第8話
彼と話しながら電車に乗り、私達二人はとある建物に着いた。
建物の看板には「翼」と書いてある。そう先週も来た喫茶店「翼」だ
「・・・姫?なんで俺の家までついてきてるの?」
「あら、この喫茶店って翼くんのお家でしたか!びっくり!」
「白々しいですよお姫様。はぁ・・・なんでこの喫茶店が俺の家だって分かったの?」
「店名ですかね。翼くんが自ら自分の名前が着いた店を選んでアルバイトをするとは思えないので」
「正解・・・まあ話は中でしようか。珈琲くらいは出すよ」
「ありがとうございます」
中に入ると扉のベルがなり、今回は前回と違いカウンターにはカップを洗っている白髪の男性が立っていた。
「いらっしゃいませ・・・ってなんだ翼か、おかえり」
「じいちゃんただいま。今日はちょっと同級生も一緒だけど気にしないで」
「翼が同級生を連れてくるなんて珍しいね・・・って」
カウンターの男性は翼くんの後ろに隠れていた私を見ると意外そうな顔をしたまま固まっていた。
「おやおや・・・これはまた可愛らしいお客さんが来たね・・・翼のクラスメイトかな?」
「初めまして。翼くんのクラスメイトの鷹藤 凛(たかとう りん)です」
「鷹藤ってあの鷹藤かい?」
「多分その思っている鷹藤です」
「そうか・・・鷹藤家のご令嬢か・・・大きくなったね」
「?昔どこかでお会いしたことがありましたか?」
「いやいや気にしないで。よく来たね。翼のお客様だ珈琲を淹れてあげなさい」
「そのつもりだよ」
そういうと彼は少し待っててと言いお店の奥に引っ込んでいった
私は彼に促されるまま前回座ったカウンター席に座ることにした。彼を待っている間は彼のおじい様と二人きりで気まずい空間になるかと思ったが、おじい様から話しかけてくれた。
「いつも翼がお世話になっているね。ここのオーナーの白藤 誠(しらふじ まこと)です。よろしくお願いします」
「改めて鷹藤 凛です。こちらこそ翼くんにはいつもお世話になっております。本日は色々あってこのお店にまたお邪魔させて貰うことになりました」
「おや?このお店に来たことがあるのかい?」
「はい。つい先週の日曜日に来させて貰いました。珈琲が好きなので拘っているとお聞きしたので・・・その時に飲んだWing ブレンドはとっても美味しかったです!」
「はははっ、それは嬉しいね。あれは自信作でね美味しいと言って貰えて光栄だよ」
彼がいない今、私は気になっている事を聞いてみた
「因みになんですけど・・・このお店の名前って・・・」
「そうだよ。思っている通りあの子の名前を取った店名になっているよ。このお店はあの子が生まれた時に始めたお店でね、嬉しいことに彼自身もこのお店は好きみたいなんだよ」
やはりそうだったか・・・前回お店に入り彼の姿を見たときに予想はしていたがこのお店はやはり彼の名前が由来だったか。どうやら彼は家族から相当愛されているようだ
「姫~お待たせしました」
私たちが喋っていると店の奥から、このお店の制服に着替えた彼が出てきた。
やはり制服姿に着替えた彼はなぜか学校での姿よりも三割増しくらいでかっこよく見える。大人っぽく見えるだけかもしれないが・・・
「今日はお代はいらないよ。それじゃあ、ご注文は?」
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