絶体絶命?!①
足の裏で地面を蹴るたびに、視界に映る人工の光が上下に揺れる。犬のむき出しの爪がアスファルトを蹴る音が異様に大きく聞こえ、尻尾の先に生温かい息がかかった。
ノアは狂ったように足を動かし、無理矢理速く走ろうとするが、身体は私の気持ちにこたえてくれない。
どんどん、追いかけてくる犬との距離が縮まっていることを感じる。
とにかく、いつも食べ物をくれる人間の家まで行かないと。
流石に犬たちも家の中までは入ってこないはずだ。
というか、大きさからして猫ドアをくぐれるわけがない……。
ノアはただひたすらその人間の家を目指すことだけを考えて走った。
その他にも、逃げ込めるところはあるのだろうが、他のことを考えると走ることに集中できず、今にも追いつかれてしまうような気がした。
そもそも、今日はいつもより遠くに来すぎてしまっていたため、どこに逃げ込めばよいのかもよく分かっていなかった。
犬の足音が急速に近づいてきて、後ろ足を、犬の牙がかすめた。
ひやりとして動転した私はよく見もせず、とっさに道の角を曲がった。
角を曲がったところで顔を上げて前を見た私は、背筋が冷たくなるのを感じた。両脇には人間の建物が立ち並ぶごく普通の路地だ。
だが、その先は石の塀で行き止まりになっていた。
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