第46話

「眠ぃ・・・」


テストも終わり今日のお昼の終業式も終わりHRさえ乗り切れば夏休みが始まる・・・というのに今日の私は非常に睡眠不足だった。昨日の夜に翼と喫茶店巡りをする日に備えて色々調べ物をしていたことが原因だろう。喫茶店のチョイスは翼にお任せする予定だが、一応私も気になるお店を調べておこうと思ったのだが、流石に0時を過ぎてまではやり過ぎた・・・できるだけ長く寝ていたいため早寝を心がけている私にとっては睡眠時間が短過ぎたため、今日はできるだけ早く寝よう・・・


「凛、この後暇か?」


HRも終わったため夏休み中に終わらせたい課題などを鞄に入れていると、もう帰る準備が出来たのか翼が席までやってくる。いつもは私が行くまで準備が終わっていないのに、今日だけ早いということはできるだけ早く帰りたいのだろう。学校を早く出て夏休みを開始したいという翼の心の声が聞こえてくる。


「まあ暇だけど今日は寝不足なの・・・」


「寝不足?まさかこの前みたいに熱があるわけじゃないだろうな?」


彼はそう言って心配そうに私のおでこに手を当ててくる。


「熱はなさそうだな!じゃあ本当にただの寝不足か」


「もう熱なんて出さないよ。というわけで今日はすぐに帰ろうかなって思っているところ。何かあった?」


「いや、別に大したことじゃなくて、今度の喫茶店巡りについて話すついでに一緒にご飯でもって思ったんだけど・・・」


「行く」


翼の言葉を遮って、私はすぐに返事をする。


「え、でも寝不足なんだろ?なら早く帰ったほうが・・・」


「今、眠気吹き飛んだから大丈夫。ぜーったい!一緒にご飯食べようね」


翼とお昼ご飯を食べれる?しかも外でなんてそんな機会を逃すほど私は愚かではない。寝不足なんて言ってられない。人間少しくらい寝不足くらいの状態が一番良いのだ。


「はい、お待たせ!行こ!」


私は先ほどまでダラダラと入れていた課題達をテキパキと鞄に入れて、すぐに下校をできる状態にする。きっと1分も掛からなかっただろう。

課題が入った重い鞄を持ち上げて、二人並んで歩き始める。


「はいはい・・・歩きながらで良いから何食べたいか考えてくれ」


「私はなんでも良いよ?翼が食べたいの決めて大丈夫」


「俺は凛が食べたいものが食べたいかな」


「あ、それずるい。んー・・・それじゃあ途中にあるファミレス?に行こうよ。私ファミレスっていうのに行ったことないから行ってみたいの」


「・・・凛がお嬢様ってこと今思い出したわ。でもまあ、ファミレスなら色々あるし学生らしくて良いか・・・」


「行くタイミングが無かったていうのが正解だけどね。家ってあんまり外食自体しないし」



鷹藤家は会合や取引先の方に呼ばれたりしない限り外食は滅多にしない。私が外食をあまり好いていないというのもあるが、一番はお父さんも私もお母さんの作る料理が一番好きだからだ。好きなものをお家で食べれるというならわざわざ外に食べに行く必要もないというのが鷹藤家での認識だ。なのでいつもご飯を用意してくれているお母さんには感謝してもしきれない。


たとえ外で食べるとしても面識がある方が経営しているお店だったりするので今までファミレスというものには行った事がなく、一度くらいは行ってみたかったのだ。


「ファミレス行ってご飯食べたら、家来て一杯飲んでいきな。俺もテスト勉強で最近はコーヒー淹れてなかったから、久しぶりに凛に飲んで欲しいし」


「私も飲みたいから勿論行くよ」


先ほどまで確かにあった眠気はもうすでにどこかに消えており、私たち二人はトントンと今後の計画を立てていく。やはり翼とは波長が合うのか、今回のような相談は翼が一番やりやすい。









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