第40話
「もう無理。なにこれ意味わからん」
「お前はもう少し頑張れよ・・・おい友希目を逸らすな。しっかりと参考書に向き合え」
テストまでもう四日後まで近づいてきた日の放課後
私と翼、そして明さん友希さん玲さんの五人は約束通り空き教室に集まり、一緒にテスト勉強をしていた。のだが・・・
「嫌だ!なんで高校受験であんなに頑張ったのにまたテストをしなきゃいけないんだ!」
「大学まで進んだら少なくとも後七年は勉強するんだから頑張れ。」
「そりゃそうだけどさ・・・」
なぜか私の目の前では翼と明さんが勉強しろしたくないで言い合っている・・・
普段から仲が良いとは思っていたが、改めて目の前でいつものやり取りを見ると本当に仲が良いんだなと分かる。同性同士でここまで軽口を叩きあえるというのも羨ましい。
「姫、目の前のは見ちゃだめだよ。私たちは私たちでやろうね」
玲さんは翼たちを横目で見ながら、私が作った応用問題重視のテキストを再開する。
この人のスルースキルは大分レベルが高いため羨ましい。
「ずるい!俺も姫から勉強教わりたい・・・なんで安藤専用みたいになってるんだ・・・」
「お前は駄目に決まってるだろ、凛が甘やかしそうそうだからな。本当に困った時意外凜に聞くのは禁止」
「うい・・・」
翼にはこれ以上何を言っても無駄だと分かったのか、明さんは諦めて数学のテキストに向き合う。
彼は分からないと言っていたが、やはり彼も基礎はしっかりできているようで詰まりながらも答え自体は間違えてはいないようだった。
「まぁまぁ・・・本当に分からない問題があったら遠慮なく聞いて貰って構わないですからね?ほら、翼君もやりましょう?国語が苦手と仰っていましたし一緒にやりましょうか」
このままだと翼の勉強が捗らなさそうなので、彼の負担を減らすためにも私から翼に一緒に勉強をしようと提案をしてみる。明さんにずっと構っていると今日のテスト勉強はずっと彼を見ることになりそうだ。
私は翼が使っている机の隣まで自分の席を移動をして、彼の国語のテキストを開く。こうすれば机をくっつけて教えるよりも一緒の机を使えばより近くで教えることができる。
ちなみに人前では翼のことを呼び捨てにすることと、敬語を外して喋ることはしないと決めている。二人の関係性に口出しをされるのも嫌だし、二人だけの時にすることで特別感が出るからだ。翼はいつからか私のことを人前で呼び捨てにしていたため、凛呼びをやめるつもりはないようだ。
「ごめんな、お手数をおかけします」
「国語なら私の得意科目ですし他教科よりもわかりやすい解説ができると思うのでお任せください」
「んじゃお言葉に甘えますか。三日間はお世話になります」
「お世話させて貰います」
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