第27話 マッドサイエンティスト

 いつものように守衛室で受け付けてから生体検査室へ。 

  

「中島さん、今日はどうしたの?」 

「え、ええ……。男のわたしなんですけど、ちゃんと子供を産ませられる機能があるかな〜って思って……」 

「あ〜ん? さては彼女できたのか……」 

「は、はい」 

  

「う〜ん、それなら『精子』の検査から始めないといけないんだけど……今日は女の子だしなぁ……」 

「あ、そうですね……うっかりしてました」 

「急ぐ?」 

「え、ええ……できるだけ早い方が安心できるっていうか……」 

「そうか……じゃ、ついでに『検体』として最新の『卵子』も採取しておこうかな」 

「えぇぇぇ! つ、ついでって、そ、そんなことできるんですか?」 

「当然だよ、中島さん。ここは『生 体 検 査 室』だよ? TS娘の検体は多ければ多いほどいいからな! じゃ、隣の部屋で採卵しようか。 その後男に戻ってもらって採精しようとするか」 

 今日の教授はことさら生体検査室を強調する。 

  

「えぇぇぇぇ! そんな急にぃぃぃ? いつもはラボって言ってたのにぃ! それに今日は相談だけのつもりだったのにぃ!」 

「急ぐんだろう? わたしが新規開発した『極細採卵針』(ExtrafeineNadelzumSammelnvonEiern)通称『ごくぼそくん』を使用するから、全く痛くないし、麻酔なしで採卵が可能だよ」 

「うぁぁぁ、『マッドサイエンティスト』だぁ〜」 

  

  

 それから『産婦人科の椅子』に座らされて、卵胞内の卵子採取準備が始まった……そして膣内に……。

  

「イヤ〜〜〜! わたしの処女が〜〜〜変な機械に奪われるぅぅぅ〜〜〜」 

「えっ? これ初めてじゃないよ? 初女子化した時に一回採卵して、その後に継続検査初回から毎回採卵して……」 

「えええええええっ? そ、それって、女子ってぼーっとしてる時に? わ、わたし……処女じゃなかったんだぁぁぁ」 

「大丈夫、大丈夫 性交してないから、きみはまだ十分処女だよ……それに女子化するたびに、いわゆる処女膜も……」 

「そ、そんなこと言ったって〜〜〜」 

  

 痛くはなかったけど、違和感を感じたかと思ったら……「はい、最新の卵子、採卵できたよ」 

 あっという間に終わった……。 

  

 けれど犯された気分でグスグス泣いてると、 

「中島さん、ちょっと急で(少し私が)悪かったな……つい研究心が先立ってしまって……」 

「これっぽっちも思ってないくせにぃ〜〜〜」 

  

  

「少しは落ち着いたかな?」 

「は、はい……」 

「そしたら次は男になって、この『滅菌容器』に『精液』を入れてきて……」 

「え、ど、どうやって・・・?」 

「あ〜そうだねぇ……ラボの更衣室とかじゃかわいそうだから・・・ラボ内のトイレの個室で……男の場合は『射精』するだけだから簡単だろう?」 

 あ、そういうことか……「は、はい……」 

 この歳でトイレでオ○ニーするとはなぁ……でもこれもラムのためだ……。 

  

 ネイルオフして男に戻る。 

 いざという時のために、ネイルセット持ってて良かった……。女子って訪問したから男子化したままじゃ帰れないし……。 

  

  

「中島くん、今日は男子化、それほど時間はかからなかったなぁ……最近はどうなの?」 

「はい、先日相談した時みたいに気絶するようなことは、あれっキリないんですよ……」 

「ん〜そうかぁ……じゃ、採精よろしく」 

  

  

「はい、出してきました……」大変だったんだぞ! 

「お〜結構量多いな……じゃ、しばらく休んでから女子化して今日は戻って大丈夫だから……」 

「はい……あ、あの妊娠の可能性は……」 

「それは中島くんの『精子』の総精子数、精子濃度、総運動率、前進運動率とかをだなぁ……」 

「あ、いいです。結果だけ教えていただければ……」 

「そ、そうか?」 

  

  

「じゃ、女子ってから帰りますんで……」 

 今度は更衣室を借りて女子って着替える…… 

「では教授、検査結果分かり次第、連絡くださいね」 

「わかったよ、中島さん……」 

  

 帰り際、ふと気になり、 

「あ、あの、教授? そのわたしの卵子と精子を使って『受精』の実験なんてしないですよね? 絶対イヤですからね!」 

「あ〜それは安心してくれ。 倫理に触れる実験は禁止されてるし、やる気もないからな」 

 ん〜、とりあえずは信用しよう……。 

  

 翌日、お店にいるときに一条教授から携帯に連絡が入った……。 

「はい、中島です・・・」 

「あ、中島……さん? 中島くんは十分パートナーを妊娠させられるよ……って伝えておいて……ってのも変だけど、大丈夫。安心したまえ。あとはパートナーとの相性だけだけどね……」 

「あ、ほんとうですか〜良かった! ありがとうございました!」 

  

「ん? 何が良かったんですか?」とラム。 

「あ、うん、健康体だってこと!」 

「そ、そうですか……」 

  

 ラムには一条教授に合うと言っていない手前、知らせないで秘密にしておこう……。 

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