いけいけ勇者様31

最上司叉

第1話

俺はあのまま気を失ったらしい。


俺は自分の部屋で目が覚めた。


「起きたのか?」


「あぁ」


ドラゴンの女が話しかけてきた。


「賞金は妾が受け取っておいたぞ」


「ありがとう」


そして俺は賞金を受け取ろうとドラゴンの女に手を伸ばした。


「?」


「賞金は?」


「お主を運んだ代金として貰っておいたぞ」


「は?」


「妾が使ってやろうかの」


俺は頭が痛くなってきた。


肩の怪我の薬代を魔法使いに払わなければならないのと数週間魔物退治もできないのだ。


「返してくれ」


「うるさいヤツじゃのう、ほれっ」


ドラゴンの女は賞金の入った袋を俺のベッドに投げてきた。


それを見て俺は驚いた。


「?!」


「何を不思議そうな顔をしているのじゃ?」


「…」


「どうしたのじゃ?」


「多すぎないか?」


「普通じゃろ?」


「俺が倒したのは賞金300万の魔物のはずだ」


「あぁ、魔物違いじゃよ」


「なに」


「お主が倒したのは賞金3000万の魔物じゃ」


「なんだって!!」


「賞金300万の魔物はピンピンしておる」


「!!」


「今日はゆっくり休むが良い」


「あぁ、ありがとう」


「なに礼などいらぬ、明日からまた修行じゃ」


「は?!」


「厳しくするかのう」


「鬼か!!」


「ほっほっほっ」


ドラゴンの女が部屋を出ていくかわりに魔王が入ってきた。


魔王は心なしか悲しそうな顔をしている。


「…大丈夫?」


「あぁありがとう、なんとかな」


「そっか…もう1人で無茶しないでね」


「あぁ分かった」


「うん…」


魔王は何か言いたげだったがそれ以上何も言わなかった。


「そうだ魔王、頼みがある」


「?」


「魔法使いに薬代払ってきてくれないか?」


「うん良いよ」


「ありがとう」


俺はそう言うと賞金の入った袋を魔王に渡した。


「待ってて」


「あぁ」


魔王が部屋を出ていく。


俺は肩の怪我の具合がどんな感じか少し動かしながら確かめる。


「…大丈夫そうだな」


それを食事を運んできた女に見つかってしまった。


「!!」


「ダメですよ無茶したら!!」


「あぁごめん」


「ほんと心配したんですからね」


「あぁ」


「何日か安静にしててくださいね!!」


「あぁ」


そう答えたが何日間か安静にしてたら身体が訛ってしまうと俺は考えていた。


「大丈夫じゃ、妾が見張っとくからの」


女は後ろを振り返る。


「そうですね、お願いします」


「任せておけ」


俺はドラゴンの女はよく言うヤツだと思った。


とそこへ魔王が戻ってきた。


「はい、残りの賞金」


「あぁありがとう…?!」


「随分少なくないか?」


「え?そうなの?」


魔王は不安気に俺を見ている。


「大丈夫だ、俺の勘違いだ」


「良かった」


魔王は安心したようだ。


俺は後日魔法使いを問い詰めたが賞金は戻ってこなかった。

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