第9話 ステータスと神像
「ふわあああああ、よくねた!」
ミナトが目覚めたとき、洞穴の外は明るかった。
ミナトは、包み込むように寝てくれているタロのおなかに顔をうずめる。
「む~。いいにおい!」
「……がぁう?」「ぴぃ?」
「おはよ、タロ、ピッピ。なんかすごく気持ちがいいかんじなんだ!」
「わふぅ~」「ぴぃ~」
ミナトはタロたちと一緒に外に出る。
「ふわあぁぁぁぁ」「わぁぁぁぅ」「ぴぃぃぃ」
外に出て、赤い空を見上げながら、もう一度大きく伸びをする。
なんか、活力に満ち溢れ、元気いっぱいな気がした。
「タロ。今って夕方?」
朝起きて、聖獣たちに名づけをして、昼過ぎに疲れて寝たのだ。
「わう~」
「え? 朝なの? そんなに長い時間、寝てたんだね。おなかすいてない?」
「わふわふ」「ぴい~」
ミナトたちは昨日聖獣たちがとってきてくれた朝ご飯の残りを食べる。
「おいしいね!」
「わうわう」「ぴぃ~」
魚をむしゃむしゃしながら、タロが言う。
「わふ~~」
「え、ステータス確認した方がいいって? あ、こまめに確認しようって書いてたもんね」
----------
ミナト(男/5才)
HP:308/32→308
MP:323/47→323
体力:38→314
魔力:34→310
筋力:18→294
敏捷:26→302
スキル
「使徒たる者」
・全属性魔法スキルLv0・神聖魔法Lv12→18・解呪、瘴気払いLv12→18
・聖獣・精霊と契約し力を借りることができる・成長限界なし・成長速度+
New
「聖獣たちと契約せし者」
・火炎無効・火魔法Lv+56・悪しき者特攻Lv26→207
・隠れる者Lv70・索敵Lv42・帰巣本能Lv25・鷹の目Lv75
・追跡者Lv49・走り続ける者Lv50・突進Lv30
・登攀者Lv20・剛力Lv35
契約者
聖獣166体
----------
「おお! 強くなってる!」
「わふ~」「ぴぃ~」
新しく生えたスキルの下をよく読むと、【隠れる者】から順に、
【ネズミ、雀、鳩、鷹、狐、狼、猪、ヤギ、熊】のスキルだと分かった。
ネズミたちは数が多い分、レベルアップ効果が非常に高いようだ。
「ステータスもすごく伸びてるねー」
「わふわふ~」
「でも、タロのステータスに比べたら全然だよ。早く追いつかないと!」
「わふ~」
「タロが守ってくれるから大丈夫なの? ありがと。えへへ」
そんなことを話している間、ピッピは真剣な表情でステータスを見つめた。
少し残念そうに、溜息を吐いた。
「ピッピ? どしたの?」
「ぴい~」
ピッピは「なんでもない! さすがミナト!」と言って肩に止まってほおずりした。
「えへへー、ピッピ、ありがとー」
ご飯を食べ終わった後、ミナトたちはいつものように修行したり遊んだりする。
「むむ~」「わふ~~」「ぴぃ~~」
河原に座って瞑想をして、
「あ、きれいな石みつけた!」「わふわふ!」「ぴっぴぃ~」
ザクロ石を探して、
「むむ~。今日のサラキア様の像はいい感じだ」「わむむ~」
洞穴の前に移動して、泥で神様の像を作るのだ。
今まで作った神像はもう百体を超えている。
毎日、神像を作っているわけではないが、ミナトとタロで一日に七体とか作る日もある。
だから、たくさんたまっているのだ。
大量の神像を見て、ミナトがボソッとつぶやいた。
「サラキア様の像、お守りになるらしいから……みんなにあげられたらよかったんだけど」
だが、サラキア像も、タロが作ったうんこみたいな至高神像も泥製なのだ。
簡単に壊れるし、雨が降れば、ぼろぼろに崩れてしまうので、お土産にはできないのだ。
「わふう?」
「あ、木で作るのもありだね! ナイフで掘ってみようかな……」
「ぴいぃ?」
神像をしっかり観察していたピッピが「素焼きしたら?」という。
「素焼き? 素焼きって何?」
「ぴぃ~~ぴぃ!」
ピッピが言うには粘土で作ったものを軽く焼いて固めることを素焼きというらしい。
ミナトたちがただの泥だと思っていたものは、ちゃんとした粘土だったようだ。
「素焼きってどうやったらいいの?」
「ぴっぴぃ! ……ぴっぴいいいいいい!」
ピッピは「みてて」というと、乾燥した神像を火魔法で焼き始めた。
「おお、すごい!」「わふ~」
「ぴい~」
「わかった!」「わふ!」
ミナトとタロもピッピの真似をして、火魔法を使って神像を焼いていく。
実はピッピも素焼きは初めてだった。仕組みや理論に詳しいわけでもない。
昔、ちらりと工房でお皿が焼かれているのを見ただけだ。
ちょっとどや顔で、ミナトに説明したくなっただけである。当然成功率は低かった。
五体の神像を焼いて、四体が砕けたが一体だけ、たまたまうまくいった。
「わかった! こうやるんだ!」
一体成功したのを見て、ミナトはコツを理解した。
使徒のスキル【成長速度+】の効果である。
ミナトはみるみるうちに素焼きの腕をあげていった。
「ピッピ、タロ、火力はこのぐらいで~」
「ぴい~」「わふ~」
ミナトがピッピとタロに教えたので、ピッピとタロも素焼きがうまくなった。
楽しくなったミナトたちは、どんどん神像を焼いていく。
素焼きされたことで、神像のクオリティがあがり神聖力が増していく。
もともと神の使徒と神獣が作ったものを、聖獣と協力して焼いているのだ。
もはや、世界中にあるどの大聖堂にある神像よりも、ありがたいものになっていた。
「ふぁいあー!」「わふわふ~」「ぴぴぃ~」
みんなで楽しく素焼き作業をしていると、
「ん? 誰か来たかも。これは人?」
【索敵】スキルを手に入れたミナトが、来訪者に真っ先に気が付いた。
「迎えに行こう!」
そういって、ミナトは走り出した。
☆☆☆
新作はじめました。
「ちっちゃい使徒とでっかい犬はのんびり異世界を旅します」
幼い男の子が、愛犬(でかい子犬)と一緒にのんびり異世界で過ごす話です。
よろしくお願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます