第14話 希望の花


「もし、君が良ければなんだけど、僕と契約してくれないかな」


「え? ......しかし、私のご主人様は死んでしまってるので......正式な手続きがおこなえません。 なので、それが発覚すれば......あなたにも罰則が」


「大丈夫、わかってるよ」


僕は手に巻かれていた包帯をとって、奴隷の証を見せた。


「......それは......あなたも......奴隷、だったんですね」


「うん、僕は訳あって捨てられた奴隷だけどね。 だからそういう心配はしないでもいいよ」


「しかし......それでも、私は」


自分が殺されるかどうかの場面で、僕に逃げろと言った人だ。おそらく本当に迷惑をかけてしまうと、迷っているに違いない。


僕は口に手をあて話を切り出した。


「えーと、僕さ......訳あって、ここ数年の記憶が無いんだよね」


「......え、そうなんですか」


記憶がないは嘘だけど、数年間ダンジョンへ閉じ込められていたなんて、説明するのは面倒だしされてもこの人も困惑するだろう。


「うん、だから僕は最近の話がわからないんだ。 君は、おそらく僕よりはこの国の情勢にも詳しいでしょ? だから色々と教えてほしいんだよ」


ネネを捜すには情報が必要。情報収集するにしてもこの五年でどう世界が変わっているかを知っていた方がいい。


......それに、彼女は見た感じまだ十二そこらの少女だ。そんな子をこのまま放ってはおけない。


「君の知識を僕に与えてほしい。 その対価に僕は君を護ろう。 もちろん報酬も支払うよ......どうかな?」


「なぜ、それほどまでに......」


「僕が君を必要としている、それだけだよ」


「ひ、必要?」


僕が頷くと、彼女は少しうつむき思考した。


やがて、考えが纏まったのか、顔をあげ提案への答えを出してくれた。


「......ほ、本来であればここで失われた命です。 その条件であなた様が良ければ......是非お願いしたいです」


「よし、なら決まり。 ありがとう」


「わ、私のほうこそ......ありがとうございます、です」


彼女の手にある証にオーラを流し込む。


「これでよし、契約完了」


「は、はい、ありがとうございます。 なんなりとご命令ください!」


「いやいや」


契約することでの利点は2つある。①契約者同士は互いの居場所がわかる。②魔力を供給しコントロールできる。


①は彼女がピンチに陥ったりはぐれてしまったときに、すぐ駆けつけることができる。

②は僕のオーラを流し込み彼女を身体強化し安全性を高められる。


別に僕は彼女の主人になるつもりもないが、以上の面から契約をした方が色々都合が良い。というわけで契約を結んだ次第である。


てか、名前......何て言うんだろう。今更だけど。


「そういえば、名前、聞いてもいいかな」


「あ、すみません......私、リアナと言います。 歳は十二、魔法の系統は一応、水属性です。 よ、よろしくお願いします」


「リアナか、いい名前だね。 僕はレイ、よろしくねリアナ」


「はい、レイ様......!」


「さ、様はいらないかな、あはは......」




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