質問とアンケートの違いについて

 久しぶりの通常回ですね。じつは、この話は企画を始める前にしておくべきか迷ったのですが、幸いにも私は「実例」に出遭っておりませんので、今のうちに話しておきます。私は本当に参加者さまに恵まれておりますね。


 特に若い人に多いのですが、誰かに何かを〝質問〟し、それについての〝回答〟を頂戴した場合、無駄に「参考」という言葉を付けたがる人が多く見受けられるんですよね。「ありがとうございます! とても参考になりました!」のような感じです。



 少し考えればわかるのですが、これ、非常に失礼ですよね。質問をした――つまり「教えを請うた側」が、「教えてくださった側」に対して「参考になりました」などと、堂々とのたまっているのです。これを見るのが心底不快でして。


 おそらく質問者側は「参考になりました」という言葉を、単なる〝装飾〟として使っているのだとは思います。「ありがとうございます」だけでは味気ないので、他に文章を追加して、「それらしく」見せようとしているわけですね。


 おおかた「参考になりました」という言葉は、メディアなどのアンケートなどで見かけたことがあったのでしょう。「いただいた回答は今後の商品開発の参考とさせていただきます」のような感じですね。こうした〝アンケート〟ならば問題はありませんが、これを〝質問〟にも応用してしまうと、とんでもなく失礼にあたるのです。


 考えてもみてください。質問者である自身に対して時間を割き、一生懸命に答えてくれた言葉を「たかが参考程度にしか扱わない」と「相手に直接」言っているわけですよ。喧嘩を売っていると受け取られても仕方がないんですよね。


 悪意は無いんだと思います。だからこそ、あえて指摘されることもなく、直す機会を得ることもない。それで「間違った使用例」を「参考」に、次々と間違った使い方をする人たちが増えてゆく。だからこそタチが悪いんですよね。


 こうした場合は「勉強になりました」や、「学びになりました」といった、教わった内容が自身の教養に繋がったことを示す言葉を選びましょう。



 私は以前、色々なゲームの攻略WIKIを編集しておりました。そこで時おりゲームの質問にも答えていたのですが、ここで何度も「参考になりました」だの「参考にします」だのと言われまして。それにウンザリして質問に答えることはやめ、編集もやめてしまったんですよね。こっちは改めてデータを精査し、間違いのない回答をするという労力を使っているにもかかわらず、「参考程度」にしかならないのならば、もう真剣にやる必要もないなと。馬鹿馬鹿しいですからね。


 ですのでカクヨムにおいても、一見さまの質問には一切答えておりませんでした。「参考」にされるのが嫌だったからです。善意で行なったことに対し、ストレスを返されては本末転倒ですからね。貧乏くじもいいところです。



 幸いにも、私のフォロワさまは成熟された大人が多いようでしたので、そうした方面でのストレスを感じることはありませんでした。皆さまは私以上に言葉遣いが丁寧ですし、かれらの言葉遣いから色々と学ばせてもいただきました。白状しますが、私は「おんさく」という言葉すら知りませんでしたからね。


 時おり「拙作を読ませていただきました! とても面白かったです!」と、本気なのか喧嘩を売りに来ているのかよくわからないコメントを見かけることもありますが、そういう方は良い環境に恵まれなかったのだなと。少し悲しくもなりますね。


 「せっさく」とは「つたない作品」を指す言葉です。つまり「ド下手な作品」という意味です。「下手な作品を読ませていただきました! とても面白かったです!」なんて言われたら、完全に馬鹿にされていますよね。どれだけ親しい相手に言われたとしても、私なら確実に怒ります。一発で絶交ですね。


 これを謙譲語として、「自作」をへりくだって言う場合には使えますが、相手の作品に対しては絶対に使ってはいけない言葉です。個人的な考えですが、どれほどの「激辛批評」であっても言ってはいけないと思います。激辛だからといって、何を言ってもいいわけではありませんからね。



 正直なところ、この質問企画を始める際にも、こうした間違った言葉の使い方をする人が来てしまうのではないかと戦々恐々としておりました。一度「参考」という単語は使われこそしましたが、あの場合は問題がありません。幸いなことに、まだ被弾はしておりません。偏見はよくないのですが、ここまで「若い人」の作品を見ていないからであるともいえますけどね。


 しかしながら、おそらく今後「参考になりました!」と言われてしまったとしても、やはり私も直接注意はしないであろうと思われます。なぜなら、トラブルになるのが嫌であるからです。他人のために注意をした結果、憎まれ口を叩かれるのも馬鹿らしいですからね。ですので、ここに予め、予防線として記しておきます。



 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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