第4話

玲さんと会話をしているとすぐに学校に着いたので、私達二人は教室に向かうことにした。

教室に着くと、数人の女子が私たちの方に向かってきた


「あ!姫だ!おはよう~これ昨日作ったクッキー!良かったら食べて!」


「姫ちゃんって今週の週末って忙しいかな?暇だったら一緒にお出かけしたいなーなんて・・・」


「私今から飲み物階に行くけど姫は何か欲しいものってある?」


朝からこのテンションの高さ・・・大抵のことを無気力に過ごしている私には彼女たちの元気さはむしろ毒だ。

しかし彼女たちの好意を無下にするわけにはいかないのでしっかりと答える


「美味しそうですね!このクッキーは頂きますね。週末は少し忙しいのでお出かけできないのですが、放課後なら時間があるので、放課後に一緒にお出かけしましょうか!飲み物はどうせならクッキーに合いそうな紅茶とかお願いしてもいいですか?皆さんで一緒に食べましょうか!」


彼女たちの質問に一気に答え、それなりの会話を続けながら彼女たちの好感度を保つ。これが私なりのこの学校での過ごし方だ。誰にも嫌われないように、決して目立とうとは思わずにあくまで彼女たちから話しかけられる役に徹するのが最適解だと気づいた。そのほうがもし私が家を継ぐとなった場合に都合がいいからだ。勿論世論的な意味でだ。


「そういえば姫って休日って何してるの?」


私が疲れながらも、クラスメイトの会話に相槌を打っていると玲さんが聞いてくる。


「休日ですか?」


「うん。さっきも誘われてたけど、いつも休日に遊びに誘っても中々予定が合わないじゃん?だから何か習い事でもしてるのかな~って思ってさ。あ!勿論言えないなら言えないで大丈夫だからね。休日遊べない代わりにいつも放課後に遊んでくれるからね」


「休日は家の事や勉強で忙しくて・・・私はもっとしっかりとしないといけない立場なので」


「いつもテストで上位取れてるんだから十分努力してるし、いつも品行方正に振舞ってるじゃん。なのに今以上頑張るの?」


「はい。私は今以上にしっかりしてお父さんとお母さんを安心させたいんです。将来私が家を継ぐときに何も心配をさせないように」


「姫は偉いね・・・でもそれならまずはそのぐうたら癖から少しづつでいいから直していこうね。何なら彼氏でも作ってその人に見てもらいな」


「彼氏ですか?」


「そそ。いつまでも私が傍にいれる訳じゃないし、姫のサポートをしてくれる人は絶対に必要でしょ?なら一生を一緒にいれる人を早めに見つけないと!」


「私はそういうのは特に・・・」


「高校入学して何回告白された?」


「二桁は超えてると思いますけど・・・」


「うわっ、すっご・・・」


彼氏かぁ・・・私には正直恋人を作るという感覚が分からない。人のことを特別に好きになるなんて稀だし、異性となると尚更だ。自分の結婚相手もきっと両親が勧めてくるお見合い相手だったりするのかと思っていた。自分はそのくらい恋路に関しては無関心だ。


きっとこれからもずっと自分が恋をすることは無いだろう

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