第5話
もうそろそろ朝のSHRが始まろうかという時にガラガラと、教室の後ろのドアが開き三人の男子生徒が入ってきた。その中心にいるのは先日喫茶店でもあった白藤 翼だ。
着崩した制服、そこそこ長い髪の毛を後ろで纏めており、彼の綺麗な顔は良く見えるようになっている。
時間ギリギリに来るのはいつものことで、ひどい時には一限目の始まりギリギリに来るためSHR前に来るのは珍しいまである。
教室に入った彼らは窓側にある自分たちの席に向かい、またガヤガヤと賑やかに会話を始めた。
「翼君達まーたギリギリに来たよ・・・もう少し余裕を持ってこようとは思わないのかね」
「HR前に来るだけいいじゃないですか。さぼらないでしっかり学校に来るだけ偉いですよ」
「まあそうだけどさ」
「でも授業中に寝るというのは頂けませんね」
「おっ!でた!姫の偶にでる怖い顔!その顔結構しっかりと怖いから姫から何か言ってやりな!でも寝ててもあまり厳しく先生に怒られないのは翼君の愛嬌と、顔がいいっていうのはあると思うよ。彼、顔はいいし、男女問わずに同じように接するからいろんな人に好かれてるから」
へ?私の怒った顔ってそんなに怖いの・・・?
「先生が許しても私は許しません」
「おぉ・・・なんか姫、翼くんに対しては随分あたりきついね」
「そんなことは無いですよ。私も彼の顔はいいと思いますし、優しいとは思っていますよ」
「姫がそんなこと言うの珍しいね」
「そうですか?事実ですし、彼の人に対しての接し方は好感が持てます」
実際彼の顔は良く、アイドルグループにいても何も違和感もなく人気になっていただろう。ぱっちりとした目に、くっきり浮かび上がる二重、バランスの良い顔のパーツの並び、そして笑った時に見える綺麗な歯並びをした白い歯が彼の愛嬌の良さを引き立てている。
それに彼は人によって対応を変えないというのが一番の良いところと言えるだろう。クラスメイトの仲がいい人、特に目立っていない男子でも同じように楽しそうに話しているので彼のクラスメイトとしての印象は「不真面目だけど良い人」だ。
「それじゃあ姫は翼君の事異性として良いなとか思うの?」
「そうですねぇ・・・もう少し落ち着いてくれると異性として見れますね」
「今はどうなの?」
「元気な子供?」
「子供って・・・仮にも同級生に使う表現じゃないでしょ」
玲さんはそういうが、本当に彼のことは子供のようにしか見えない。きっと先日の喫茶店での彼を見たから尚更子供っぽく見えてしまうのだろう。あの時の彼なら一人の男性として見れるのだが・・・
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