第39話 準備
都心某ビル街に2人は降り立っていた。2人はそれぞれ清掃業者と、電気系統修理屋の制服をまとっている。
「じゃあまた後で合流しよう」
そう言って2人は別れ、それぞれ別のビルに侵入していった。
「どーもー電気修理に来た者です」
「電気修理?ちょっと待って」
「ビル上部の換気扇が壊れているとかで」
「あっそう、まぁ入って」
入口のドアが開くと、Aは帽子を深々と被り直しながら、
「どーもー」
と言い中へと入っていった。
中に入ったAは、そのままエレベーターで上層部を目指すためボタンを押した。
防犯カメラにはAの姿が映し出されている。
気にせず上層階で降りたAは、周囲の社員に気づかれる事もなく給湯室に入り、洗面台の裏側に何かをくっつけた。その後は何事もなかったかのようにそのフロアを後にした。
その後となりのビルにまた同じ手口で入り込み、上層部に小さい箱をくっつけた。それを連続で5つ行うと、さすがにAもタバコが吸いたくなり、火を付けながら相棒の帰りを待った。
30分経っても相方からの連絡はこなかった。少し心配になり、Bのケータイに電話をかけてみる。
「もしもし?大丈夫か」
「だから清掃業者ですって!」
「もしもし!?」
電話は切れてしまった。何かトラブっているのかもしれない。Aはタバコを急いで消し、ダッシュでBの元へと向かった。走り抜いた先にあった光景は、ビルの入口で言い合いになっているBと受付の女性の姿であった。
「何をしている!」
「入れてくれないんだ!」
受付の女性は怒鳴った。
「予約入ってないていってるだろ!」
「すいません、勘違いだったようです。引き上げます。ほらいくぞ」
Bは息荒く、受付に背を向けた。Aもそれに続いた。
「B、慎重に頼むぞ」
「分かってるさ、でも…」
「何個設置できたんだ?」
「…3個」
「上出来じゃないか。明日はもう10個ほど設置するつもりだから、今日の所はここまでにしよう」
そうして今日は仕事を終え、ステーキ店でステーキを食べた。
「今回は大規模な爆発になるね」
「そうだな。だがこんなの序章だ」
「もっとすごい事考えてるってこと?」
Aはステーキを頬張りながら、言った。
「当たり前だろ、フィナーレと言ってもいい。ここまですれば俺は満足だってくらいのものだ」
「わあ、すごいなあ。楽しみだね」
「だがまずは今回の爆破だけに集中しないとだめだからな。とにかく目立っちゃだめだ」
Bはコーラをガブ飲みしながら、
「うん、うんこれからは気をつけるね」
と、笑顔で返した。
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