神月 三頁

恵虹けいこうたちは、しろ石垣いしがきもんまえ着地ちゃくちする。

 くもに「っててください」といつけをし、恵虹けいこうのやつは、大穴おおあなひらいた石垣いしがきかろうじてのこっている残骸ざんがいれた。

 そして、ふたつのじ、ひとつのひらいた。


 

 時計とけいはりもどすように、この石垣いしがきてきた歴史れきしさかのぼる。

 

 ついさきほど、このった恵虹けいこうたち。

 

 それからすこさかのぼれば、二人ふたり少女しょうじょが、仲睦なかむつまじく、階段かいだんのぼってやってきた。片方かたほうは、みみがうさぎのようになが兎人とじんぞくむすめ。もう片方かたほうは、トウモロコシのように黄色きいろはだひたい二本にほんかどえた、長身ちょうしん黄鬼きおにぞくむすめ淡濃のうたんはあれど、どちらも黄色きいろ髪色かみいろをしていた。

 

 さらにぐんぐんときもどすと、一人ひとりおんなが、赤子あかごかかえてはしってきた。

 

 そのずっとまえには、べつおんな一人ひとりうずくまっていた。

 

 そのすこまえよるには、さかえたまちやみおおわれていた。

 

 そのまえまでさかのぼると、石垣いしがきまえを、華美かび優雅ゆうが衣服いふく装飾そうしょくつつんだ人々ひとびとが、往来おうらいしていた。かつて、このくにおさめた王族おうぞくやその関係者かんけいしゃであろう。黒鬼くろおに襲撃しゅうげきされるまえのこのしまは、本当ほんとうさかえていたのだった。


 

 このしま歴史れきし調しらべた恵虹けいこうは、ほろほろほろとなみだながしていた。

 じていたけると、そのなみだぬぐって、くも指示しじした。

白雲丸しらくもまるつぎはあのやま頂上ちょうじょうってください」

「アイアイサー!」

 恵虹けいこうくもって、また大空おおぞらへとった。



 恵虹けいこうのやつがくも指示しじした、やま頂上ちょうじょうには、つきかみまつ祭壇さいだんがあった。たかはちメートルほど巨大きょだいかべに、つきかみかれていた。

 

 二人ふたりは、でっかいかべ見上みあげて、感嘆かんたんいきらした。

すごい。立派りっぱ壁画へきがですね」

なかえがかれているのはだれだ?」

「そりゃあ、月夜つくよさまでしょう」

つき神様かみさまって、こんなうさぎかおしてるんだな」

 恵虹けいこうは、なにらないくもに、かみについての説明せつめいをした。

「この存在そんざいする八百万やおよろず神様かみさま普通ふつう地上ちじょうすまたみたちのとらえることは出来できません。

 ですが、神様かみさま自身じしんちからで、ひとまえ姿すがたあらわし、言葉ことばわすことが出来できます。それは、そのひとおなじ、ひと姿すがたか、動物どうぶつ姿すがたひと動物どうぶつ半人はんじん半獣はんじゅうなんてこともあります。そこは神様かみさまによって千差万別せんさばんべつです」

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