第45話
「やめ!」
期末考査三日目、最後のテストの終了がテスト監督の先生から告げられる。
「終わったー!!!」
明さんが腕を伸ばしながら、嬉しさを爆発させている。
「明さんお疲れ様でした。どうでした?」
テスト用紙を前に提出して、私は翼達がいる席に向かう。
「多分大丈夫!姫に教えて貰ったところも出来たし、追試はないと思う」
「え・・・私が教えたところなんて出ませんでしたよ・・・?」
「は?」
「嘘です」
「なんだ嘘か・・・焦ったわ・・・」
「ふふふ、ごめんなさい。少しからかっちゃいましたね。よく頑張りました」
心からの言葉だ。明さんは今回の勉強会で一番頑張ってくれたと言える。翼や友希さんも頑張ってくれていたが、明さんは初日以降黙々と勉強に取り組み分からないところははっきりと申し出てくれたため、教える側としてもとてもやり易かった。明さんは目標ができればそれに向かってとことん努力ができる人なのだろう。
「翼くんと友希さんもお疲れ様でした。その表情から察するにお二人とも大丈夫そうですね」
「まあな。国語も凛から教わった文章の読み方をしてみたら簡単に出来たよ。ありがとな」
「いえいえ、私から申し出たので当然のことをしたまでですよ。お礼を言うのは私の方です。御三方は今回の勉強会でものすごく頑張ってくれました。教える側の私がやりやすいように分からないところは素直に言ってくれたのも助かりました。この調子で二学期も頑張りましょね」
そう。今回私はこの三人にいつものお礼をしたまでだ。翼はいつも私の側にいてくれる。明さんと友希さんも私と翼に何も言わずに仲良くしてくれているのだ。貰ってばかりいる私が、この三人にお返しができることは得意な勉学面だけなのだ。
「夏休みも一緒に居ようね」
翼の耳に口を近づけ、二人には聞かれないように囁く。
追試が無いということは私と翼はこれまで以上に一緒に居られるということだ。私も喫茶店には足繁く通うようにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます