第4話 天使が村にやってきた
無人島生活もだいたい一ヶ月が経った。
今の暮らしはというと、多少の不便さは感じるが、衣食住には困ることはなく。
相変わらず、サウナ満喫生活をしている。
畑の担当は主にゴンが、狩りや森の見回りはノンが行っている。
俺はというと、料理や畑の神気やり、最近では小物の作成をメインでおこなっている。
あとたまに釣りもね、釣果は・・・聞かないで欲しい。
いまだに坊主ですよ!
ハハハ。
今は、野菜や果物と獣の肉のストックが大量にあるため、畑の神気やりは控えめにしている。
ゴンの狩りも制限し、獣を狩らずに追い返す程度にさせている。
サウナについてだが、ノンは当然として、ゴンもお気に入りの様子。
二人とも毎日サウナを利用している。
ちなみに『合成』にて水着を作成して、全員使用することをルールとしている。
ゴンは当初頭にある狐耳が熱いと騒いでいたので、サウナハットを作成してやった。
どうやら気に入って使っているご様子。
うん、サウナハットは大事なサウナ道具です。
俺は使ってないけどね、俺はタオルを頭に撒く派です。
ゴンにも『黄金の整い』はレクチャー済みで、最初はなかなかうまくいかない様子だったが、今ではちゃんと神気を取り込めている。
ただ、この神気だが、ゴンも取り込むことは可能だが、時間が経つと徐々に減っていってしまうようだ。
どうしてなのかはわからないが、おそらく種族的なものが関係してるのでないかと推察している。
俺達はほとんど毎日欠かさずサウナを楽しんでいる。
サウナ満喫生活は順調この上ない。
気ままな無人島生活といったところか。
さて、そろそろいい時間だし昼食にでもしようかと、屋外に設置してある。
椅子に腰かけ、テーブルに食事を出そうかと思っていたところ。
「おーい!」
と、どこからか声が聞こえた。
「おーい!おーい、てっばー!」
周りを見てみるが、誰もいない。
「こっち!こっち!」
東の上空を見てみると、子供が空を飛んでおり、こちらに手を振っていた。
なんで子供が空を飛んでいるんだ?
その子供が、俺の前に降り立った。よく見ると背中に羽が生えていた。
「急にごねんね。驚いたでしょう?」
「ああ」
そりゃあ驚くよ、なにせ初めての外部との接触だからな。
それにどう見ても人間では無いしな。
「さっきあなた達を見つけてね、ちょっと聞きたいことがあったから、立ち寄らせてもらったの」
羽の生えた小さな少女が、遠慮も無く話し掛けてくる。
「そうなんだ、で、ご用件は?」
「あのね、魔獣化したペガサスを見かけなかった?」
はいー?
さすがに見てないけど。念のためノンとゴンを見てみると。
二人とも首を横に振っていた。
「いや、見てないね」
この子は何なんだ?
「そっかー、おかしいな、方向的にこっちだと思ったんだけど?まぁいいや、半日近くも飛んで、ちょっと疲れたから休憩させてくんない?」
随分慣れ慣れしいな、とりあえず合わせておこうかな。
ノンとゴンが臨戦態勢でないことから、敵ではないと思うが・・・
「まぁ、どうぞ」
と椅子を勧めた。
「あー、疲れた」
と言って子供が椅子に腰かけた、というか、椅子に登ってから腰かけた。
見たところ、身長八十センチに満たない、ちいさな女の子だが。
背中に羽が生えている。いったい何者?
「なんか飲むか?」
「ああ、ありがとう。お願いするわ」
なんだか態度はでかいのが癪に障るが、一先ず泳がしておこう。
テーブルに肘をかけてはいるが、顔は完全に上を向いている。その様はちょっと可愛く見えた。
「麦茶をどうぞ」
「ありがとう、いただきます」
一気に飲み干した。
「もう一杯貰える」
問答無用にコップを差し出してくる。
「はいはい、どうぞ」
どうにも、生意気だな。
「てかさー、あんた誰?私は、天使のアグネスよろしくね。確かここって無人島じゃなかったけ?あっ私のことはアグネスって呼んでいいわよ」
天使?まぁ言われてみればそうか?羽生えてるし。
頭に輪っかは無いけどね。
「ああそのようだな。俺は守、で、あちらがノンとゴン、俺のことは守で構わない」
値踏みするようにアグネスがこちらを見ている。
「ふぅーん、珍しいわね、聖獣連れてんだ。あんた人間よね?よく懐いたわね」
ゴンが前に割って入ろうとしたところを、ゴンの手をつかんで俺がそれを制止した。
「そんなに珍しいのか?」
「そりゃー珍しいわよ。だって見たことないもん。私みたいに天使とかなら、人間と仲良くしてるとこは見かけるけどね。聖獣も私と同じ神様の使いなんだけどねー」
「へぇー天使は神様の使いなんだ」
天使は聖獣ってことなのか?
「そうよ、あんたそんなことも知らないの?」
知らないねー、いろいろ学ばせて貰いましょうかね。
「まだこの世界のことには疎くてね」
それにしても、アグネスは生意気なクソガキ決定だな。
「そうだ、ちょうど昼食にしようと思ってたところだったんだけど、いいかな?」
あえての距離感で接してみよう。
「どうぞどうぞ、こっちが勝手に来たんだから。遠慮なくどうぞ」
「ではでは」
食事の用意を始めた。
ミックスサラダとチキンサンド、あとはミカンとイチゴを収納から取り出した。
「ノン、ゴン昼飯にするぞ」
二人が席に座ったところで、収納からおしぼりを渡してやる。
二人が人化して席に着いた。
「では」
「「「いただきます!」」」
三人合わせて合唱。
二人とも箸のつかい方が上手になったもんだ。
ノンなんて、始めは人型ですら食べれなかったのに、と感心していたら目の前から。
「グウウ・・」
と腹の鳴る音がした。
アグネスが真っ赤な顔をしている。
あれまぁ、しょうがないな。
「食べるか?」
アグネスは下を向いている。
とりあえず助け舟っと、
「実はさー、作物が余っちゃっててさー、食い手が必要なんだよねー」
間をおいてから、アグネスが
「そういうなら、食べてあげるわよ」
と言った。
上からなのが癪に障る。
ゴンがアグネスを睨みつけている。
あげるわよが、相当気に食わないようだ、気持ちはわかるが、今は・・・まだ様子見ですよ、ゴンちゃん。
「ちょっと、待ってろよ。何か苦手なものとかはあるか?」
「そうね、肉はちょっと苦手かな・・・」
「そうか、分かった」
そうだな、とりあえず腹ペコのようだから、ミックスサラダを出してやるか。
「ひとまずこれからどうぞ」
ミックスサラダと、フォークを差し出す。
「いただきます・・・」
とアグネスが小声でつぶやいた。
さて、肉が苦手となると何にしようかな・・・なんて考えていると。
「うんま!なにこれ!ほんとに野菜なの!うんま!」
アグネスが叫びだした。
「ちょっと、あんた何なのこれ。めちゃくちゃ上手いじゃない」
褒められて悪い気はしないな、こらこら落ち着いて食べなさい。
あー、そこ、こぼれてるって。
「お代わり!」
当たり前のように皿を差し出してきた。
「サラダでいいのか?」
「うんうん、サラダがいいの!」
ミックスサラダを、さっき渡した倍の量を出してやった。
「あとこれ、塩を軽く振りかけると、もっと美味しくなるぞ、軽くだぞ」
アグネスは俺の手から塩をぶんどると、サラダに塩を振っていた。
目を輝かせている。
「こっちの塩もあるぞ、藻塩だ」
また俺の手からぶんどると、サラダに藻塩を振っていた。
一口食べて、アグネスが硬直した、かと思ったら猛烈な勢いでバクバクと食べだした。
これはまだまだ食いそうだから、用意してやるか。
俺は『収納』に手を突っ込んだ。
アグネスは結局ミックスサラダを十人分は平らげた。
「守、あんた、いいお嫁さんになれるよ」
決め顔で言われた。
何じゃそりゃ?
どうやら落ち着きを取り戻したご様子のアグネス、麦茶を啜っている。
「で、あんた本当に人間なの?あとさっき食べさせてくれた野菜、美味しさが異常なんだけど、なんか変な薬でも使ってんの?」
そう思うなら食べなさんなよ。
「なわけないだろう、それに俺はれっきとした人間だ、ただこの世界にきてからはまだ二ヶ月ぐらい?かな」
あえて振ってみた。
「守って、転移者なの?」
恐々とアグネスが聞いてくる。
「どうやらそうみたいだな」
戸惑っているアグネス。
「どうやらって・・・でも、なんだかちょっとわかった気がする」
何が分かったのか、眉唾だな。
「そうなのか?」
「いやね、直接会ったことはないから、知らないけど、稀に転移してくる人間がいるみたいなのよ。でね、この世界にはない知識とかが、豊富だって話を聴いたことがあるのよ。だから、何となくよ」
勘はそれなりに鋭いようだな。
「へぇー、他にも転移した人がいるんだ」
「私が聞いたのは、百年以上も前のことだから、今は生きてるかどうかも知らないわよ。ただ、当時は戦争が一番激しい時代だったから、どうなんだろうね」
なんだって!戦争?
「戦争があったのか?」
「あったも何も、今でも確か何処出やってるわよ」
おいおいどういうことだよ・・・この世界は戦時中ってことか?
「戦争・・・」
「人間ってさ、何かれ都合をつけては戦争戦争って、なにが楽しいんだろうね」
何だか急に嫌な気分になった、無性に腹が立ったし、やるせない気持ちになる。
戦争とはな・・・聞きたくなかったな・・・
「そうなのか・・・」
この世界には戦争があるのか・・・なんだか辛くなるな・・・まぁ今の俺に何が出来るって訳でもないんだけどな。
「そういえば、魔獣化したペガサスがどうとかって、どういうことなんだ?」
気分を変えたくなったから振ってみた。
「あー、そうそう、私の村で飼ってたペガサスがね、何だか急に魔獣化しちゃってね。すごくおとなしい子だったのよ。それで、殺すわけにもいかないし、どうにかしなくっちゃってあたふたしていたら、逃げられちゃったのよ。で、逃げた方向がこっちの方角だったから、追っかけてきたんだけど、その子ユニコーンとの混血の子だから、とにかく足が速いのよ。でね、見失なっちゃった、てなわけ」
阿呆が、全然飼えてないじゃないか。てか、飼われてる側に撒かれてんじゃねぇよ!
「そうなんだ、あっこれも食べるか?」
イチゴを皿に乗っけて出してやった。
食らいやがれ!この糞大食い天使め!
「ありがと、どうやって食べんの?」
「そこの蔕をとって食べるんだよ」
俺もつまんでみた。
「ああ、だめだ、これもうますぎる」
下を向きながら食べるんじゃない。アホ天使。
「なんでこんなに美味しいの?反則じゃない?」
とりあえずこれ以上の事は内緒にしておこう。
「まぁ栽培への拘りってことさ」
「ふぅーん、拘りねー。ま、そういうことにしといてあげるわ」
「でもさっきの続きなんだけどもさ、もしペガサスを見つけたら生け捕りにしてくんないかな?」
急に無茶ぶりかよ・・・魔獣化してるってことは、魔獣なんだろ?
「生け捕りか・・・まぁ出会ったらな」
アグネスは
「上手いー!」
と叫びながら、イチゴを頬張っている。
結局、晩飯までしっかりと食したアグネスは、
「帰りたくないー」
とぼやきながら、帰っていった。
アグネスを見送ったあと、ゴンが
「主、何で私を止めたんですか?」
と、詰め寄ってきた。まぁ当然の反応だな。
「そうだな、外部からの初めての接触だろ、そこはほら慎重にさ」
首を傾げるゴン。
「いまいちよく分かりませんが・・・」
「ほら、ゴンだってこの島に百年いるんだろ、その間外部との接触はなかったんだろ?」
「はい、そうです」
ゴンは真っすぐにこちらを見ている。
「百年は結構長いぞ、人間だったら寿命の長さだ。時代が変わってる可能性が高い、そこでなにも知らない俺達が、外部からの接触内容によっては、生活が一気に変わる可能性があるだろ、現に俺は初めて、この世界に戦争があることを知った。だからアグネスの今回の接触は、この世界の情報を得るうってつけの場だったってことさ」
ゴンが腕組みをして、真剣に話を聞いている。
「そりゃあアグネスの態度には、俺も始めは腹が立ったさ、いばり腐った糞天使ってな。でも俺は合えて、食事を提供し、上機嫌にして情報を得ることにしたってことなんだよ」
今はとにかく情報を集める必要がある。
俺達はこの無人島に隔離されているのと同じだ。
しかし、いつかは旅立つ時が訪れるかもしれない。
何より、それを待たずに向うからこちらに現れることもあるのだから。
「そうですか、よく分かりました。さすがは主です」
ゴンが一礼した。
「で、実際どうなんだ。ゴンには外部の情報を得る機会にはなったのか?」
「はい、そうですね。私もこの世界に、戦争があるということは知らなかったです」
「そゆこと」
今後は恐らく、アグネスを通じてこの世界を知ることが出来そうだ。
学ぶことは沢山ある、上手く立ち回ろうと思う。
「さて、明日はペガサス探索にいくぞ。そこでゴン、この島には川や湖はあるか?」
多分、ペガサスはこの島にいると思う、ある根拠を元に俺はそう考える。
「あります、ここから北西に歩いて半日ほどのところにあります」
どうやら決まりのようだな。
「わかった、じゃあ明日は早いから、もう寝ろよ」
「わかりました」
俺は準備を整えた。
翌日、日の出と共に起きた俺は、ノンとゴンを起こし、朝のルーティンを行う。
ノンには湖に行くことを話し、準備を指示した。
ゴンには、畑の水やりは行うようにと告げ、湖に向かうルートについて話しをした。
ルートとしては、川の下流から上流に向かうように考えてもらった。
ただゴンが言うには、湖は中流の手前にあるとのことで、早ければ、昼過ぎには到着するとのことだった。
俺達は、川の下流から順調に歩みを進めている。
「では二人に質問です」
俺は二人にお道化てみせてみた。
「主、なになに?」
ノンは楽しそうだ。
「俺は、ペガサスは湖か川辺にいると考えている、それは何故でしょうか?」
ゴンが手を挙げた。
「はい、ゴンちゃん」
「水の近くは獣が集まりやすい為、狩場となりやすいからでは?」
いいとこついてくるねー。
「んー!五十点」
今度はノンが手を挙げた
「はい、ノン君」
「水が飲みたいから」
おっ、二人ともいいじゃないか。
「ノン君大正解!」
「やったー!やった、やったー!」
飛び上がって喜んでいる。
「というか二人合わせて正解な」
ノンが首を傾げた。
「昨日アグネスが、半日飛んでこの島までやって来たって言ってたろ。おそらくペガサスも飛び続けてきただろうから、真っ先に水を求めるはずだ。加えて、ゴンが言ったように水辺には獣が多いため、獣に狙われて離れられなくなっているか、逆に狩場にしている可能性が高いだろうな」
ゴンが分かった、とばかりに手を叩いた。
「なるほど、分かります」
「主、すごいねー」
「まぁ、あとはこの予想が当たるかどうかってところかな」
そんな話をしていると、随分先に湖らしきものを発見した。
「さーて、そろそろ、二人とも警戒を始めてくださいな、あとペガサスは俺に任せてくれ」
「「はい!」」
二人ともいい返事です。
俺達は歩を進めた、次第に湖が近くなって来ている。
周りには相当数の獣の気配や殺気を感じるが、聖獣スタイルのノンとゴンがいるせいか、向かってくる獣はいない。
更に歩を進めると、水を飲むペガサスが視界に入ってきた。
ビンゴー!
二人と目を合わせる。ノンはすごーいと目で訴えている。
ペガサスまでおよそ百メートルぐらい。
ペガサスは水を飲んでいた。
魔獣化したってのは本当なんだろう、ここからでも黒い瘴気を纏っているのが分かる。
他の獣の気配はあまり感じなくなった、ペガサスから距離を取っている、ということなんだろう。
さて、そろそろ始めるか。
俺は上半身の力を抜き、呼吸に意識を向ける。
鼻から吸って、口から吐く、鼻から吸って口から吐く、どんどん集中力が高まっていくことをイメージする。更に強く集中力が高まっていくことをイメージする。
ペガサスがこちらの気配に気づいた様だ。
鼻息荒くこちらを睨みつけている。
「ノン、ゴン回り込め」
小声で二人に指示を出す。
二人は左右に移動し、ペガサスを徐々に包囲していく、ペガサスの視線は正面の俺に向いている。
距離十メートル
俺はさらに上半身の力を抜き、集中力の高まりをイメージする。
距離五メートル
黒い瘴気をまとったペガサスが、飛び掛かろうと身構えている。
距離四メートル
ペガサスが角で突き刺そうと、一直線に俺に向かってきた。
「ここだ!」
飛ぶように突っ込んでくるペガサス、普段の俺では躱せるスピードではないが、今は違う。
集中力を最大限にまで高めた俺は、一気に身体能力を強化するイメージをし、神気を体に纏う。
ギリギリのところで角を交わしながら、両手でペガサスの首にぶら下がり、その反動で一気にペガサスの背中に跨った。
そして両手をペガサスの腹に巻き付け、神気を一気に開放する。
「神気解放!」
ドン!そんな音がなったような気がした。
俺はペガサスの体の中心に神気を解放した。
横ばいに倒れこむペガサス、湖のまわりにいる獣が、ざわついている。
ペガサスから黒い瘴気が消えていた。
ピンピロリーン!
「熟練度が一定に達しました。ステータスをご確認ください」
能力欄に『身体強化Lv1』と、追加されていた。
「主、すごーい、すごーい!すごい早かったよー!」
と、ノンがはしゃいでいる。
近寄ってきたノンの頭を撫てやる。
ゴンは呆気にとられた感じで、口をあんぐりを開けていた。
横たわっているペガサスのお腹の辺りが、上下していることを確認する。
息はしているようだ、死んではいないだろう。
よかった、ちょっと強く神気を開放し過ぎたかな?
少し時間が経過してから、気がついたのか、ペガサスがゆっくりと起き上がり出した。
声を掛けてやる。
「もう大丈夫だ、安心していい」
遠い目でペガサスが、俺を見つめている。
『収納』から水と大量の人参を取り出した。
俺は水を深めの皿に入れ、人参を皿に置き、ペガサスの前に置いてやった。
「食べていいんだぞ、遠慮なく食え」
俺を見たペガサスが、軽く会釈をし食事を始めた。
相当腹が減っていたんだろう。ものすごい勢いで人参を食べては、水を飲んでいる。
あっという間に平らげてしまった。
この様子を見てノンとゴンが唖然としていた。
「お代わりもあるぞ、いるか?」
ペガサスが、申し訳なさそうに首を縦に振った。
人参と水を『収納』から取り出し、皿に置いてやった。
これまた一気に平らげてしまった。
相当腹が減ってたんだな、引くぐらいのスピードで食ってるよ。
ハハハ。
「お代わりいるか?」
声を掛けてやると、ペガサスはゆっくりと首を左右に振った。
するとペガサスが、膝をおり俺に向かって頭を下げた。
まるで伏せのポーズだ。
おそらく感謝しているということなのだろう、ひとまずはよかったかな?
そうだ『鑑定』してみよう
なっ!!
どうやらやってしまったようだ。
『鑑定』
名前:
種族:ペガサスLv9
職業:島野 守の眷属
神力:0
体力:1673
魔力:3034
能力:風魔法Lv15 浮遊魔法Lv16 氷魔法Lv12 雷魔法Lv14 治癒魔法Lv3 人語理解Lv6 人化Lv3
食事与えちゃったもんな・・・
アグネスにめっちゃ怒られるだろうな・・・
また家族が増えてしまったようだ。
この子の名前?
「エル」にしました。
翌日、アグネスがやってきた。
口をあんぐりとして固まっていた。
「ごめん!なんでも好きな飯作ってやるから・・・許してくれ!」
って、ミックスサラダの大五個でいいの?
安く済んだな。
「はい喜んでー!」
ほんとにサラダが好きなんだなアグネスは・・・
あっそういえばアグネスちょっといいかな・・・
次来るときにちょっとお願いがあるんだけど・・・
ああ、分かっている食事は頑張らせていただくから・・・
あっそうか悪いな、よろしく頼むよ・・・
しめしめ・・・
数日後
ありがとう、これがそうなのね。
へぇ~そうかそうかよく分かったよ。
助かるよ・・・で何が食いたい?
そうかミックサラダの大二つとブル丼、あとはピッグ丼?本当にそれでいいのか?
肉は苦手じゃなかったか?
ここのは美味しいから問題ない。
あっそう。
あとフルーツの盛り合わせ大を二つね・・・
はい喜んで!
で、ちょっと触らせてくれるかな。
この世界の通貨、銅貨・銀貨・金貨・大金貨を手に取ってみた。
ピンピロリーン!
新たに『両替』の能力が手に入っていた
「日本との通貨価値」
銅貨=1円
銀貨=100円
金貨=1万円
大金貨=100万円
すんごく分かりやすいです。
ありがたいです。
俺は夕食を作っている。
本日の献立は、海藻サラダとジャイアントチキンのステーキ、コーンスープにパンと、洋食にしてみた。
最近は新入りのエルの希望で、人参中心のメニューが多かった為、本日は気分転換的な感じ。
人参メニューは、いろいろな調理法で何種類か作ってみたが、結局エルの一番のお気に入りは、細切りにしてサラダにし、味噌マヨネーズにディップして食べる、至ってシンプルな食べ方だった。
シンプルイズベストってことね。
四人でテーブルを囲み晩飯を食べる。
「では」
「「「「いただきます」」」」
元気に皆で合唱した。
そういえば気になったことがあり、何気に聞いてみた。
「そういえば、ゴンもエルも名前がなかったのは何でなの?これまで不便じゃなかったのか?」
二人を見ると何故かドン引きしていた。
俺そんなに変な事言ったか?単純な疑問なんですけど?
咳払いをしてゴンが答えた。
「主、この世界に疎いのですから、知らなかったことなんでしょうけども、あまりにひどいじゃないですか!」
「そうですの、酷いですの!」
二人して何かしら不満だった様子だ。
「何がだよ?説明してくれよ」
しょうがないという表情をしてからゴンが教えてくれた。
「主、いいですか、私達聖獣は神の使いです。基本的には様々な神様の言うことを聞きます。とは言っても、嫌であれば拒否することもできますが。まぁそんな存在です。ただ、眷属になるということは、話がまったく違います」
「どう違うんだ?」
「眷属になるということは、一生仕えると決めた主にのみ従うということです。逆の言い方をすると、仕えている神以外の使いは、しないということです」
「専属になるっていうことか?」
「そうです。そして、仕えた主が死んでしまうと私達の魂は消滅します」
魂の消滅って・・・死ぬのか?
「俺が死んだら、お前たちも死ぬってことか?」
「はい、眷属になるということは、魂を預けることなのです」
だからあの態度だったのね、彼女らにとっては一世一代の覚悟ってことか。
なんだか大ごとになってきたぞ・・・
それが俺でいいのか?
「簡単に言うと、フリーであった者達が、専属になるということです。その対価として、魂を預けるということなのです」
なんだかプロアスリートの世界みたいだな。
会社に所属することで、その会社の看板となる、いわゆる宣伝塔。
競技を行い、好成績を残すことで、注目を集める。
そうすることによって、所属している会社に注目が集める。
そして、その見返りに会社から給料を頂く。
当然会社が潰れたら。食いっぱぐれる。
ただ死にはしないけど・・・ちょっとこの世界は厳しすぎなんじゃないのか?
「それだと、ただ縛られるだけで全然良い事が無いんだけど・・・それに俺の言うことは絶対になるのか?不平等な気がするが?」
絶対服従なんていらない、それはあまりにも面白くない。
「主の言うことが絶対、とはなりませんので安心してください。ちゃんと嫌なことは拒否できますし、意見することもできます」
それならばよし。
自分の意見を言うことは、しなければいけないと俺は考えている。
家族であるなら、なおさらだ。
言いたいことも言えず、自分の中で貯めていく。
そんなストレスは一切いらないし、そんな関係は望まない。
「でも、まだ公平感が薄いな、それならば、フリーでいた方が良いじゃないか。魂を預けるほどのことじゃない気がするが?」
「はい、私たちが眷属になる最大の意味は、主が高みの存在になった時に、私達は神獣になれるからです」
聖獣から神獣になるってことか、神になるってことなのか・・・
神になるメリットってなんだろうか?
「高みの存在ってのが、いまいち分かりづらいな」
「そこは私達も漠然としていることです。ただ一つの例をお話すると、神獣にフェニックスがいます」
「不死鳥か?」
「そうです、よくご存じで」
まぁいろんな物語に出てくるからな。有名な不死身の鳥さんですよね。
「いや、まあな」
「元々フェニックスは、ファイヤーバードという聖獣でした、そのファイヤーバードは、当時中級神であった火の神『フレイズ』の眷属になりました。その火の神『フレイズ』が上級神になった時に、ファイヤーバードは、神獣であるフェニックスになったと言われています」
神に昇格したってことね。
「ただこれは、数百年前のことですし、逸話なので真偽は定かではないんですが・・・」
こいつら、よくそんなことで俺の眷属になったな。
「お前達よくそんなことで俺の眷属になんかになったな、で、結局名前とはどんな関係があるんだ?」
「眷属になる証として名を頂くということです」
あっ、そういうことね、眷属になった証ってことね。
「で、なんで俺の眷属になったの?」
エルが立ち上がって答えた。
「人参が美味しかったからですの!」
歯茎を剥き出しにして、ニンマリ笑った。
「主・・・思い出してください・・・神気が駄々洩れでしたよね・・・望むに決まってるじゃないですか・・・」
何だかごめん、エルちゃんも人参たらふく食わせてやるからな。
ところでエルちゃん、こんな動機でいいんでしょうか?
俺は今、衝撃の事実に打ちのめされている。
預金:2985万4832円
何故だ、何があった。見間違い?いや違う。そんなに使ったか?・・・
使ったんでしょうね・・・でもどうして。
預金が三千万円を切ってしまっている、なんということだ、頭が回らない。
いかん、冷静になれ!考えるんだ。
この島に来てから二ヶ月とちょっと、一ヶ月で五十万円使っているってことか?
浪費しすぎじゃないか、俺らしくもない。
質素倹約がモットーの俺が、一ヶ月で五十万円なんて・・・
ありえない。
これまでを考えてみよう。
まず心当たりが一つ、マイサウナだ。
アルミ素材をふんだんに使用したし、鉄もかなり使用した。
次に、調子に乗って、これまた万能鉱石で調理器具をふんだんに作成した。
惜しげもなく万能種も使っている。まさに「ちりつも」だ。
でもそれだけで、こんなことにはなりえない。何故だ・・・
ん!そうだ。日本だ!
光熱費?いやそれだけではない、ネットの費用、スマホ代、さらにはこの時期は特に、税金関係や保険関係が一気に引き落とされる時期だ。
オーマイガー!これはいかんぞ・・・
このままでは三十年のサウナ満喫生活なんてできっこない。
このまま行ったら十年で底を付く。何か打開策を考えねば。
どうする、何が出来る・・・
声がした。アグネスだ
「やっほーい!また来たよー!」
この大食いダメ天使め、また来やがったのかよ!
ん!あれは・・・アグネスを見ると、腰に小さな布袋を携帯していた。
あれはもしかして・・・
「アグネスいらっしゃい!どうしたんだ?」
「いやー、エルちゃんがどうしてるかなって思ってさ」
毎度毎度これしか聞かないが?
「おまえ、三日前にも同じこと言ってなかったか?」
「ハハハ、まあねー」
気まずそうにするアグネス。
どうせ飯目的なのは分かってますよ。
「で、何が食いたいんだ?」
一転して目を輝かせるアグネス
「えっとね、いつものミックスサラダでしょ、ハンバーグでしょ、野菜スープと、あとあと、チキンサンドでしょ。フルーツの盛り合わせ!」
ほんと直ぐ調子に乗るんだな。
「しょうがない、作ってやるか」
まぁ、俺達で作った野菜を美味しそうに、たくさん食っている姿を見るのは、案外嬉しいもんなんだけどね。
しょうがないから、たらふく食わせてやった。
「なぁ、ところでアグネスその腰にぶら下がってる袋って何だ?そんなの持ってたっけ?」
腰に付けた袋を触りながらアグネスが答えた。
「ああ、これね、これはマジックバッグっていってね、容量に制限はあるけど、いろいろと収納できる万能なバックなのよ。まぁ守の『収納』の劣化版みたいなものよ」
なんとなく分かってましたけど。
「で、どうして持って来たんだ」
「だって前に守が言ってたじゃん、食い手に困ってるって。じゃあ、せっかく来たんだからお土産に野菜をもらってこうかなーって」
なるほどね・・・そうかこの手があったか・・・
これはいい・・・ハハハ・・・未来が見えた気がする。
「そうか、まぁいいよ、どうぞ好きに持っていきなよ」
このアホ天使が!ちょろい!ちょろ過ぎる!
「で、何が欲しいんだ?」
喚起するアグネス。
「その言葉を待ってましたー!」
飛び上がって喜んでいる。
「えっとね、まずはミックスサラダでしょ、それから・・・」
こいつ馬鹿か、調理した物がそのマジックバックで運べるのか?
劣化版ということは、時間経過はあるんじゃないのか?
「ちょっと待て、調理したものを入れても大丈夫なのか?」
そうだったという表情を浮かべたアグネス。
「あっ!ごめんダメだ、野菜をください」
でしょうね。
やっぱりこの子は駄目天使だ。
「じゃあ適当に入れてやるから、そのバッグよこしな」
アイテムバックをぶん捕ってやった。
「お願いしまーす!」
適当に各種いろいろな野菜を詰めてやった。
皆さーん、作戦会議を行いまーす。
集まってくださーい。
三日後
「やっほー、守ー、来てやったぞー」
性懲りもなくアグネスがやってきやがったぞ。
「おう?どうした?」
「そりゃぁエルちゃんの様子を見に?」
もう少し、違う事言えないかなこの子、逆に心配なんだけど。
案の定、腰にマジックバックをぶら下げてるな。
しめしめ。
「そうか、そうか、で今日は何が食いたいんだ」
さっさとやっつけましょうかね。
「えっとねー、ミックスサラダの大を二つとぉー、今日は魚の気分かなー。あとあとー、チキンサンドと、フルーツ大盛りで!」
ほんとよく食べること、その小さな体のどこにそんなに入るんだ?
「はい!喜んで!」
アホが・・・
「あとお土産もらっていいかなー?」
はい、来ましたー。
「どうぞ、どうぞ」
更に、三日後
「また来たよー!やっほー」
「どうした、どうした!」
待ってましたよ、アグネス君。
「それはほらー、エルちゃんの様子を見に?」
そろそろそこは、変えようよ・・・
「そうか、そうかー、そりゃ良いこったー!」
あー、めんどくさくなってきた。いかんいかん。
「ハハハ、どうも、どうも」
あっ!透けて見えた。というか予定通りだな。
「で今日は何が食いたいんだ?」
もう少しの辛抱です、頑張れ俺!
「その言葉最高!えっとね、いつのも通り、ミックスサラダの大を二つでしょ、あとはシェフのお任せで!これ一度は言ってみたかったのよねー!」
クソガキが!お任せだ?俺でも日本の寿司屋で、言ったことがねぇセリフだぞ。
「OK!OK!」
ミックスサラダはもちろんのこと、ピッグピッグのステーキ×2、ビッグボアのステーキ×2、フルーツの盛り合わせ×2を食わせてやった。
「で、今日もお土産か?」
「よろぴくー!」
忍耐力とは大事なものなんですね・・・耐えるとは、こんなに神経をすり減らすのもなのですね・・・でもこれで、これまでの浪費や予期せぬ出費が無くなるのなら、いくらでも耐えますよ、ええなんぼでも耐えますよ。
思わず二ヤけてしまった。
チェックメイト!
そして、遂に迎えた三日後
「守ー!おげんこー!」
相変わらずノリノリですな。
「おぉー、アグネスいらっしゃい!」
ニコニコのアグネスに問いかけた。
「今日は、どうしたのさ?」
「いつも通りエルちゃんの様子を見にさ」
またこれか、天使って馬鹿な種族なのか?
「そうか、そうかー!そりゃあ性がでるねー」
嫌味とも捉えることが出来ず、何故だか照れているアグネス。
「まぁねー、テヘへ」
「で、何が食いたいんだ?」
そろそろ終わりましょうかね。
「そうねー、シェフのお任せで!」
阿呆が!
「はい喜んで!」
二ヤリとほくそ笑んでしまった。
俺は皆に合図を送った。
「シェフのお任せでございます!」
皿を差し出す。その皿にはもやしが一本乗っていた。
絶句するアグネス。
なんとか口を開き
「あのー?これは?・・・」
と言っていた。
「シェフのお任せでーす!」
俺はニコニコしながらアグネスを見つめた。
「あっちょっと、どうしたの?」
「ですので、シェフのお任せでーす!」
俺は顔をグイっと近づけた。
「あっ、そうなんだ・・・」
俺の威喝感に、何かを感じ取ったアグネスが、もやしを一口で食べてから。
「では・・・用事を思いだしたので・・・帰らさせていただきます・・・お土産お願いしまーす・・・」
と、すごすごと逃げようとしたアグネス。
それは許さないとアグネスを四人で取り囲んだ。
「えっと、ちょっと・・・」
小さくなるアグネス。
「今なんと?・・・」
にじり寄るゴン。
「あの・・・お土産を・・・」
ノンが吠えた。
「おい!てめえ舐めてんのか?コラ!もういっぺん言ってみろ、コラ!オウー!」
ノンがアグネスを上から見下げてにじみ寄る。
何が起こったのか、いまいち理解できていないアグネス。
「あ・・・あの・・・守、助けて・・・」
「何で?」
食い気味で言ってやった、真顔でアグネスを見つめる。
「えっ、何でって・・・」
「なんで俺が助けなきゃいけないの?」
俺はこれでもかというほどの冷めた目でアグネスを見つめた。
「そ、そんな・・・」
まだ何事かを察していない様子のアグネス。
「そんなって何?あのさー、君はそもそも何様なの?」
更にアグネスが小さくなり、怯えだした。
「何様ってそんなこと言われても・・・」
「お前さぁー、いい加減わかんないかなー、毎度毎度しょっちゅう来ては、飯作れだの土産よこせだの」
アグネスの顔が歪みだした。
「なぁ、教えてくれよ!おまえさぁ、なんでそんなにいつも偉そうなの?天使ってのはそんなに偉いんですか?俺はお前の部下でもなければ、配下でもないんだけど、どうなのよ?なぁアグネス!教えてくれよ、なぁ!」
アグネスの心が折れそうなのが手に取るように分かる。
「う、・・・う、・・・う!」
アグネスの崩壊が始まった。
「う、じゃねえよ。ってか、てめえ、そもそも生意気なんだよ、初めからよー!。なぁ、このクソガキがよぉー!聞いてるか?おい!コラ!どうせこういうことなんだろ?よく聞けや!」
たっぷり間を作って、アズネスを一睨みした。
そして止めを刺した。
「始めのお土産は天使の皆に喜ばれて、機嫌がよくなって。次の二回目は奪いあいが起こって、しまいには買い取らせてくれっていうことになった、三回目にはこれは商売になるって考えて、高額に俺の野菜を売り捌いたんだろ?なぁ間違ってるか?」
言葉を完全に失ってしまった様子のアグネス。涙が顔全体に広がっている。
ポキッ!
あっ、アグネスの心が折れた音がした。
「うっ・・・うっ・・・ごべんなざい!・・・すいまぜんでびたー!」
「泣けば許されると思ってんのか?あん!」
ノンが吠える。
「もうしません!!すびまぜん!!かんべんしてください!!」
「おい、アグネスよぅ、全部吐いちゃいなよ・・・なぁ?」
悪魔の囁きが終焉を報せていた。
「全部話します!!許してくだざい!、申し訳ございませんでしたー!!」
泣き崩れるアグネス。
と、いうことで、全部ゲロッた。
詳細にいろいろ聞きだした結果、結論的には、一回の出荷で得る利益は金貨四枚ぐらいになったようだ。
欲しいという方にいくらまで出せると迫った挙句に、そんな値段では売れません。と尋常じゃない価格を、調子に乗って迫ったところ。冗談じゃないと、一斉に引かれたので、改めて価格交渉に応じたとのこと。
はぁー、やれやれ。
最終的に今流通している野菜の、三倍までと価格が設定され、今はその価格内にて販売されているらしい。
今回の件を踏まえて、アグネスは今後「アグネス便」として、島の野菜を販売する販売員になった。
ただし、労働条件は決して甘くはない。
ただ働きでもいいかとは思ったが、それではあまりに可哀そうなので、輸送費の変わりとして、今後も食事は作ってやるし、利益の10%は与えることにした。
今後は三日に一度はアグネス便が行われることになった。
畑の野菜はほぼ経費ゼロなので、ざっくりと一月に金貨三十五枚の利益となる、これでこれまで通り三十年のサウナ満喫生活を再開出来そうだ。
これにてお金がない問題が解決した。
ピンピロリーン!
「熟練度が一定に達しました。ステータスをご確認ください」
???
ブッ!
思わず噴き出してしまった。
『行動予測Lv1』って
こんな能力獲得方法ってあり?
まぁ今回だけだろうけどね・・・ッププ!
アグネスの行動予測はたしかに、思いのままだったけどね。
得した気分。
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