*結び*

 海の災厄は滅び、セイレーンの旅人達は再び海の上へと進出していった。

 銀花とバルカローレもまた、アトラント中を巡る旅に出た。

 災厄から復興を目指す数多の種族と、結ばれた妖たち。

 ゴブリン族がつるべ落としの妖火で鍛えたという燃ゆる刀をはじめ、銀花とバルカローレはたくさんの風物をその目で見て、その耳で聞き、その手で触れた。

 旅の途中で、炎を纏うバイクで旅をするワイバーンと猫妖怪の婦妻ともすれ違った。

 山に住むコブラナイの鍛冶屋でお揃いの指輪を作ってもらった。コブラナイの彼女の名はユーフォニアというようで、姉の一人と同じ名前だとバルカローレは大喜びだった。

 狼族の出店でパンを買ったとき、

『部屋に人を入れようとしないパティってインプが珍しく人を連れてきたから、明日は雪でも降るのかしらんと言ったら海の方で本当に雪が降ったみたいで、びっくりだけどそれはあたしのせいなのかしらん。』

 と言われて種明かしをしたら、『わ、それはお幸せに。』とお祝いをしてもらえた。

 銀花とバルカローレは、新婚旅行の思い出を一つ、また一つとあちらこちらで重ねていった。

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