第6話
SHRが始まるも後ろの席の彼らは変わらずに喋っており、教壇に立つ先生に怒られながらもクラス内ではいつもの事で、何か言われたら直ぐに静かになった。彼らはそれなりに聞き分けが良いため、人が本当に迷惑な事や、嫌がることはしないだろう。何か言われる前に辞めることがベストなのはそうだが、それが分かるのはもう少し先でも良いだろう。
「姫、放課後少し良いか?」
SHRが終わり一限の準備をしようと机を漁っていると、学校ではまともに喋ったことがなかった彼、白藤 翼から声を掛けられた。
彼は少し顔をムスッとさせながら、私に対してぶっきらぼうに話しかけてきた
今まで私たち二人が絡んでいる姿を見たことがなかった周りのクラスメイトはザワザワしだし、玲さんは口の前で手をわなわなさせていた。
「あら、白藤さん。どうかしましたか?」
私は喫茶店の時のように名前では呼ばずに苗字に、更にさん付けで呼んだ。私は今まで男子のことを名前で呼んだことは1度もない。それなのにまともに接点がなかった私が、急に彼のことを「翼くん」なんて呼び方をしたら変な噂が立ちかねない。
「ちょっとな、話があるんだよ。内容は姫も大体分かってるだろ?」
「さあ?なんのことでしょう?」
「分かってるくせに。まあいいや、また後でな。」
彼は舌をベッっと出しながらそう言い、また自分の席に戻って行った。席に戻った彼は仲が良い2人の男子に質問攻めにあっていた。
ということは…
「姫って、翼くんと接点あったの?!」
思った通り私たち二人が話し終わったタイミングで玲さんが興奮した面持ちで話しかけて来た。
「いいえ。特に何も無かったですね」
「じゃあなんで急に翼くんが話しかけて来たのさ」
「なんででしょうね〜?分からないので今は何も言えないです」
私も彼が隠したがっているであろう事は公にする気はないので、玲さんの質問の回答は、はぐらかして授業に集中をするのだった。
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