WEB小説に〝台詞の説明〟は必要か
久しぶりの通常回ですね。色々と考えたのですが、やはり感想企画はしばらくお休みすることにいたします。じつは間に短編の感想を挟もうとしたのですが、結構な数の作品が非公開あるいは退会されておりまして。たとえ感想が間に合ったとしても、こうして作品そのものがなくなってしまっては、意味がないなと思った次第ですね。
さすがに私の感想があれば、退会を踏みとどまったなどとは思えませんし。たとえどれだけ説得しようとも、一度退会を決めた人はいずれいなくなってしまいます。これはカクヨムのみならず、あらゆるコンテンツに言えることですね。
さて、それとはまったく関係ないのですが。以前、どこかのコメントか企画か創作論にて「なるべく『〇〇が言った』みたいな説明を入れないように気をつけています」といった感じの言葉を見かけたことがあるんですけどね。いくつか理由はあるのですが、私は〝これ〟には真っ向から反対でして。
まず、そもそもなのですが、読者は作者が思っているほど、登場人物の名前を覚えてはくれません。そのコメントでは「話し方や一人称を全部変えている」といった趣旨の工夫を述べておられたのですが、おそらく読者はAとBの区別はついたとしても、AとBの〝名前〟までは覚えていないと思いますね。
特に一人称の小説などでは顕著なのですが、私は〝主人公の名前〟すら覚えることなく、10万字を読了したこともありますからね。特に現代ファンタジーの名前を覚えるのが苦手なうえ、一人称だと主人公の名前の登場機会が少ないですからね。
私が普段から拝読させていただいている作品のひとつに、毎回主人公を含めた〝登場人物の特徴〟が登場する物語があるんですよね。その作品は書籍化作家さまの作品でして、なぜか先生には私のミストリアンクエストもご贔屓いただいております。
その先生の作品は1話あたり1500字未満の毎日投稿となっておりまして、形式としては〝ペーパー型〟にあたります。しかし、かなりの長編であるにもかかわらず、物語もしっかりしており、ほぼほぼバトル展開でありながらも、確実にストーリーが進行しているんですよね。これが本当に素晴らしいなと。やはり書籍化作家さまは〝読ませる〟といった点においても、こうして気を配られているのです。
最初に読み始めた頃でこそ、「こんなに短い文字数なのに、毎回キャラの特徴を紹介しなくてもいいのでは」などと考えてもいたのですが、これが実はWEB小説においては、かなり重要だったのではないかなと思いまして。
そもそも読者は、ひとつの作品だけを読み続けるわけではありません。特に読み専の方などは、いくつもの作品を〝はしご〟しながら読むわけなんですよね。なので、ひとつの物語の登場人物を完璧に覚えているというケースは稀なのではないかなと。
いくら「一人称や話し方をバラバラにして、地の文に誰の台詞かを書かないようにしています」と言ったところで、そもそも登場人物の名前を覚えてもらえないんですから。まったく意味がないとまでは言いませんが、効果は薄いのではないかなと。
台詞だけでは、せいぜい「ツンデレ」や「ドジっ子」や「おっとり系お姉さん」といった感じの〝属性〟止まりであると思われます。やはり地の文で繰り返し名前を出さなければ、読み手の記憶には残らないでしょう。
逆に地の文がしっかりしている作品ですと、長い名前や聞き慣れない名前などでも記憶に残ります。私がカクヨムで愛読している古典ファンタジー作品などは、かなり名前が難しいのですが、それでもほぼほぼ覚えておりますからね。
じゃあ、話し方に特徴を付けることは無意味なのかと言うと、絶対にそうではありません。私自身も実行しておりますし、必要なことだと思います。それに加えて、しっかりと地の文でも人物名を出すべきだということなんですよね。
どのように実行しているのかといった実例を出すために、ここにミストリアンクエストに登場するキャラクタたちの〝台詞のみ〟を集めてみました。集めるといっても、〝これ〟のために書き下ろしたんですけどね。もしもミストリアンクエストをお読みくださっておられる方がいれば、誰の台詞なのかそれぞれ当ててみてください。
https://kakuyomu.jp/shared_drafts/so4KakvzAyW6aJFs3NmVmIHm9dHYVa47
以前、第3章のあるエピソードにいただいたコメントのなかで、「これだけの人数が勢ぞろいしていても誰の台詞かわかるのがすごいです」といったご感想を頂戴したのですが、私からすれば、それだけのキャラのことを覚えてくださったことに深く感謝を申しあげたいんですよね。本当にありがとうございます。
その場面は9人のキャラが登場する食事回でして、書いている私自身が「これ、大丈夫かな?」と感じていたりもしたのですが、こうした好意的なコメントを頂戴し、とても救われたことを覚えております。
おそらく、上記のリンク先の台詞の主を、完璧に言い当てられる方はおられないと思います。――とは言いながらも、当ててほしいなとは期待しているんですけどね。あまり出番のないキャラは台詞にヒントを仕込みはしましたが、どうでしょうね。
もしもご興味があれば、挑戦してみてください。今回はちょっとしたお遊び回となりましたね。たまにはこういうものもアリだということで。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
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