墜ちるときには地の底まで

 前回、質問系の自主企画に参加させていただいたことで、一時的に表に出てしまった〝切れッ端〟なのですが、やはり危惧していたとおり、読者さまが減ってしまいましたね。――ええ、ミストリアンエイジの。


 直前に自主企画で痛い目を見ておきながら、なぜ同じ轍を踏んだんだといった感じなのですが、色々と理由はありまして。まずは「質問企画だったから」ですね。


 作品を書き下ろす系の企画には、おそらく(絶対とは言いきれない)参加することはないのですが、こうしたものならばもしかすると、読者さまが増える可能性もあるかなと。結果は逆に減ってしまいましたね。〝切れッ端〟が表に出てしまったことで、これまでの記事にも目を通され、いずれかの内容に不快感を示されてしまったのでしょう。



 元々この〝切れッ端〟は、表の近況ノートにコンテストの傾向や感想などをつらつらと書き連ねていたところ、その度にフォロワさまが減ってしまったがために、こうした作者の思想的なものは裏に書き連ねようといった形で始めました。


 本当に見たい人だけが見てくださいといった感じです。表のノートに文字を書いたとしても、宣伝になるどころかフォロワさまが減るだけでしたからね。作品と同様に、文字を書くという労力はあるのに、書けば書くだけ損をする。これではまったく意味がないなと。


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 ええ、わかるんですよ。作者が〝自分の嫌いなタイプの人間〟ならば、その人の作品までも嫌いになってしまうという感覚は。「作者と作品は別だから」と、人間はそう簡単に割り切れないものです。


 私もかつて、大好きなイラストレータさんが居りまして。あるゲームの絵柄が切っ掛けで好きになり、その先生のイラスト集を買うためだけに、コミケに足を運んでいたほどでした。時おり先生自身が、手売りしてくださることもあったんですよね。


 今でも印象に残っているのが、夏コミで汗だくで悪臭を放っている中、本当に爽やかな笑顔で応対してくださり、握手までしていただいたことです。


 当時の私事として、職場で無視や暴言などの虐めに遭っていたこともあり、こうして人格者的な対応をしてくださった先生が、まさしく〝神〟に思えた瞬間でした。



 それから一段とファンになり、先生のSNSなどもチェックするようになったのですが――それが個人的に、残念な結果となってしまいまして。


 なんと申しますか先生は自身のSNSにて、〝日本〟と〝日本人〟と〝男性〟を貶す発言を頻繁にされていたんですよね。それとは対照的に、特定の国を高く持ち上げているという。有り体に言えば、左翼の方だったというわけでした。


 私は日本という国を心から愛しておりますし、日本人であり男性です。さすがにいくら作品が素晴らしいとはいえ、自分のアイデンティティを否定する方を、好きでいることは出来ませんでした。


 それからは先生のイラストを見るのも嫌になり、集めたグッズもすべて廃棄してしまいましたね。先生本人が演者としてテレビに出るほどの有名な方なので、ウェブで本人やイラストを見かけることもあるのですが、見えた瞬間に即座にページを閉じています。それくらい苦手になってしまいました。


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 こうした経験などもあり、大好きなクリエイターさんであるほど、私生活や思想などは目に入れないようにしております。エッセイはもちろん、SNSなんてもっての外ですね。なかには大好きなクリエイターさんの情報なら、なんでも欲しいといった方も居られるでしょうが、私は逆なんですよね。


 作品が大好きであればあるほど、作り手本人の情報は遮断しておきたい。なぜなら自分とまったく合わない思想をお持ちである場合、見るのも嫌になるからです。


 私自身がそうしたタイプですので、この〝切れッ端〟を目にした方が、「幸崎の作品はもう見たくない」と感じてしまうのは仕方のないことだと考えております。



 私だってカクヨム内にて、そうする可能性がありますから。事実、明らかに思想的に合わない方は、予めブロックさせていただいております。もうカクヨム内において、揉め事に巻き込まれるのはたくさんですからね。


 ただ、そうするのは明らかに度を越していたり、他者に敵対的だったりする方だけです。別に左傾思想を持っているからといって、すべてを遮断するわけではございません。ああ、この人は左寄りの思想だなーと、勝手に分類するだけです。


 そもそもマスコミや出版関連は、そっち系が多い傾向にありますからね。しかし中には私同様、小さいながらに声を上げておられる方も存在します。マイノリティであるはずのリベラルの方が力を持ち、すでに立場が逆転しているわけです。それにどういった思想によるかを問わず、避けるのは明確に〝他者に攻撃的な人〟のみです。


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 話は変わりまして。数回前の〝紙片:誰がための物語か〟でも吐き出したのですが、私は付き合いであるからとか、営業だから仕方なくなどで、自身の作品を読んでもらいたくはありません。


 なかには〝読み返し〟などで序盤だけを摘み、無理に余計なツッコミを入れて去ってしまわれる方も居られますが、正直言って迷惑です。ご丁寧に「読み返しに来ました」と仰られる方も居られますね。まったく嬉しくないですよ。それ。


 こうしたカテゴライズは嫌いなのですが、日本人の特徴として〝前へ倣え〟の傾向があります。ツッコミのコメントが残っていると、そういう作品なんだと勘違いされ、また似たようなツッコミが入ってしまうのですよね。負の連鎖というやつです。



 特に私のミストリアンクエストは、名前に〝ミスト〟が入っていることもあり、〝霧〟のミストであると勘違いされることが多いです。


 しかしご存知の方も多いと信じておりますが、正確にはミステリのミストです。あらすじや本編にも出てまいりますが、正確な綴りはMYSTLIAですね。


 そもそも元々のタイトルが〝ミスティリアクエスト〟として書き始めておりましたので、最初からミスト要素は皆無なのです。創生紀、つまりミストリアンエイジの世界では、霧は出てまいりませんからね。


 ではなぜ〝霧〟がクローズアップされているのかといえば、ミストリアンエイジをお読みくださっている読者さまならば、なんとなく想像がついておられるかと思います。主人公が答えらしきものを発言しておりますからね。その主人公がミストリアンクエストの世界を管理しているので、そういうことでございます。



 ただ、作品を読まれた感想は読者さま個人のものですので、「ああ、霧が出るからミストなんだな」と思ってくださるのは、それはそれで結構なのです。ミスリードが効いたということで、嬉しくもありますからね。


 しかし〝前へ倣え〟の場合は別です。なかには明らかに本編をお読みにならず、先についているコメントだけを見て、ツッコミをされる方も居られます。


 物語を書いた作者としては、それをされると一目瞭然なんですよね。ああ、この人は読んでないなと。読まずにツッコミだけを書いているなと。



 特にミストリアンクエストの場合、最初期の頃の私の返信――すなわち「!」や「(笑)」などを使い、極めて友好的に接しようとしていた頃のコメントが残っております。その頃の私はとにかく読者ファーストであり、誰でもウェルカム状態でした。明らかな営業コメントに対しても真面目に返信しておりましたし、ツッコミに対してもボケてみたりと、わりと明るく振舞っておりました。


 そうしたコメントだけを見て本編を読まず、同じノリでツッコミを入れて来られる方がいるんですよね。これが本当に精神を抉ってくるというか。


 読み返しや営業なら結構なので、興味がないならお読みにならなくて結構ですといった感じです。時間は誰に対しても有限なんですから、私の作品なんかに使ってほしくはないんですよね。私も不快な気分になるだけで、一切の得をしませんし。


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 もちろん、こうした〝意識高い系〟のようなことはしないに越したことはないのですが。私が読者を選んでいるというより、読者さまに「私の作品を読ませてしまう」という、迷惑を掛けたくないというのが一番の理由です。


 なぜなら〝無理に私の作品を読まれる方〟は、総じて書き手の方であるからです。何度も申しあげておりますとおり、書き手は時間配分がシビアです。


 多くの書き手は自作の執筆を継続しつつ、読み手にも回る必要がある。それならわざわざ私の作品に時間を使ってもらうのは、申し訳ないと思った次第です。


 私の場合、義務感で読むことはいたしませんので、読めない時には無理に読むことはしておりません。現在の精神状態では、読んでも頭に入らない。そうした時には読んでおりませんし、苦手な展開が続いた場合にはキッパリと読書断念しております。



 なかには例外的に、その作品が好きすぎて、ご褒美として読むのを我慢している作品もございます。本当に時間と精神の余裕がある時に、どっぷりと作品世界に浸かりたい。そんな至高の瞬間のために我慢している物語もあります。


 私が更新と同時に読みに来ないからといって、読むのを諦めたというわけではございません。大切に拝読させていただきますからね。


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 しかしながら思うのですが、私が読みに来ることで、モチベーションにつながる作者さまは居られるのかなと。私の場合は多々あります。♡をいただくと「今回もこの方が読んでくださった」と、とても嬉しい気分になります。この方だけには見放されたくはないと、そう心に誓っている読者さまも複数おられます。


 どうなんでしょうね。私の場合レビューを書いても一切反応がもらえなかったり、コメントにも返信されなかったりする場合が多いので、イマイチ自己評価は低いです。せめて「作者が『いいね!』しました」の通知が来るだけでも救われるんですけどね。消されてないということは、ゴミよりはマシだと思われているのか。


 もちろん個人ではなく、単なる数字・統計としてのみ考えている方もおられるでしょう。私の場合はむしろ中身こそが重要で、誰が評価をくださったかが大切なんですよね。営業やツッコミなんていくら貰っても、ひたすら迷惑なだけですから。


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 さて、そんなわけでして。話を元に戻します。質問系の自主企画に参加したのは、これが理由ですね。本当に読みたいと思ってくださる方だけに読んでほしい。そうした思いがあったが故のことです。


 ただでさえ現在は、墜ちるところまで墜ちています。それなら地の底を突き抜けてしまうのも悪くないのではないかなと。私はマイナスが嵩むとプラスに転じる傾向にありますからね。〝闇の詩々集々〟でも示していたとおり、後ろ向きに前向きです。


 なので無理をして付き合ってくださる方に見放されたとしても、本当に私の作品を気に入ってくださる方だけが残ってくだされば良いかなと。


 なかには長年に渡ってお付き合いくださった方や、絶対に嫌われたくない方も含まれてしまうかもしれませんが、それはそれで仕方がないのかなと。深い恩があるからこそ、私に付き合わせては申し訳ない。これ以上のご負担はかけられませんからね。



 そうしたわけでして。

 これまでお読みいただき、本当にありがとうございました。


 そして――。

 いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。

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