お月見日和~月のうさぎに誘われて~

夢月みつき

「白狐のコンと月うさぎのムーン」

お月見日和~月のうさぎに誘われて~登場人物紹介


白狐のコン

地球生まれの白狐の男の子。

ちょっと、天然?


月うさぎのムーン

月生まれの月うさぎの女の子。

口調がちょっと、男の子っぽい。

🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛


白狐しろきつねのコンは、十五夜のお月見の日に空に浮かぶ、まん丸の満月を見上げました。

黄色の月には、餅つきをする、うさぎの影が映っているように見えます。

それをじっと見つめるコン、彼は月を見ながら月見団子の台座三方さんぼうにお団子をのせて、ススキも用意して、お酒の代わりに甘酒を用意しました。




「今日は晴れてるし、お月見日和だなぁ」

コンは、柔らかい草の上に座ってのほほんと、お月見を始めました。

ススキが涼風に揺れて、コオロギなどの、秋の虫達の音色が聴こえてきます。




一方、ここは月に住む。月うさぎのムーンのお家。

今日は、絶好の地球見日和。

こちらも、美味しそうなつきたてのお餅や甘酒を用意して、青く輝く地球を見ていました。


「見てるだけじゃ、つまらんねぇ。」

ムーンは、自家用の小型宇宙船に乗って地球に降りることにしました。


コンは、お月様を見てお団子を一口、かじっていました。

その時です。何と、満月の方から黒い影がどんどん、大きくなって来て近くの森に宇宙船が着陸したのです。

「んぐ~!なんだ、なんだ!?」


コンはお団子がのどに詰まりそうになるのを、甘酒で流し込むと

怖いもの見たさもあって、その方向へと急いで駆けて行きました。


すると、うすきねがくっついたような形の銀色の宇宙船が、眩い光を放っていました。

草むらには、渦巻きのミステリーサークルも出来ています。

コンは、恐る恐る茂みから様子を伺います。


そのうちに、宇宙船のハッチが開いて、月うさぎのムーンが出て来ました。

「どっひゃあ~ん!?宇宙人だ~!」

コンは、その場から逃げようとしました。

しかし、腰が抜けて立てません。


ムーンは、コンを見つけて近寄ってきました。

「ダメだー!僕は、宇宙人にさらわれて実験されるか、牛のようにキャトルミューテレーションされるんだーー!!!僕の狐生、オワタ―」と早口でまくし立てて、あわわと慌てふためき、真っ青になっているとくだんの宇宙人が、コンの手を掴んで立ち上がらせてくれました。



「大丈夫?何も、取って食やあしねえから。逆に傷つくよ?そんな反応されっと。OK?」

ムーンは、苦笑して、困った顔をしながら赤い目を涙で潤ませる。

そんな可愛らしいムーンを見て、申し訳なさそうに眉尻を下げて謝るコン。

いや、狐に眉毛は無いけど、目尻も下がっている。


ムーンは、親指をグッと立ててにこりと笑う。うさぎに親指は…ない。

「OK、OK。許してやんよ。私は、月うさぎのムーン。おまえは?」

「僕は、白狐のコンだよ。よろしくね。ムーンちゃん?えっと、女の子なんだよね」

と聞いてみる。すると、ムーンはまた目を潤ませ、コンの頬をギュッとつねった。


重ね重ねかさねがさね、ゴメンナサイ…」

コンは、深々ふかぶかと頭を下げて謝る。


「ムーンちゃん、地球に遊びに来たの?」

「月から地球見してたんだが、つまらんから、降りて来たんだ」


「そうなんだ、僕はお月見してたんだよ。これから、一緒にしない?」

コンが聞くと、ムーンは上目遣いで「ナンパ?」と聞いた。


コンは、小首をかしげて不思議そうに問い掛ける。

「ナンパってなぁに?」

「知らなきゃいいんだ。じゃ、お前の家行こうかな」



〇+〇+〇


ムーンは、宇宙船からつきたてのお餅を持つと、コンの家へとお邪魔をして二人は、お月見を始めた。


コンとムーンは、月を見上げながら突き立てのお餅とお団子、甘酒を食べる。

その時、コンがムーンに言った。


「月が綺麗だね。」


その瞬間、ムーンの白い肌がみるみる真っ赤に変わった。

「おまっ、それどうせ、意味知らんのだろ~?」

ムーンがハハハと、渇いた笑いをしながら聞くとコンは、ムーンの方を見てにこりと笑い。


「月が綺麗だね」ともう一度、伝えてからムーンの頬にちゅっとキスをした。

「おまえと見るから綺麗なんだよ…」

ムーンは照れながらそう、応えた。



-おわり-


🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛

最後までお読み頂いてありがとうございます。

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