翅+1?
ある日
瑠璃の虫は目覚めた。
瞼はなけれども、
目覚めたと、はっきりと、わかるように活動を開始した。
大きく身をよじる。
地面に向けた背から何か硬いもので押し出して、
体が起き上がる。
翅だ。
白い柔らかい翅が二対もある。
外殻の硬い鞘翅も含めれば三対もある。
何やら多い気がするが、その分きっと早く飛べるのだろう。
フォルムはとてもきれいだ。
とはいえ白い翅はぐちゃぐちゃで今すぐ飛べる状態には見えない。
瑠璃の虫は翅を広げて乾かし始める。
翅を乾かすために翅を広げている。
翅に意識を割きすぎていて、脚を使った移動はできなさそうだ。
おや?
少し離れたところに肉食っぽい大きな顎をもった。
そこそこの、
少なくとも瑠璃の虫を丸のみできるような大きさの虫が現れた。
顎の虫が少しづつ近づいてくる...
瑠璃の虫は気づいていない...わけでもなくなぜか気づいているようだ。
顎の虫が大顎を広げ瑠璃の虫を捕食しようとしたその時。
瑠璃の虫は飛び立った!
羽の乾燥が間に合ったのだ!!
ただ、残念かな。
顎の虫も大きな体の大きな羽を広げ、飛び立った。
その巨体ゆえかものすごいスピードであり瑠璃の虫は今にも大顎につかまる...
こともなく二対ある後翅をうまいこと使いすさまじい速度で遥か上空へ飛び立つ。
顎の虫が諦めて瑠璃の虫に背を向けたその時。
瑠璃の虫が方向転換を行い、ものすごい速度で真下に加速しだした。
真下にいるのは、鞘翅の開いた、柔らかい胴体を露出した顎の虫がいる。
瑠璃の虫が顎の虫の胴体に突き刺さる。
バランスを崩した顎の虫は地面へとたたきつけられる。
胴体を貫かれた顎の虫は瑠璃の虫に内臓を貪られ力尽きた。
瑠璃の虫の勝利だ!
瑠璃の虫の様子がおかしい。
どうしたんだ?
急に悶え苦しみだし...瑠璃の虫も力尽きた。
顎の虫の身には毒があったようだ。
とはいえ顎の虫を倒すことができた。
次の周回ではどうなるのか楽しみだ。
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