第3話 一緒に遊びに行く

「珍しいね、舞香が注意されるの」

「そうかな…」


 まぁ、確かに初めてだったんだけど。

 授業中に注意されるなんて。


「そうだよ〜後輩くんとなんかあったの?さっき来てたし」

「まぁ、そうだね。サッカーでシュート決めるから見ててって言われて…」

「それで見てたら注意された、と」

「はい、その通りです…」


 事実なんだけど、人に言われるとなぁ。

 私がそんなことするとは思ってもなかった。

 自分のことなのにね。


「舞香も自分のペース崩されることあるんだね。なんか不思議かも」

「変?」

「いや、なんか可愛くていいと思うよ!」


 優衣が満面の笑みで言う。


「可愛い、か。ありがとう」


 私は微笑んだ。


「ちなみにさっきで授業が終わったわけだけど、今日はどうする?部活ないんでしょ?どっか寄って帰る?」

「どうしようかなー」

「もしかしたら後輩くんが誘いにくるかもよ?」


 優衣がニヤニヤとしている。


「それはどうだろうね」


 私ははぐらかすように答えた。


 そのあと、帰りのホームルームも終わった。


「さて、帰ろっか」

「うん。そうだね」


 帰ろうと教室を出たその時…


「せっんぱーい!」


 後ろから軽い衝撃がきた。


「た、太陽くん…」

「先輩!僕の名前覚えてくれたんですね!嬉しいです‼︎」


 うっ、この子はまぶしいなぁ。

 というか、飛びついてこられると驚くんだけど。


「太陽くん、ちょっと離してもらっていいかな?」

「はっ、すみません!先輩見つけたから、つい飛びついちゃいました!」


 彼は、へへっと付け足して笑った。

 つい、か。

 それなら仕方ない、のかな?


「そうなんだ。それで、なんか用があったんじゃないの?だって、わざわざ二年の廊下まで来るわけだし」

「あっ、あの、先輩って今日部活ないですよね?」

「ん?そうだけど」

「なら、僕と遊びに行きませんか⁈」

「んーちょっとどうかな」


 私は優衣を見た。

 どっか寄ろうかという話をしていたから。


「私はいいから、後輩くんと帰りな〜」

「そっか。じゃあまたね、優衣」


 優衣は手を振って別れた。


「と、いうことだから太陽くん」

「僕と一緒にどこか行ってくれるってことですか⁈」

「うん、そうだよ。だから早く学校から出ようか。目立ってるから…」


 自分で言うのもなんだけど、私は人気があるみたいだし。

 王子って騒がれてるからなぁ。


「そうですね!早く行きましょう‼︎」


 彼は私の手をとり走り出した。

 廊下を走るのはいけないと思うんだけど。

 というか、手!

 なんか恥ずかしいんだけどー‼︎


 そうして校舎から出た。


「よしっ、ここまで来たらもう大丈夫ですよね!」

「うん。あの、手離して?」

「あっ、すみません!」


 そう言うと、離してくれた。


「ありがとう。それで、どこに行くの?」

「甘いもの食べに行きません?」

「いいよ。美味しいところ連れてってね」

「はい!」


 甘いものか、久しぶりだなぁ。

 ちょっと楽しみかも。


 私達は歩いて、カフェに向かった。

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