翅
ある日
瑠璃の虫は目覚めた。
瞼はなけれども、
目覚めたと、はっきりと、わかるように活動を開始した。
大きく身をよじる。
地面に向けた背から何か硬いもので押し出して、
体が起き上がる。
翅だ。
硬い外殻の一対の翅がついている。
きっとそれを使って起き上がったのだろう。
虫は翅を広げる。
瑠璃色の外殻の下には、
まだ湿っていて、
ぐちょぐちょの白い翅が見える。
この状態だと飛ぶことは難しいだろう。
脚は頭側に一対だけではあるが、太く力強いものがついている。
翅を乾かすために翅を広げている。
翅に意識を割きすぎていて、脚を使った移動はできなさそうだ。
おや?
少し離れたところに肉食っぽい大きな顎をもった、
そこそこの、
少なくとも瑠璃の虫を丸のみできるような大きさの虫が現れた。
顎の虫が少しづつ近づいてくる...
瑠璃の虫は気づいていない。
顎の虫が大顎を広げ瑠璃の虫を捕食しようとしたその時、
瑠璃の虫は飛び立った!
翅の乾燥が間に合ったのだ!!
ただ、残念かな。
顎の虫も大きな体の大きな翅を広げ、飛び立った。
あ、つかまっちゃった。
大顎にとらえられた瑠璃の虫は、
顎の虫に丸のみされた。
顎の虫はこんなにもエネルギーを使わされて少し不服そうだ...
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