*五*

「先ほど、王宮の南方、オーディエ海岸より人間及び奇獣どもが攻めてきたと監視所より報告が入りました。メロディーア様、ギンカ様。女王陛下はこれらを討伐しろとのご命令です。既に防衛隊が向かっておりますが、至急向かうようにと。」

「わかりました。」

「メロディーア様。女王陛下からこれを渡すようにと。」

 伝令は一本の槍をメロディーアに手渡す。

 銀花は、メロディーアが槍を受け取る瞬間に目をギュッと瞑りすぐにカッと見開いたのを見逃さなかった。

 涙はすぐに海に溶けて消えてしまったけれど、メロディーアは間違いなくこの瞬間泣いたのだ。

「私はすぐに向かいます。ギンカ様、一緒に来てくださいますね。」

「もちろんよ。」

 槍をギュッと握り、メロディーアは伝令に向かい力強く発する。

「女王陛下の命により、メロディーア及びギンカは人間族の討伐へ向かいます。女王陛下に伝えなさい。」

「ハッ!」

 返事をした伝令はすぐさま引き返していった。

「身支度をしたらすぐに向かいます。よろしいですね。」

「わかったわ。」

 メロディーアと銀花は手を結び合い、支度のためメロディーアの私室へと戻っていった。

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