第4話 4st...
生き急いでるの?
ガキの頃から言われた言葉
命を粗末にするような軽薄な生き方だと
小難しい能書きを大人にぬかされた
知らねーよ勝手だろ俺の
別に死にたいとかそんなヘラってる頭はねぇ
やりたいことを
やるだけ
法律?論理?倫理?道徳?
何語だよ
どこの国の言葉だよ
ガンガンに炙って
テキーラ流して
クラブ行ったりバンドやったり
周りにゃ、さくっと金になる話はちょっと聞けば大体あったし、パクられねーで凌いだ
いい事、悪い事
そんなもんはどっかの誰かさんが勝手につくった決まりだろ
法律とかゆーやつ
日常茶飯事と迄はいかねーけど、周りが煙る、パクられるか消えちまう事が珍しくないし
自分がそうなっても何ら不思議じゃねーのは認識はしてる
中に入って縛られた生活を何年もするくらいなら、この世から消える一択だから、パクられる選択肢はないけど
その時が来るまで、ゴーイングマイウェイ
スタンス?ってやつか
この生き方しか知らねえんだ
世の中もっと違った生き方してるやつがいて、たまに
ほんとたまに
それが気になる時がある
その頻度が年齢と共に増すごとに、どうかしてきてんのかな俺の頭って思うようになってくる
ヤキが回ったのか
成人をすぎて数年
なんでか、きっかけなんて些細すぎてあんま分かんねーけど
ふつーってやつと関わっちまった
良くない、非常に良くねえ
そいつはどんどん俺を蝕んでいった
そいつってのは、何処にでもいそうな、一生関わらねーだろなって思うようなやつ、、子だった
なんでもねー、対した事でも無いことでもその子が嬉しそうに笑ったり、感情を感じ取る度に
自分の中でわけわかんねーなにかが芽生えてた
自分の中のなにかのバランスが崩れていく気がした
普段の自分を隠すようにまでなっちまった
周りの連中にもそれは察されて、時々、なんか変わったなって言われた
表にでもでるつもりかよってからかわれた
そんな事までは考えれねーけど
違う生き方が、あるのか?
そんな恐ろしい、妄想じみた妄言フレーズまで浮かんだ
どーしたんだよ、、、俺は一体
近づいてく事に、
俺の何かはどんどん変わっていくような気がして
それに比例するかのように
それがなんなのか、気になってく度合いが増していった
気持ち悪い
なにかってのがよく分かんねーけど、自分が変わるとか変化していそうになるって
1年が経った
俺は、そのふつーの子と接してるうちにどんどんと、自分が消えたら良くないんじゃないか、自分にとっても、その子にとっても
そんな答えに近づいていった
戻れねえし、変わりきる事も出来ねえ
恐れる気持ちもうまれちまった
ホントの俺を知られたら
あの子に影響を及ぼしたり、なにか巻きこんでしまったら
そんだけの時間接してりゃ、隠してても何となく気づくんかね
いきなり消えちゃったりしないで下さいよ?
ふと、言われた
言われてもそれに応える自身は全くねえ、もうそれ考えてっから
引き返す、表に出る事なんて無理だ
そうこうしてるうちに、わけわかんなくなってる自分が完全にバグっちまったのか
思考を放棄した
ここがいいとこら辺だろーか、それしかねぇなぁ
ある朝起きたら、そんな事が頭の中でいっぱいになった
悲観とかじゃねー
充分だと思ったとこに、色々とあった事で延びちまったんだ
俺見てーなやつが、ブレてく
それも当たり前とやらのことに
あれか、いつかの大人の能書きか
なんとも思わねーよ、一生な
って、はずだったのになぁ
あの子には、自分の存在自体が悪いことをしてる気がして、生きてきて初めてってくらい強い罪悪感が湧いた
それだけは間違いなく明確だ
それと、不思議な感覚っつうか、感情を覚えたんだよな
名前は分からないけど、俺みてーな人間にゃ持っちゃいけねーやつ
それも、明確に間違いなく
その子と自分が
交わっちゃいけねぇ人種と交わった事
おかげでちょっと、思ったより長く生きすぎちまったし、自分が自分じゃなくなっちまったよ
ありがとう
ごめんな
ばいばい
簡潔に伝えて携帯の電源を落として
薄暗い部屋の中
真夜中
ありったけの致死量分をぶち込んだ
身体に力が入らねえ
意識もすぐに途切れるのがわかった
なのに、ゆっくりと思い出していた
まあ後悔や恐怖がないのは、何とかその辺だけは変わりきってはいなかったって事だろ
安堵した
けど矛盾
やっぱり罪悪感はまとわりついていた
いよいよ崩れ落ちて壁に背を預け、目の前が暗くなっていった
まあ、こんなもんだろ
良かった
「天邪鬼だねぇ。」
幻聴が聞こえた
視界もほとんどぼやけてるのに、目の前に知らねー女がいた
誰だよ
言葉にできてるかも分かんねー
「改心して償って、人生やり直すとか思わないのは、ある意味潔くと言っていいのか分かんないけど、貴方のしてきた生き方の貴方なりの、アイデンティティみたいなものかしら?」
何言ってんだ、ほんと誰だ
幻覚幻聴にしてはハッキリしすぎてるし
銀色の髪に、血みてーな真っ赤な目をした女は、淡々と目の前で勝手に意味わかんねー事を言っている
俺はこれが俺で、、、、ダメだ声も出ねーし頭ももう完全まわんねぇ
「ろくでもない人間なのに、魂はそれ同様に濁りきってないのは最後の人間との関わりで、変わったんだねぇ」
だから、な、に、、を
「苦しまずに、もう終わろうか。それなりに葛藤して決断して、最期に罪悪感と手を繋ぎながらってのは嫌でしょ?」
視界はもうほぼ消えてる
なんでハッキリ聞こえてんだ
なんで包まれてるよーな感じがすんだ
「先天性の脳の一部の異常。普通に生きてく為のものが欠落して、普通に生きられなくて不憫だけど、最後にそれに深層心理で変化や疑問を感じて、最後の少しだけは普通の人間だったよ貴方」
「当たり前の、普通の」
その一言は暖かった
頭を撫でられてるような感覚を感じた
「おやすみ」
あの子の声がした
そして全てが真っ暗になった-----
その死神は優しく抱きしめる みなみくん @minamikun
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