面が現れた。どうやらテンプレ通りに『ステータスオープン』と言えばいいみたいだな。


「え~と、どれどれ…」



********************


金崎豊和かねさきとよかず


age 17


職業 色事師


Lv  1


HP  20

MP 20


スキル 鑑定Lv1 調合Lv1


魔法  ルブリカント


********************



「…何だ?このっ、色事師って職業は初めて聞いたけど…色々出来るって事か?全く分かんねぇーし、しかもステータスがヒットポイントとマジックポイントしかないし、どんだけ手抜きなんだつぅ~の!ホント駄女神めぇ…。でも、鑑定と調合は使えるか?おっ、ルブリカントと言う魔法も最初から覚えてるし、何気に名前がカッコいいな…。後は威力か…。どれ位マジックポイント使うのだろうか?もっと詳細は見れないのか?」


 詳細を、そう思った瞬間ステータス画面が輝き新たな情報が追加された…。標準装備にして欲しいよ…全く…。そして画面を確認。



********************


金崎豊和かねさきとよかず


[age] 17


[職業]


・色事師


[Lv]  1


[HP]  20

[MP] 20


[スキル] 


・鑑定Lv1 対象の性感帯を確認出来る

   

・調合Lv1 性欲剤を調合する事が出来る


[魔法] 


・ルブリカント 消費MP0


思い描く場所に好きなだけローションを出す事が出来る


********************



「あ…あ…あ、あのクソ女神がぁぁぁぁ!!鑑定も調合も使い方おかしいだろう!?そんなもの確認したり作ったりしてどうすんだよ!?それにルブリカントってカッコいいの名前だけじゃねぇかあー!!!好きなだけローションを出す事が出来るって何だよ!?ただ消費マジックポイントは0だけど、俺に芸能人ドッキリのローションスライダー用のローションでも出せとでも言うのかってんだ!色々おかしいだろう!?しかもこんな森の中からこんなクソみたいな力でどうやって街へ行けばいいんだよ?ずっとローション出し続けてその上を滑って行けばいいのかっ!?街に着いた頃にはヌルヌルで化け物と間違われるだろーよ!!?」



 はぁはぁ…。これでもかと思いの丈をぶちまけた…。ぶちまけたら意外にも少しだけ落ち着く事が出来た。そして気付いた。俺はとんでもない過ちを犯してしまった事に。


ガサッ…ガサッガサッ…


 こちらへと何かが近付いてくる。慌てて近くの大木の影に身を潜める。こんな場所であんなに大きな声を出したらこうなるのは当然だ。と、とにかく反省は後でするとして、どうにかこの場を切り抜けないと…。


『ギャッギャギャギャッギャギャ!』


 確認すると─モンスターだ。その姿は異世界や漫画に出てくるゴブリンを少し人間らしくして、ブラと腰巻きを着けたら、ハイ!出来上がり!って、言ってる場合か!?どうやらメスだと思う。さっきまで俺が居た場所で頻りに匂いを嗅いでいる…。鼻が利くのだろうか?


 もし、そうなら…マズい…。この場所から離れないと─


パキッ…………


 ヤベッ!?何でこんな時に落ちてる木の枝がへし折れて音がなるんだよ!?こんなテンプレ要らないんだよ?俺は慌ててゴブリン?が居る方とは逆の方向へと全力で駆け出した!



ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!



『ギャギャギャッギャギャギャッ!!!』



 ひぃぃぃ!!追い掛けて来てるのが分かる!待て、この野郎とかでも言ってるんじゃないだろうか?─どうするどうするどうする…。だんだん距離も縮まってきている感じがするし、こうなったら…


「誰かぁぁぁぁーーーーー!助けてぇぇぇ!

ドラ○モーン!!!」


 こんな森に誰か居るのか、助けてくれるのかは分からないけど、もう、これしか…。



ズシャァァァァ─


「…あっ…」



 これもまたテンプレ通りに何かに躓き転んでしまう…。慌てて立ち上がろうとするも、視界に入ったのは奴の足─。


 ─はい…終わりました。奴はもう俺の目の前です。座り込んだ俺の頭にベトついた何かが降り掛かる…。ふと…見上げると…奴の涎だ…。そうか…俺はここで殺されて食われるんだな…。短かったな、俺の異世界転生。


─奴は持っていた棍棒みたいなモノを振りかぶり…そして…。


「『疾風の矢シュタームアロー!!!』」



 凛とした感じの女性の声が聞こえたんだ。

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