第13話
昨日はお母さんに翼くんの事を夜遅くまで根掘り葉掘り聞かれたため、寝不足で学校に来ることになってしまった。どこかの誰かさんのように授業中に眠らないようにしないといけないため今日は、気を張って過ごすことにしよう。
と思った矢先に欠伸が出てしまい、それが玲さんにばれてしまった。
「ふわぁ・・・」
「姫?眠いの?珍しいね姫が欠伸なんて」
「昨日の夜は寝かせてくれなくて・・・」
「へ?誰が寝かせてくれなかって・・・?」
「お母さんですよ・・・色々聞かれたので寝不足なんです」
「な、なんだびっくりした!お母さんかぁ、あはは・・・」
「それ以外に誰がいるんですか?寝るときに一緒の人なんて家族意外いないですよね?」
「うるさい!姫うるさい!」
玲さんはなぜか顔を赤くしながら声を荒げていたが何かおかしなことでも言っただろうか?
それよりも外で欠伸なんてみっともないところは見せられない。今見られたのが玲さんだったから良かったものの、それ以外の人には見られないようにしないと・・・あ、でも翼くんの前でならしてもいいか!なら今日は翼くんの傍で生活するようにしよう。それならどんなにぐうたらしてても文句は言われないはずだ。
翼くんは来てるかなーと探していると、ちょうどいいタイミングで彼が教室内に入ってきた
今日は随分早い登校だ。まだHRまで二十分以上の時間があるため普段の彼ならまだ登校中の時間だろう。
その証拠にいつも彼と一緒にいる男子二人がおらず、彼一人の登校だったからだ
いくら彼が一人でいると言っても学校でも昨日のように話しかけるのは迷惑だろうか?あー、でも眠気が結構限界に近い・・・彼には悪いが付き合ってもらおう
「翼くん・・・すみません少しお時間良いですか?」
私はふらふらになりながらも彼に近づくことにした
「り、姫どうした?ふらふらだけど・・・熱でもあるのか?」
「いえ・・・そういうわけでは無いのですが、ついてきてください。できれば人の来ないところが良いので」
「良いけど・・・っておい!手を引っ張るな!力つんよ!」
何か言ってるけど気にしない気にしない。クラスの人たちに見られている気がするけど気にしない気にしない。
翼くんの手を引いて三分ほど歩くと、学校の三階にあるとある教室に着いた。
この教室はどの学年も使っておらず、普段は吹奏楽などの部活動の練習場所として使われている場所だ。
吹奏楽も放課後にしか活動していないため、朝なら誰も来ないためこの教室に彼を連れてきた
「すみません翼くん・・・どうしても眠くて、このままだと授業中も眠ってしまいそうなので少し寝させてください」
「寝るのは勝手だけど、なんで俺を連れてきたの?ここに来る間いろんな人に見られてまあまあ恥ずかしかったんだけど」
「それは・・・ごめんなさい。翼くんはアラーム兼枕として来てもらいました」
「枕って?まさか・・・」
「膝枕してください。椅子を並べて寝るつもりなので疲れないとは思います。動かなければ何をしてても良いので
二十分ほど膝を貸してください」
私はそういって椅子を5脚程縦に並べてその上に寝転がった。頭側に彼を座らせて、有無を言わせずにその彼の膝に頭を預ける
彼の足は意外に柔らかく、しかし筋肉がついていることは分かる。運動をしていない彼だからこそのこの柔らかさなのだろう。
「凛?マジで良いの?」
「何がですか~?」
「枕役が俺でいいのかだよ」
「こんなこと頼めるの翼くんくらいなんですよ~もう諦めて枕になってください」
「じゃあ、チャイムが鳴ったら起こすからな?いいな」
「はいぃ」
私は意識が朦朧となりながらもそう答えた
二十分も寝れば眠気はすっきりするはずだ。そう思いながら私は彼の膝でしばしの睡眠を取ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます