第13話
普段、麻里亜が好んで読むタイプの作品ではない。どちらかと言えば男性が好む内容だが、女性が主人公であるとロマンス色が強く女性に人気のある作品もあるがそれらは明確にジャンルが分かれている。
女性に人気のあるライトノベル系の作品と言えば、まず第一に、主人公とヒロインの感情や成長が重要な要素となり、感動的な瞬間やドラマが描かれる。登場人物たちの心情描写や心の葛藤が読者に共感を呼び起こすこと、また、幻想的な要素や異世界設定が組み込まれ、読者を引き込む魅力も求められる。
勇の作品も主人公こそ女性だが、彼女を守護する周辺の戦士たちの戦う姿を描くシーンが多い。
武侠ものと言ってもいい。武侠小説は、武術や冒険を中心にした小説ジャンルで、主人公が様々な武道技術を駆使して戦い、冒険に挑む物語である。このジャンルは、戦闘や武技、冒険が中心であり、キャラクターの成長や試練が物語に焦点が当たる。
作家・東上武こと東方勇の小説作品のタイトルは「異世界で勇者様のお供をしています」だった。これだけでも麻里亜が接点を持つことは無いのだが、彼女が思いつくと検索する幾つかの言葉があり、それがたまたま彼の作品との出会いを引き寄せたのだった。
それ以来、彼の本を何度も読み返している。そして、作家本人に逢いたいという気持ちを抑えることができなくなっていた。
こういう時、ファンはまずクリエイターやタレントのSNSをチェックするものだ。彼のSNSアカウントを探すと新刊が発売される際になど告知をしているが、日々の事件などに触れることもなく交友関係も窺いしれない。あまり熱心に使ってはいないようだ。
彼女は決意したのだった。直接本人に逢いに行くことを。そして彼の作品を読んでみて感じたことを率直に語りたいと考えていた。
さて、問題はどうやって逢おうかということだった。
ファンレターを書いても返事が来ることを期待するのは難しい。
SNSから直接、メッセージも送ることができるが、たとえ身分を名乗ったとしても著名人は警戒するろうし、一般ユーザーはまず詐欺を疑うだろう。ならば、どうしたらいいか。
直接会うにはどうしたらいいか? 直接逢ってこそ、彼は彼女の言葉に耳を傾けてくれるのではないだろうか?
「そうだ!これだ!」
麻里亜はさっそく行動に移したのだった。
彼の作品の出版元にファンレターと手紙を送ることにした。その内容は以下である。
まずは自己紹介から始めることにしたのだった。自分の素性を明かすことで相手に信頼してもらいやすくなるし、彼の作品に対しての思いなどを率直に伝えることができる。
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