第15話

教室に戻るために本当はいけないが、廊下を走っている途中にHRの始まりを告げるチャイムがなった


「凛がだらだらしてるからチャイム鳴っちまったじゃねえか!」


「私のせいだというんですか?!いえ、私のせいですが・・・元はと言えば翼くんで寝るのが気持ちいいのがいけないんじゃないですか!」


「誤解を生みそうな言い方をするのはやめろ!」


チャイムがなってしまいその責任を押し付けるように二人で言い合いをしていると二人の教室についてしまった。

教室内をこっそりと覗いてみると前の教壇にはしっかりと先生がおり、生徒たちは全員席に座っていた

HRに遅れてしまったのはもうしょうがないため諦めよう・・・しかし本当の問題はこれからだ。

どうやって二人で違和感なく教室に入るのかを考えなければいけないのだ。正直私が翼くんを引っ張って教室を出たのはクラス内の人に見られていたため、堂々と入るのも良いのだが一緒に入るのが翼くというのが問題なのだ。

今までの私たちは関わりもなく、正反対の生徒像で生活をしてきたのだ。その二人が急に二人で一緒にHRに遅れてきたら何を言われるか分からない。しかも一部の生徒には随分前に二人とも学校に着ていたことは知られているため変な噂が立ちかねない。

どうしたものか・・・


「どうしますか・・・?」


私は一応翼くんにも意見を聞いてみることにした。彼のことだから気にせずに入れば良いだろとか言いそうだけど・・・


「どうするって言ったってなぁ・・・しょうがないし大人しく入るしかないんじゃねえの?これ以上遅れても逆に怪しまれるだけだし」


「それもそうですね・・・仕方がありません。一緒に入って先生に謝りましょうか。あ、翼くんは私の後ろに立っているだけで大丈夫ですよ。元はと言えば私のせいで翼くんも遅れてしまったので」


「分かったけど・・・まあその時の空気間で俺も一緒に謝るよ」


「本当にご迷惑をおかけします・・・」


「まあ凛を受け入れるって言っちまったしな。凛が困ってるなら一緒に背負ってやるから安心しろ」


「翼くん・・・」


きっと私の顔は赤くなっている事だろう。実際私の顔はとても熱い・・・保冷材などで冷やしたいくらいだが、こうなったのは勿論翼くんが理由だろう。今まで家族以外の誰かに受け入れて持ったことは殆ど無かった。それも異性となればゼロだろう・・・彼は私が欲しい言葉をストレートにくれるためどうしても彼に甘えたくなってしまうのかもしれない・・・


「行きましょうか・・・」


私は覚悟を決めて教室に入ることにした


「先生・・・申し訳ありません。遅れました」


「ん、鷹藤と白藤か。良かった登校はしていたんだな」


担任には意外そうな顔をされたが特に怒っているような様子は無く、案外さらっとこの状況は切り抜けそうだ


「白藤はまあいつもの事だからいいが、鷹藤が遅刻なんて珍しいというか初めてじゃないか?何かあったのか?」


「白藤さんには私の用事に付き合って頂いていたんです。すみません」


「おーそうかそうか!そういうことなら全然いいぞ!授業ならあれだったがHRなら別に少しくらいなら遅れても構わないからな。他の先生だったら駄目だろうけど俺はそこまで時間にシビアになるつもりはないからな」


そうだった・・・この先生は緩いことで有名な先生だった事を忘れていた。この先生なら別にそこまで怯える必要は無かったか・・・

と、安心して教壇から降りて席に向かおうとしたらクラスメイトからの目線が一気に集まった事が分かった。

さあ、クラスメイトにはどうやって言い訳をするかをHR中に考えるとしよう・・・

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