第14話
「・・・ん!凛!起きろ!チャイム鳴るぞ!」
私の事を呼ぶ声がする・・・
「んん・・・?翼くん?」
「早く起きろ!もうそろそろHR始まるぞ」
そうだった・・・私は彼の膝で寝てしまっていたのか。あまりにも気持ちよく深い眠りだったため忘れてしまっていた。
固い椅子の上で寝っ転がっているのに家のベットで寝るよりも確実に気持ちよく、頭もあったかいためもう少し寝ていたい・・・
「もう少し寝てちゃだめですか・・・?」
「駄目に決まってるだろ。俺は別に遅れようがいつものことだから良いけど、優等生のお前は違うんだから早く行くぞ!」
「でもこのお膝が放してくれないんですよ・・・」
私はいまだに彼の膝の上で目を瞑りながら話す。彼の膝はどうやら私の枕としては最適なのかもしれない。
深い眠りにつけたのも彼のおかげだろう。
「俺の膝なんていいから早く行くぞ。凛がどかないなら俺が無理やり立って、床に落ちる結果になるけどいいのか?」
「駄目です。悪いのはこんなにも良い枕の翼くんが悪いんですよ!それにこの前も言った通り私はぐうたらで、我儘なんです。寝起きの私を起こすのは大変ですよ~?」
「しょうがない・・・」
彼はそう言うとおもむろに私の首と足のあたりに手を掛けた
「セクハラとかいうなよ?」
「何をするつもりか知りませんけど言いませんよ」
「それじゃ遠慮なく」
「ふふん!さあ!私を起こしてみなさい!って・・・きゃあ!」
彼は私の事を両手で持ち上げながら立ち上がり、私は所謂お姫様抱っこと言われる状態で抱きかかえられていた。急なことで驚いてしまったため声が出てしまったが、別にこういうことをされること自体は別に嫌ではない。腕の中から覗く彼の顔から耳まで真っ赤になっていてとても可愛いところが見えてむしろ役得だ。しかし同時に男らしさも垣間見えて私の顔も少し赤くなっていたかもしれない
私を抱えた彼はまず最初に私を丁寧に降ろしてから、今度は寝ていた椅子たちを元の場所に戻していた。
「本当に凛ってぐうたらなんだな・・・痛感したよ」
彼は疲れた様子でそういって、げっそりとしていた。そんなに私って重かったのだろうか・・・
「えっと翼くん・・・?私って重かったですか?」
彼の様子を見る限り私関係で疲れていることは確実だろう。ならば謝罪はしておくべきだろう。先程までは寝ぼけてキャラ崩壊をしていたが、今はすっきりしているため頭も回っている。
「別に凛は重くなかったよ。むしろ軽いくらいだからもっと太ったほうが良いんじゃないか?」
「でも翼くん疲れていますよね・・・?重くなかったらそんなに疲れることも無いと思うのですが」
「疲れているのは体力的とかそういうのじゃなくて・・・」
彼はなぜか顔を赤くしながら口ごもっている。どうして今そんなに顔を赤くする必要があるのだろうか?
不思議に思っていると時間だと言わんばかりにチャイムがなったため私たちは教室に戻ることにした
彼には今度何かお礼として渡そうかな・・・また頼むかもしれないがその時はその時だ。
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