現在はミストリアンクエストの改稿を行なっております。

 表のノートにて告知を行なう予定だったのですが、想定外に長い文章となりましたので。あちらはあくまでも〝告知〟のみ、詳細はこちらでということにさせていただきました。これぞ本来の〝切れッ端〟の使い方といったところですね。


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 さて、本題なのですが――。前回の〝問題:幸崎 亮はファンタジーの書き手であるか?〟にてお知らせしましたとおり、現在は作品の新規更新を停止しておりまして、ミストリアンクエストの改稿に注力しております。


 現在は〝第4章〟の第5話から第12話までの改稿が終了しておりまして、ここから一つずつ順番に、過去のエピソードへと遡って作業を進めるつもりでございます。


 なぜこのような形式で修正作業を行なっているのかと申しますと、あくまでも改稿の目的が〝読みづらさの解消〟であるためですね。



 新規に読者さまを増やしたいのであれば、とうぜん入口となる〝第1章〟から順に作業を進めてゆくべきではあるのですが、なにぶん時間と労力の掛かる作業でして。


 特に第1章はYouTubeの辛口批評動画やコメント、2ch(当時)の評価まとめなどを参考とした作品創りを行なっておりました。結果的にそれは〝概ねは正解だった〟とは思っているのですが、ツッコミを入れられないことを念頭に置いたせいもあり、言い訳や説明が多く冗長なものとなってしまっております。


 第1章において〝駆け出し〟であるエルスは問題行動も多く、口調も乱暴で〝やらかし〟も多いです。しかし主人公が嫌われてしまっては読者さまに見捨てられてしまうため、ほんの些細なことにも反省や葛藤を抱くシーンが多く登場いたします。


 実際、こういった場面はウェブ小説では嫌われる傾向にあると、カクヨムでの投稿を始めたあとに知ったのですが、投稿前には主にYouTubeといった〝ウェブ小説外〟の批評ばかりを取り入れていたんですよね。いわば〝ウェブ小説を読まない層〟の意見です。これは〝ある意味では失敗だった〟なと。



 なぜ失敗かと申しますと、単純に〝読まれないから〟ですね。実際に主人公が敗北する場面にて★を剥がされてしまいましたし、このことは「主人公が絶対に勝つのでバトルなんて見る価値ない。実際のバトルなら、苦戦したり負ける場面があって当然だ」といった意見を取り入れた結果でした。


 加えて主人公が対人戦に悩む場面の描写も「異世界だからって簡単に人を殺せるのが理解できない。主人公がサイコパスにしかみえない」といった意見を受けてのものです。先のバトルに関してもなのですが、こうした意見には私にも頷ける部分はありましたので、第1章に採用することにしたんですよね。



 結果的に評価は〝今ひとつ〟と言わざるをえないものとなりましたが、これらを取り入れたことにより、主人公エルスという人格は完全に構築されることとなりました。あれらの葛藤があったからこそ、現在の彼が在るのだと断言できます。


 また〝ミストリアンエイジ〟においても、元は〝鬼畜お題企画〟にて頂戴したお題を基に、誕生した短編の内容が多く含まれております。こうして外部からのお題や意見を効果的に取り入れたことにより、現在の物語は紡がれていったわけですね。


 ですので他者からの意見や批評を取り入れることが、すべて〝悪〟だとは到底申せません。たとえばYouTubeなどの匿名コメントの場合、かなり辛辣な内容や、揚げ足取りのようなツッコミも多く散見されました。しかし〝使える部分だけを使う〟分には、そういった暴力的な言葉の中にも確かに得られるものはあるのです。


 もちろん、これは〝文字だから〟ではありますが。実際に目の前でこうした言葉をぶつけられてしまったならば、萎縮して何も考えられなくなるでしょう。


 要するに受け取り側が正しく情報を精査すれば、いかなるものにも有用な部分は存在しているということですね。時には〝間違っている〟と思っていたものこそが本来は正しく、長年にも渡る悪質な嘘を見破る切っ掛けになったりもいたします。


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 さて、話が逸れはじめましたので〝改稿〟に話題を戻します。こうして様々な意見を取り入れた〝第1章〟なのですが、当時の私が未熟だったということもあり、非常に不安定なものとなっております。


 いわば見よう見まねで建てた家に、さらに増改築を重ねた状態ですね。下手に手を加えると崩壊してしまううえに、点検を行なう際にも慎重を要します。


 そのため第1章の改稿を行なうには相当な労力と精神力を要し、なかなか作業が進まないという結果になってしまうんですよね。さらに作品の入口となる部分ということもあり、新たに読み始めてくださった方への配慮や焦りからくる、精神不安も影響します。「早く終わらせなきゃ」という、脅迫的な不安感によるものですね。



 また、もう一つの理由として、作品のクオリティが途中で上下してしまうといったことも挙げられます。第1章の前半は〝第5次改稿〟によって記されているのですが、第13話あたりからは〝第4次改稿〟のものに戻ってしまいます。


 さらに第2章に進んでしまうと前半こそは〝第4次改稿〟であるものの、中盤以降は〝第3次改稿〟まで戻ります。


 特に〝第3次改稿〟以前のものは〝空白行がない〟ものとなっておりまして、〝空白行あり〟から〝空白行なし〟へと移り変わってしまうというのは、読み手にとってはかなりのストレスになってしまうのではないかと。実際、私が読み手ならばストレスを感じます。最新話までお読みいただいている皆さまには、心より感謝を申しあげます。本当にありがとうございます。そして申し訳ございません。


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 ここで一旦、この〝第〇次改稿〟の詳細を説明させていただきますと――。


◆第1次:

 1話あたり5000字~10000字だったものを、2000字~4000字程度に細分化。それに伴い、第1章の話数が大幅に増加した。


 当時は第1章を連載中だったため、適用は第1章のみ。空白行なし。



◆第2次:

 カクヨムで見かけた近況ノートで語られていたことや、当時のTwitterのタイムラインに流れてきた意見「地の文なんてどうでもいい。わざわざ情景や動作を説明するくらいなら、同じ文字数で一つでも面白い台詞を増やせよ」という意見を取り入れ、情景描写や人物の動作などを大幅にカット。対して台詞の量を大幅に増やし、台詞内にて動作内容が伝わるようにと努力した。


 当時は第2章の前半部分を連載中だったため、適用は第1章のみ。空白行なし。



◆第3次:

 今度は「台詞が多すぎる。台本ではなく小説なんだから、しっかりと地の文を書け」といった意見を取り入れ、第2次にて増やしすぎた台詞をカット。会話内容も改め、地の文とのバランスを整えた。


 当時は第2章の中盤部分を連載中に、半年の休止期間を挟んだため、適用は第1章と、第2章の前半部分のみ。空白行なし。



◆第4次:

 ウェブ小説の書式に合わせるべく、全体に〝空白行〟を取り入れることに。これ以降は〝空白行あり〟での執筆となり、これまでのものと比べ、画面そのものから受けるイメージも大きく異なってしまう。


 また、改稿に着手した当初は〝空白行〟の扱い自体に慣れておらず、場面の切り替え部分などが曖昧になってしまったり、前後の文章が繋がらないといった事態も多く発生した。さらに、これまでの〝増やす〟や〝削る〟といった単純な作業で済んでいたものとは違い、空白行を加えるにあたって文章全体を見直す必要があり、新規のエピソードを投稿する以上の時間と労力が掛かってしまうこととなった。


 当時は第3章の中盤を連載中だったため、適用は第1章および第2章の中盤部分のみ。しかしながら修正が追いついていない第2章の中盤から第3章の中盤までの空白行が一切なく、読者さまに多大なる負担を強いる形となっている。



◆第5次:

 私にとっての大きな転機となる自主企画〝鬼畜お題企画〟に参加させていただいたことにより、もちろん未だ未熟ではあるものの、それまでに比べれば文章力を大幅に向上させることに成功した。これまでの小手先の修正と比べ、書き手としての技術が大きくレベルアップしたと断言することができる。


 特にダッシュ(――)を使いすぎていたことや文法の誤り、空白行を挟んでの時間の流れなど、全体的に「理由はよくわからないけどなんか読みづらい」と感じていた部分が解消されることとなった。それに伴って作品全体を改修すべく、第1章から順番に改稿に着手した。しかしながら年末年始やカクヨムコンを挟んだことにより、思うように時間が取れず、第1章の前半部分にて頓挫。


 改稿といった面においては時間的な都合によって阻まれてしまったものの、新規の投稿においては、教わった内容を大いに生かすことができたと考えている。当時の企画主さまには、改めて深い感謝を申しあげさせていただきたい。


 この時点では第3章を完結させた段階のため、改稿の適用は第1章の前半のみ。



◆第6次:

 現在の最新版にあたる状態。第5次にて培った内容と、さらに他の作者さまの意見やコメント、作品の〝読みやすかった部分〟などを自分なりに研究し、特に〝読みやすさ〟を念頭としたクオリティアップに努めた状態。


 具体的には本文の仕切り〝*〟の追加、時制の制御の見直し、文章のリズムや長さ。画面に表示された見栄えを考慮した、一行における文字数の調整など。難解な言葉が多く多用されている重厚なファンタジー作品においても読み止まることなくスラスラと読めるのは、これらの基本が徹底されているためだと判断した。


 不思議なことに他者さまの作品では〝読み止まる〟といった事態が起こることはないのに対し、自分の書いた作品に限ってこうした〝引っかかり〟が多く散見されたこともあり、いかに基本が抜けていたのかを改めて思い知らされることとなった。


 改稿の適用部分は第4章の第5話から第12話までの間のみ。過去のエピソードに遡る形式にて、順次着手する予定。


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 はい。このような形となっております。ここまでやってしまうと「改稿なんて時間の無駄。そんなことより新作書けよ」という意見も聞こえてくるのかもしれませんが、何度も申しあげておりますように、ミストリアンクエストは私の遺作です。他に代わりはありません。必要であれば命ある限り、何度でも改稿いたします。


 また、一見すると無駄に思えますが、実際に試してみたことによって、何が必要で何が不必要であるかを肌身で感じることができました。


 もちろん頭の良い人であれば、こんな経験を積まずとも一発で正解を導き出すことができるのでしょうが、残念ながら私は幼少時より、あまり頭が良くありません。したがって失敗を重ね、少しずつ学んでいく必要があります。



 むしろこうして失敗を重ねても執筆を続けさせてもらえるだけ、とてもありがたい環境であるとも言えますね。実際の社会において一度の失敗で淘汰されるといったことは、それはもう頻繁に起こり得ます。これからも挫折や失敗、紆余曲折を重ね、立ち止まることもあるかと存じますが、可能な限りの努力を続けてまいります。


 またしても長い文章となってしまいましたね。表のノートに書かなくて正解でございました。今回は以上とさせていただきます。


 長文にお付き合いいただき、ありがとうございます。




追記(2024/06/29):

 現在は第3章の第30話から第4章の最新話までの改稿が完了しております。

 また、アルファポリス版にて第2章・第26話から第34話までの投稿が完了しております。カクヨム版での更新はまだまだ先となりますので、どのように変わったのか、もしも読み比べてみたい方は今のうちに是非どうぞ。あちらは第1話が〝プロローグ〟となっている関係で、話数が少しズレております。


ミストリアンクエスト(アルファポリス版):

https://www.alphapolis.co.jp/novel/210225237/833659217

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