第2話 何回も来るな!

 あの告白の次の日から彼は宣言通り来るようになった。

 のだが……


「あっ、先輩!おはようございます!朝から会えるって運命ですかね!」

 だとか…

「先輩!今日も可愛いですね‼︎」

 とかを会う度に言ってくる。


 正直、ちょっと

「つっかれた…」


 というか、明らかに友達に言う言葉じゃない気がするんだけど。

 友達から始めるって言ったのに…


「舞香、大丈夫?」


 私にそう聞いてくれたフワフワ髪で目がパッチリしていて可愛い女の子は、私の親友の

 西園寺優衣さいおんじゆい

 名前からして可愛い。


「うーん、大丈夫だよ」

「例の後輩くんに困ってるの?」

「まぁね…」


 私は苦笑する。

 親友にまで心配させてしまうなんて、申し訳ない。


「なにかあったら言ってね?」

「うん。ありがとう」


 優衣はニコッと笑ってから前を向いた。


 そして授業を受けた。

 授業が終わって気を抜いていた。

 その時—


「せんぱーい!朝霧先輩!」


 彼の声がした。

 瞬間、教室がざわついた。


「王子⁈王子が呼ばれてる!」

「朝霧くん!呼ばれてるよー!」


 そう、私のあだ名は王子だ。

 なぜそうなのかは知らないけど。

 って、早く行ったほうがいいかな。


 私は席を立ち彼のところに向かった。


「えーと、なんの用かな?」

「先輩!僕、次体育なんですよ」

「ん?うん。そうなんだね?」


 なにを伝えたいのかな?

 正直、体育だと伝えられてもね…

 私にどうしろって言うんだろ?


「それで、グラウンドでサッカーをするんですよ!だから、絶対シュート入れるんで見ててください‼︎」

「うーん、自分の授業もあるから難しいかもしれないけど、見てはおくね」


 そう言うと、彼の顔は晴れやかになった。


「やった!先輩の席が窓側でよかったです!

 じゃあ、僕もう行きますね‼︎」


 彼は走って行った。

 なんか、可愛いかも。


 私は私で席について次の授業を待った。

 前の席の優衣が話しかけてきた。


「あの子が例の後輩くん?」

「うん。そうだよ」

「なんか面白そうな子だね」

「ふふっ、確かにね」


 そんな話をした後、優衣は前を向いて授業を待った。

 そして先生が入って来てすぐに授業が始まった。


 始まってすぐは授業を集中して受けていたんだけど、彼が言ったことが気になってグラウンドを見た。


 ちょうどサッカーをしているところだった。

 彼はボールを蹴っている。

 サッカーはあまり分からないけど、上手いと感じた。


 そして、彼がシュートを決めた。

 まさか本当に決めるとは思っていなかったので驚いた。


 その時、彼がこちらを向いた。

 彼は私が見ていたことに気づき大きく手を振った。

 なにも返さないのも悪いと思ったので、私も控えめに手を振る。


 すると、大声で

「せんぱーい!ありがとうございます‼︎」


 なんでここまで聞こえてくるんだろ。

 声量すごいなぁ。


 それを言ったあと彼は、先生にこづかれていた。

 見ていて面白かったので、少し笑った。


「朝霧ー集中してるか?」

「はっ、す、すみません」


 私がグラウンドを見たままだったので、先生に注意をされた。

 こんなこと初めてだ。


 はぁ、調子狂うな…

 

 それからは集中して受けて授業が終わった。

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