第49話

家のチャイムがなったため、私は急いでバッグを持って玄関まで急ぐ。


「お待たせ!わざわざありが・・・」


言葉が止まってしまった、玄関前にいたのは確かに翼ではあった。しかしその翼はいつもの翼では無かった。


「なんだよ・・・」


「髪の毛・・・」


「似合わないだろ・・・」


「そんなことない・・・ただいつもと違うからびっくりしたけど・・・」


いつもの後ろでまとめている髪の毛は今はもう無く、ショートになっていた。長かった前髪も切っており、ワックスで上に上げているのか彼の顔はより良く見えるようになっている。サイドはツーブロックにもなっており、爽やかさがプラスされている。


「それに今日の服装とその髪型すごく合ってるよ、夏らしいしスッキリしてるからかっこよさが増してるって感じる!」


今日の彼は黒スキニーとオーバーサイズの白シャツに、ワンポイントのアクセサリーしか着けていないため、すごく好青年だ。


「それならいいけどさ・・・凛の今日の服装も髪型も可愛いよ」


「そうでしょ!この髪の毛お母さんにやってもらったの!可愛いよね」


「・・・だな。じゃあ行くか」


「うん!」


翼は何か言いたげだったが、ひとしきりお互いの服装に触れてから、私たちはやっと玄関から動き出し駅に向かい歩き出す。


「そういえば今日はなんで私の家まで迎えに来てくれたの?喫茶店集合でも良かったのに」


「あー、最初に行こうと思っているお店は凛の家からの方が近いからな。それに駅にこの暑い中外で待たせるわけにもいかないから、家まで迎えに行った方が良いって思っただけだよ」


「それはそれは・・・ありがとうございます・・・」


なんて気遣いだろう・・・


「それにしても今日は本当に暑いな・・・」


服をパタパタと仰ぎながら、翼は暑そうにする。

確かに今日は天気予報で言われていた気温よりもだいぶ暑く、まだ昼前だというのに太陽は燦々としている。


「聞いて良いのか分からないけど、その髪の毛なんで短くしたの?」


「んー、別に特別な理由はないかな、前の髪型だと鬱陶しくてムカつくこともあったから思い切って短くしただけだよ。でも昔にショートだと似合わないって言われたこともあるから正直少し後悔もした」


「似合わないわけがないじゃん!翼はかっこいいんだからどんな髪型も似合うよ。ていうか私は翼がどんな髪型していても気にしないし」


翼は誰が見ても顔がいいと言われる外見をしているため、ちょっとやそっとのイメチェンではその美貌が崩れることはないだろう。それに私からすれば、翼のことは内面を見ているため外見なんて二の次だ。


「凛にそう言ってもらえて助かるよ。切った当日は親にもめちゃくちゃびっくりされたからさ・・・」


まあ今までロングだった息子が急にショートヘアにしてきたらびっくりもするだろう・・・


「さてと・・・駅にも着いたしこのまま少し電車に乗って喫茶店に行くか!最初のお店は駅からも近いからすぐに着くぞ!」


「うん!行こうか」













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