第30話 微動
ABCの3人は、アジトの中でテレビを見ていた。
「犯人の行方は今だわかっていないとの警視庁の発表です。なお喫茶店に籠もった犯人は、従業員の隠しカメラで鮮明に映し出されており、解明を急いでいます」
「従業員もグルだったのか…でも警察のデータベースに僕の名はないからね」
そう言ってBは呑気に瓶のバニラコークを飲んでいる。
「しばらくは大丈夫そうだろう」
Aはビーフジャーキーを食べながら冷静に呟いた。そしてCが立ち上がり大きな声で言った。
「皆さん!自分は泊まり込みでラーメン屋で修行をすることにしました!なのでアジトからは離れます!」
AはCの両肩に手を置いた。
「そうかそうか、そこまで本気なんだな!応援しようじゃないか」
「欲しい物があったら何でも言ってね〜」
AとBはCを祝福した。Cは準備も万端らしく、すぐさまアジトを後にした。
「さて、どうしようか…」
「ラーメンって聞いたらお腹がすいてきちゃったよー」
「新たな食堂を探すか!」
2人はアジトを離れ、新たな食堂求めのんびり歩きながら探すことにした。
アジトを中心としてグルリと回る感じだ。30分ほどして、ソーキそばやタコライスなどの立て看板がある食べ物屋らしき屋敷を発見した。
「ここいいんじゃない?」
「っぽいな。入るか!」
入口は空いていて蝶々が舞っている。
「あのー」
「何かね?」
気づくと主人がすぐそばにいた。
「何か…食べれますかね?」
「めしやじゃからの、食べれるさぁ」
2人に笑顔がこぼれる。
「じゃあ食べてゆきます!」
「はいさい!」
Aはモツがはいったソーキそば、Bはタコライスとコーラを注文した。
「豚足とか、豚の鼻とかあるよ。A食べてみてよ(笑)」
「ば、馬鹿言うな!お前にぴったりだろう!お前が食え!」
ふざけていると、あっという間にメニューがやってきた。
Aが乱暴にすする。
「う、うまい!」
「タコライスもおいしいよー!」
「よかったさぁ」
美味い沖縄料理を堪能した2人は、今後もここを食堂にすると決め、ゆっくりとアジトに帰還した。
腹ごしらえの済んだ2人は、射撃訓練を開始した。
Bの上達具合は目を見張るものがあった。元々視力も良いらしいし、センスの問題だろう。このままでは追い抜かれてしまう、Aは冷や汗をかいた。
その後の2人はダラダラして過ごした。Aも作業室にこもる気分には今はなれなかったので、テレビを観たりビーフジャーキーをしゃぶったりしていた。
Bはノートパソコンで「抜き」の作業をしながらあくびをした。
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