エピローグ これが私の役目







 水奈はベッドの中で目が覚めた。

 ここに来てもうどれだけの時間が経ったかわからない。

 水奈がここに来てから、そこそこの時間が経過したようにも思える。

 あの日、ファリテを見送って正式にクレイドルデスゴッドに就任してから。


 部屋で通信の音が鳴り響いた。メディウムからの通達だ。

 水奈は通信画面を開き、メディウムと通話する。

「水奈、次の仕事ですよ。今すぐ私のところへ来てちょうだい」

「今行きます」

 水奈はこれから任務に出る準備を始めた。今回も一仕事だ。



 

メディウムの間へ着くと、水奈はすぐに今回の任務の説明を聞いた。

「以上です。では行きなさい」

 今回の映像を見せられ、水奈はいつも通りにこれからは魂の回収に行く。

 もう怖気ない。これが自分の役目とわかっているから。


 水奈が任務に向かう際に、メディウムが言った。

「水奈、その死神装束も様になってきましたね」

 水奈はすっかり死神装束を着こなしていた。

 もうこれが身体の一部かのように。これを着ていることがクレイドルデスゴッドとしての証である。その役目が十分身についている証にも見えた。

「そうですか? いまでは気に入っている衣装ですよ」

 水奈の頭には、あの日ファリテから授かったサークレットが輝いていた。

そして、死神としていたについた凛々しい表情の水奈の姿があった。


 水奈はもう、この仕事におじけづかない。

 初めて来た頃にはこの役職に選ばれて嫌で嫌で仕方なかった。


 しかし、今は違う。

 今の水奈はこの仕事に誇りを持っている。悪人には罰を与えるが、無念な気持ちで死んだ者の為に、次の世へゆりかごに乗せるように送り出すのだから。

 水奈がやっていることは、それだけ大きな役目だ。

「では、行ってきますメディウム様」

 水奈はそう言って、現世への扉を開き、中へ入っていった。


 そして、呟いた。

「だって、私は厳しくも恐ろしくても、ゆりかごの死神だから」


 今日も水奈は、自分に与えられた使命をこなすのだ。

                               了

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私は籠を揺らす 雪幡蒼 @yutomoru2

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