第38話

「今更なんだけど…姫と翼君の関係って何なの?」


そろそろという所まで近づいてきたテストに向けて、二人で放課後に残り教室で勉強をしていると、玲さんが聞いても良いのか?というふうに恐る恐る質問をしてきた。

玲さんがこんなに慎重なのはきっと、私が詮索をされるのが嫌だと分かっているからだろう。少し前にクラスメイトと距離をとってからそれは分かっているだろうし、本人もそれを分かっているから今まで聞いてこなかったのだろう。


「気になりますか?」


「まあ…。今までは聞くのを我慢してきたけど、正直もう我慢の限界かな。あ、でも勘違いしてほしくないのは別に翼君と一緒にいるのをやめてほしいとかそう言うのじゃない。少し前から翼君の生活態度が良くなっているのは知っているし、成績が悪くないことも分かっているから姫と一緒にいても良いって言うことは分かるの。私も彼と関わる機会も増えてきたからもやもやしたくないし、これからどんな風に関わるかを決めたいから知りたいの。」


確かに私はクラスメイトとは殆ど話していない。話すのは変わらず、玲さんと翼君。明さん友希さんの三人だけだ。確執があるとは言え、たくさんいるクラスメイトの中で翼君たちだけと一緒にいるのは疑問に思うのも仕方がないのかもしれない。


「何と言われても…私にとっての翼君は大切な友人。という感じでしょうか」


「本当にただの友達なの…?私の勘違いかもしれないけど、二人の距離感はただの友達じゃないし、姫も翼君にだけはなんだかすごくフランクに接しているじゃん?だからなにか特別な関係難じゃないかとか思ったんだけど…」


「特別な関係ですか…まあ、ある意味そうなのかもしれませんね」


確かに私たちの関係性の大元を辿れば、お互いの秘密を共有するという事から始まった。しかし今ではそんな秘密など二の次で心地が良いから彼と一緒にいる。今までそんな人間は居なかったため今彼と一緒に行動していることは、ある意味特別な関係なのかもしれない。


「じゃあ分かった聞き方を変える」


私が煮え切らないを取っていたからか、今度は少し強めな態度で玲さんが質問をしてくる。


「姫は翼君の事が好き?」

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