第3話 新たな家族

現在の食事事情について話そう。


万能種のお陰で食うには困っていない。

と言うか、畑で育てた作物は、どれも驚くほどに美味い!

おそらく、神気を定期的に土に流し込むようにしたからだと思のだが・・・


前に神気をぶっ放した後、俺は神気を少し操作できるようになっていた。

それで、ものは試しと前にも少し話したが、畑の土に神気を流し込んでみた所、土が光りだし、作物が成長しだした。

ただ前回ぶっ放した時ほどの成長ぶりでは無かった。

ちなみに、光り出した土は、何分かすると輝きは無くなり、いつもの土に戻っていく。


結果、作物はかなりのハイペースで収穫された。

それぞれの作物によって、収穫までの期間は異なるが、早いものであれば二日で収獲できてしまう。トマトなんかがそうだ。

トマトの収穫は本当に早い。


『加工』と『合成』の能力を駆使して、調理道具もほとんどが作成済。

ただ今の問題としては、塩しか調味料が無いことだ。

これは仕方がない、日持ちする穀物や収穫の早い作物を優先的に育ててきていたからだ。

食べることを優先した結果だ。


ということで、現在では畑は更に大幅に拡張されて、調味料になる作物も育てるようにした。

胡椒、唐辛子、胡麻、山葵等様々だ。

とにかく調味料になる植物を植えてみた。

そして、果樹園も作った。

ミカン、リンゴ、カキ、ナシ、栗等いろいろ。


更に、今後要ることになるであろう植物も植えてみた。

ゴムの木、麻、綿、菜の花、小麦、大麦等。


あと、畑でも米が育った。

大変ありがたいことだ。

残念なのが、卵と牛乳だけは畑で作れない、もしかしたらと試してはみたが、芽は生えなかった。

そりゃそうだろう。

だが、種の無いバナナは基の木から生えて来た。

これはどうなんだろうか・・・


いまいち万能種は謎を残しているが、食うには困らなくなったのでひとまずは助かっている。

しかし、まだまだ舌の肥えた日本人には、何かと物足りない。

というのが本音である。




私は九尾の狐です。

ナインテールフォックスと呼ばれることもあります。


私が生れた場所は分かりません。

一番古い記憶で覚えているのは、当時下級神様であった神様に抱かれ、この島の北部で生活していたこと。

島民の方々と共に暮らし、何をするわけでもなく、日々を暮らしていました。


ある時、私は下級神様に命じられ、島の中腹にある、社の裏側にある鶏舎と牛舎の面倒を見ることになりました。

鶏は五匹、牛は四匹、私の仕事としては、主にエサやりと、卵の回収と牛乳を搾ることぐらい。


始めは、鶏と牛に詳しい島民に飼育方法を教えて貰いながら、作業を行っておりました。

次第にそれにも慣れ、私一人でも十分に行えるようになってからは、私の専業となりました。

慣れてしまえば、簡単なもので、ものの数時間で飼育作業は終わります。


数の問題なのでしょう、これが数倍の数を飼育するとなったら大変なことだったかもしれません。

エサやりとは言っても、牛たちはその辺の草を適当に食べているし、鶏もそこいらを勝手に啄んでいたので、特にやることはありません。

たまに森に入って、適当に木の実等を集めては牛と鶏に与えていたぐらいです。


卵の回収と、牛乳を搾って瓶詰めにする作業。

数日おきに島民がやってきては、卵と牛乳を持って帰っていく。

そしてその余り物を私が食する。

そんな毎日を繰り返しておりました。


下級神様は私の下に時折現れ、私の様子と暮らしを確認して。

「お前には魔法の特性があるから、練習するのだぞ」

と言っては頭を撫でてくれました。


私は自分でも魔法が使える自覚があったので、言われた通り練習に励みました。

特に私は『変化』の魔法が得意ということも分かりました。


年月が経ち、私もだいぶ大きくなり、今では狩りに同行するほどの腕前にもなりました。

島民に交じり、獣を狩ることを覚えました。

次第に、自分だけでも獣を狩ることが出来るようになり、狩った獣を島民に差し上げるようにもなりました。


魔法のレベルも上がり、身体能力も向上し、今ではこの島で狩れない獣はほとんどいないぐらいまで私も成長しました。


そんなある日。

下級神様が私のもとを訪れました。


「お前は強くなった、これからも島の為に尽くして欲しい」


「はい、分かりました」


「それから、私は下級神から中級神へと成った」


「そうですか、おめでとう御座います」


「あと念のため教えておくが、山頂にある世界樹が葉を付けなくなってしまった」


「えっ、そうなんですか?」


「ああそうだ、悪いがこれからやらなければいけないことがあるから、席を外してはくれないか?」


「はい」


席を外すと手持ち無沙汰になり、鶏と牛の様子を見に行きました。

数分後、中級神様が私を呼びに来ました。


「九尾よ、心して聞いて欲しい。お前に使命を与える」


とても厳かな雰囲気で、中級神様は話し出しました。

「この社を人間から守ることを役目とせよ、よいな?」


私は本能的にというか、訳も分からずに言葉を発していました。

「承知いたしました」

これが大きな間違いだとも知らずに。


役目を与えられてから数日が経ち、与えられた役目の意味も分からず、私は警戒を続けていました。

更に数日が経ち、やがて緊張感も薄れて来ました。

どうにもおかしいなと感じた私は、一度街の様子を見に行くことにしました。

社から離れていいのか?という、束縛感はありましたが、あまりに何もなさ過ぎたことで、いろいろと疑心暗示にもなっていたのです。


街を見ると、そこはもぬけの殻でした。

誰一人の気配すら感じなかったのです。


「これはいったい・・・」


なにが起きたのか分からなかった。

役目を命じわれてから、まだ数日だと思う。

この島から全ての島民が居なくなっていた。


この島で私は、一人取り残されていたのでした。


なにが起きて、何があったのかも分からず、私は意味の無い役目と共にこの島に一人過ごす生活が、始まってしまったのです。


始めのころは、言いつけを守り、魔法の修練を行い、研鑽を磨いておりました。

じきにどうでもよくなり、行うことは、鶏と牛の面倒をみる事ぐらい。

あとはたまには狩りも行いました。

一人でいることが、こんなにも寂しいことかと思いました。


一度は、役目を放棄し、島を離れようかと海に入りましたが、残念ながら私は泳げませんでした。

今では私の話相手は、鶏と牛です。一方的に話かけています。

寂しさは募るばかりでした。




私は眠りについていました。

何せ特にやる事がなかったから。

なのでまだ少し頭がぼやけています。


私の役割は、この無人島の山の中腹にある、社を守ること。

何から守るって?

よく聞いてくれました、人間からです。


可笑しいでしょ〜!

無人島で人間から社を守ることが役目って、笑っちゃうー。


だから寝てましたよ、得に何もやる事ないんだもん。

ふて寝よ!ふて寝!


寂しいな・・・ぐすっ・・・

あっ・・・牛のエサやりと、鶏小屋の掃除しなくちゃ。


そもそもあの中級神様の言うことなんか聞かなきゃよかったんです。

でも聖獣の性というか、なんというか。

神様の使いとしては、断ることは出来るけど、軽んじる訳にもいかず。


はぁ、なんでこんな役割を受けちゃったのかな。

無人島で人間から社を守るって・・・


私は泳ぎには、あまり自信が無いというか泳げないので、島から離れることは出来ないし。

飛ぶこともできない・・・

幸いこの島には獣が多いし、卵と牛乳があるから、食べていくことは出来るけど。


はぁー、寂しいな。

話し相手が欲しいな・・・ぐすっ・・・


ふて寝をしていたところ、いきなり強者の気配がした。

同じ聖獣の気配、それなりの魔力も感じる。


落ち着け、まだかなり距離はある。

今すぐどうこうなることはないだろう。

距離がある為、相手のことは、気配以外は何も分からない。


私は警戒を続けた、特に相手に動く気配はない。

向こうもこちらの気配は感じとっているはず、だが仕掛けてはこない。

どういうことなのか?

特に争うつもりはないということだろうか。

ならば、それでいい。こちらから手を出すつもりは今のところ全く無い。


できれば、争いごとは避けたいのが本音。

ただ、手を出して来たら迎え打つのみ。

その時は全力でもって対処する。


更に警戒を続けた、ここ数日間動きはない・・・

って言うか、人間じゃないから警戒することないのでは?

獣が社に何かすることって、まず無いわよね。

そう思うと一気に気が抜けました。


はぁ〜。

何だかまた眠くなってきました〜。


うとうとしていたその時


【ドーン!!】


アワワワワ!!


途轍もない量の神気に貫かれていた。

意識が持っていかれそうになる。

何とか気絶せずに済んだ。

多分五メートルぐらいは吹っ飛んだと思う。


何が起きたの?

何で神気が?

何?何?何?

パニック!私パニック!


はぁはぁはぁ、呼吸が荒い。

落ち着こう。落ち着こう。


気配を辿る、聖獣に動きはない。

何が起きている。


私は、ゆっくりと警戒するように、数日駆けて、森を降って行った。

聖獣が見えるところまで行ってみた。


ん?んんん?


人間いるじゃ〜ん!

で、何あの神気?ダダ洩れじゃん。

無茶苦茶怖いじゃない。

ただごとじゃない、あれ神様でしょ?上級神様でしょ?


更に数日間その暮らしぶりを、遠巻きに気配を殺しては観察し、鶏と牛の面倒をみに社に帰るという事を何度か繰り返した。


そして、私は決断した。


降参しま〜す。


その後百年ぶりに人と話す為に、数日間発音の練習をしました。

「エイイーアイオーユー」




皆さんご紹介させていただきます。


俺は今、釣りに行こうと海岸を歩いています。

そして、俺の隣にいるマッチョでニメートルぐらいの体躯の男性、長髪のシルバーヘアーを靡かせているイケメン。

ノン君です。


ちなみにマッパです。

そうです、立派なシンボルをぶら下げております。

くそぅ!


黄金の整いで神気を纏ったノン、その翌日どうなったかというと


『鑑定』

名前:ノン

種族:フェンリルLv10

職業:島野 守の眷属

神力:0

体力:2184

魔力:1602

能力:人語理解Lv5 火魔法Lv10 風魔法Lv14 雷魔法Lv14 人化Lv1


人化って、神気を纏ったからか?

まぁいいや。


「ノン、この人化やってみてよ」


「バウ!」


「あらまぁ、何てこったい」

二足歩行に慣れないのか、何故か中腰の姿勢のノン、背中を押してやる。


「はい、真っ直ぐに立つ!いい姿勢です」

という事の次第です。


隣を歩くノンが、人の姿に興味深々の様子で、自分の手や足をキョロキョロと眺めている。

するとふと固まってしまったノン。


「ノンどうした?」

ノンが口を歪ませていて、ぎこちなくしている。


「あ、る、ぎ」


「あ、れ、じ」

おっ、おおー!

ノンが喋った!


『鑑定』


名前:ノン

種族:フェンリルLv10

職業:島野 守の眷属

神力:0

体力:2184

魔力:1602

能力:人語理解Lv5 火魔法Lv10 風魔法Lv14 雷魔法Lv14 人化Lv1 人語発音Lv1


人化の影響なのか、ノンが喋れるようになった。

まぁ、なんとも面白くなってきましたよ。


そして今は人語の猛特訓中

今日は一日中俺の隣で、発音の練習となりました。

「なまむぎなまごめなまたまご」


「なめみぎなまごまなまままご」


「駄目〜、もう一回」


「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこあわせてぴょこぴょこむぴょこぴょこ」


「かえれぴょこぴょこみぴょこぴょこあわれてぴょこぴょこぬぴょこぴょこ」


「惜しい!」


「えっ惜しい?やた〜ノン惜しい、やた〜」

楽しそうで何よりです。


ノンの声ですが、体格に合わず可愛らし声をしております。

あと、マッパはよくないので『合成』で簡単な服とズボンを、造ってやった。

服を着ることに慣れていないせいか、ノンはモゾモゾとぎこちなくしていた。




何故か私の目の前に、土下座している狐がいます。


「わっ私をぜひ眷属の末席にお加え下さい。よろしくお願いします!」


はぁ?狐が喋ってるよ!

絶賛警戒中のノン、狐の周りを威嚇しながらぐるぐる回っている。


「ノン辞めなさい!」


「ぐっ!」

ノンは俺の隣でお座りした状態、だがその眼光は鋭い。


「え〜と、先程は何と?」

再び土下座しながら畏まる狐。


「私を眷属の末席にお加え下さい、よろしくお願いします!」

眷属の末席にって何?


「君ねぇ、いきなり現れて、何言ってんの?君、名前は?」


「わっ、私に名前などありません!」


「ちょっと、とにかくその土下座止めてくれないかな?、話しづらいんだけど。」

狐がより恐縮した。


「そう言われましても、私には貴方様を直視することなど出来ません!」

直視って、そんなに俺って見たくないほど不細工なのか?

前の世界では決して不細工とは思わなかったが、とは言ってもイケメンでもないけど。

この世界では不細工なのか?

ちょっとショック。


「出来ないってどういうこと?」

何かまごまごしているな。


「あっ、いやあの、そのですね」

なんかすごく困ってらっしゃる様子。


「いいよ、はっきり言ってよ。何?」


「わ、わわ、分かりました。恐れながら申し上げます。神気がダダ漏れです」

自分の身体を見まわしてみた。


「えっ、この光のこと?駄目なの?」

始めからずっとこうなんだけどな。


「私のような者には直視することなど叶いません。どうか神気をお鎮め下さい。」


「鎮めるたって、どうやれば」

ってかこの光、やっぱり、神気だったのね。


とりあえず、やってみるか。


ん!んん?こんな感じかな?


神気が体の中に収まっていく様子をイメージしてみた。

すると、体表を覆っていた黄金の光が体の中に吸い込まれていく。

お!すごい直ぐにできた。神気操作ってやつだな。


「あっ、ありがとうございます」


「おっ、おう」

え〜!こんなことできたの?

神気ダダ漏れって、超恥ずかしいんですけど!

嫌だなもー。


うんうん!気を取り直そう。

知らなかったのはしょうがない。


「で、どういうことかな?」


「私は九尾の狐、この島にある社を守る役目を与えられた、聖獣でございます」

狐は少し喋りやすくなった様子、ちらちらとこちらを見るようになった。


「うんうん、それでその聖獣が、何故俺の眷属になるの?」

そもそも眷属ってなんだよ?


「はい、先程お話しした通り、この島にある社を守るのが、私の役目なんですが、守ると言っても、この島は無人島でして。獣は社を傷つけることはありませんので、役目などあって無いにも等しいかと。そこで先日貴方様の存在に気づきまして・・・」


要約すると、意味の無い役目を与えられて、暇してたところ、とんでもない神気を纏った人間が現れた。

到底敵うわけがないから、早々に軍門に降りにきたという事らしい。


「う〜ん、まぁとりあえず今から飯にするから、一緒に食べてきな」

横をみると、ノンが無茶無茶嫌そうな顔をしていた。

まあそう嫌がるなって、飯ぐらい食わせてやろうよ。

ノンとは対照的に狐は目を輝かせていた。


さてと、本日のランチは軽めにしよう、まずは残っているジャイアントピッグの肉を焼く。

薄切りにしてあるので、火を入れ過ぎないように注意。

脂が出てきたら、タマネギとイチョウ切りにしたにんじんを入れる。

そして馴染んだところにニラを投入、ニラがしんなりしたら藻塩を軽く振って、最後に細かく刻んんだ生姜を入れて、出来上がり。


生姜味のあっさり野菜炒め、ここに醤油があったなら・・・

ああ醤油が欲しい・・・それだけでどれだけ味の幅が広がることか・・・


後は朝作っておいたお米を一膳。

ノンは食事の時は、獣の姿で食べる、まだ人型での食事には慣れないようだ。

深めの皿を二つ用意してと。


「はいどうぞ、簡単な物で悪いが、昼は控えめしてるんでね。ご飯はお代わり自由だぞ」

狐は何だか嬉しそうにしている、九本の尻尾をすごいスピードでブンブン振り回している。


「では、いただきます。」

あれっ、狐が泣き出した。


「もしもし、狐さん。どうしたの?」


「すいません・・・嬉しくて・・・ずっと、長いこと一人でしたので」


「そうか・・・これどうぞ」

タオルを手渡した。

待った、待った、タオルで鼻を噛むんじゃない!

もぉいいです、それ差し上げます。


「私、ここに一人で百年近く住んでますので」

百年?いったいおいくつ?と言いかけて止めた。

初対面の女性に年齢は聞いちゃ駄目だ。声の感じからして多分女性だ。

にしても、よく心が持ったな。

そりゃあ、寂しかっただろうに。

恐ろしい精神力だな。

獣だからだろうか?

人間であればとっくに精神が崩壊しているぞ。


「そうか、それは寂しかっただろう。さぁおいで」

と俺は両手を広げた。


「ウッウッウッ、ビエエエ!ビエエエー!」

と狐は俺に抱きついて大号泣している。

可哀そうに、一体誰がそんなこと命じたんだろうな。

一頻り泣いて狐は気を取り戻していた。


「そにしても長生きなことで」


「はい、ですが、聖獣としてはまだまだひよっこです」

聖獣?成獣?どっち?まぁいっか


「実は俺達まだこの世界に慣れてないんだよね」

狐が動きを止めて、こちらを見た。


「主、失礼ですが、この世界に馴染みが無いということは・・・へんなこと聞きますが、この世界にどれだけお過ごしで?」

主ってまだ了承してないんだけどな。


「う~ん、だいたい二十日間程度かな?」


「そうですか・・・ってえ~!もしかして転移者ですか?」

あー、あー、ご飯こぼしてるよ。ほんとに。


「そうだと思うよ、創造神様に説明もほどほどに、えいや~って、この世界に連れて来られたからな」


「えっ!」

あ~あ、固まっちゃったよ。狐さん。


「もしもーし、大丈夫かー?」


「あっ、すいません。意識が明後日に行ってました」

うん、そんな感じだったね。


「ところでさぁ、気になってたんだけど、役目って言ってたけど、誰に与えられたの?」


「それはあれです、神様にです」

神様なんだ。


「えっそうなの?創造神様に?」

あの爺ぃ、何やってんの。


「違います、別の神様です」

ん?この世界には神様が存在するってこと?

はて、どんな神様なんだ?

それにこの世界には神様が顕現しているということか?


「別の神様?」


「はい、その神様は自分のことを中級神って言っていました」

神様ってランクがあるみたいだな、前に創造神様は下級神とかっていってたし。

この世界には、普通に神様が存在しているようだ。

流石は異世界。

不思議な世界だな。


「中級神・・・名前は?」


「何度かお尋ねしましたが、教えては貰えませんでした」

軽々しく名のれないってことかな?


「そうなんだ。君はこの世界に詳しいの?」


「先ほどお話した通り、島暮らしが長いので、世間の常識などは持ち合わせておりませんが、主よりはこの世界のことを知っているかと思います。あのー、お代わりを頂いてもよろしいでしょうか?」

皿にお代わりを注いでやった。


「そうかじゃあ教えてくれるなら、眷属にしてもいいよ」


「はい、ありがとうございます。もうなってますけど」

狐が嬉しそうにしている。


「えっそうなの?」

何でもうなってるの?許可した覚えはないけど。


「はい、私が心の中でそう望み、主が食事にお誘いくださいましたので」

食事に誘ったらそういった関係になるのか?


「食事に誘ったらそうなるの?儀式とかはないの?」


「食事に誘ったらというよりは、心を開いていただけたので、眷属になりました。儀式は特にありません」

あらまあ。

やっちまったようだな。


どうやら家族がひとり増えたようだ・・・

やれやれ、ノンと喧嘩しないといいが・・・まぁ働き手が欲しかったから、ちょうどいいけど・・・まぁいっか。


「名前を頂けないでしょうか?」


「名前ね・・・」

あった方が何かといいわな。


「じゃあ、君の名前は『ゴン』狐だからね」

あっ、なんかすごい嫌そうな顔してる。


「さて、食器のお片付けっと」

やれやれだな。

ちなみに、人化したゴンは、金髪のオカッパヘアーで、切れ長の目に、厚めの唇、それなりの別嬪さん。人化がレベルLv2のせいか、人化した時にマッパではなかった。

なぜか、ジャージみたいな服を着ていた。

いきなり人化した時は、正直慌てふためいた。

女性がマッパで現れるなんて勘弁して欲しい。




僕はノン!

本当は犬なんだけど、今はフェンリルってのになっちゃった。

でもいいの!

大好きな主と一緒に居られるから。


身体も大きくなって、なんだか強くなったみたい。

急にこの世界に来たときはびっくりしたな、でも主が一緒だったから安心したんだ。


得意なことは狩りだよ、あとは魔法かな?

急に使えるようになってビックリ。

なんだかよく分からないけど、こっちに来てから魔法が使えると感じたんだ。


内緒なんだけど、僕は魔法のことは前から知ってたんだ。

テレビで見たアニメで見たことあるもん。

こんなことできるのって羨ましかったんだ。

だから使えるようになった時は嬉しかったな。

口から火を噴いたり、風を巻き起こしたり、雷を落としたりできるんだよ。


ノンすごいでしょう~。


あとね、好きなことは主に撫でてもらうこと。

撫でてもらうと気持ちいいし、嬉しいんだよ。心がポカポカするの。


こっちに来てからは主とずっと一緒なんだ、楽しいな~。

前に住んでたとこは、主がしょっちゅうお出かけしてたから、ちょっと寂しかったんだ。

でも今はいつも一緒、嬉しいな~。


前はね、日本ってとこにいたんだよ。

僕の一番古い記憶は、主に抱きかかえられていること。


僕はまだ小さく、何も分からなかったんだ。

でも、主に抱きかかえられることに、とても安心感があって。心地良かったんだ。


少し立つと、主が話していることが何となく分かってきたんだ。

嬉しかったなー。ちゃんと言いつけ通りにすると褒めてくれるんだもん。


僕もだいぶ大きくなって、主が話していることは、ほどんど分かるようになったんだよ。

それにテレビで話していることもね。


テレビは好き、いろいろなお話が聞けるし、面白いことをやってるのを見るのも好き。

特にバラエティーってのが好きで、その次にアニメが好き。


主は僕がテレビが好きなのを、薄々気づいてるみたいで、たまに帰りが遅い日には、テレビをつけっぱなしにして、お出かけしてくれていたんだ。


でもほんとはね、テレビのリモコンの操作は知ってたんだ。

こっそり、主が居ない時にテレビを見ていたんだよ。


内緒だよ。


後ね、人型になれるようになったら、話せるようになったんだよ。

前から主とお話したかったんだよね~、嬉しいな。

たくさんお話ししてるよ、話せるようになったら、褒めてくれたんだ。


でもあいつは嫌い、狐!


僕の主なんだぞ!お前のじゃないぞ!


えっ!お前の主にもなったの?

やだやだやだ!この~!

あっ主来た、


「主~!撫でて、撫でて!遊んでよ~!」

主が笑顔で迎えてくれる。


「ノン今日の狩りは終わったのか?」

優しく頭を撫でてくれた。


「まだ!」


「じゃあ、まず狩りにいってきなさい、遊ぶのはそれからだ」

主、優しい!

やった、早く狩り終わって、遊んでもらおっと。


「はーい!いってきまーす!」


たくさん遊んでもらうんだ!いいでしょー。




こんな事がありました。

実に滑稽な話しです、まぁ聞いてください。


俺の朝は早い、二十歳の身体にはなったが、習慣はすぐには変わらない。

日の出とともに起きてしまう。


まぁ、早起きはいい事されてるから、いいんだけどね。

それに早起きは三文の徳なんて言うしね。

向うの世界では、毎朝ノンの散歩をしていた、その癖がまだ抜けて無いようだ。


起きてからは水を飲んだり顔を洗ったり、トイレに行ったりと一通りのことを済ませてから、ストレッチ運動を始める。

その後、海岸を軽く散歩する。


そして、深めの木のバケツを二つ用意し、海へと向かう。

バケツたっぷりに海水を入れ『分離』にて水を作成。

両手にバケツを手にし、畑に向かい作物に水を撒く。


これを大体二十回は繰り返す、いい運動になっていると考えている。

朝の運動といった感じかな。


ある日、何気なくステータスを確認していたところ

あっ!マジか?!


ずっと見落としていた能力を発見した。

初心者パックの中に『収納』とあった。


膝から崩れ落ちるとは、まさにこの事だ、俺は思わず座り込んでいた。

これはいわゆるアイテムボックスってやつだった。


さっそく大量の木のバケツを作成した。


これ以降、畑の水やりに、海との往復は無くなりました。

ちなみ、この収納により、生肉どうするか問題も即時解決。


アイテムボックスって、と~ても便利なんですよ。

入れた時と出した時の状態が変わらないって知ってました?

めちゃ便利!

容量に制限も無いんですって。

一家に一台は必要だと思いません?奥様?

と、いう事で、見落としをしないようにしましょう。

反省!!




神力について考えている。

昨晩のゴンとの会話。


「なぁ、ゴン神力って何だと思う?正直言って全く分かんなくってさぁ」

何となく聞いてみた。


「私も詳しい事は存じませんが、前にお話しした中級神様が『神力とは創造を具現化する力』だと、おっしゃっていました。ただし、それを行うには一定の熟練度が必要だと」

想像を具現化する・・・熟練度か・・・

まぁそれは、なんとなく分かっている。


「創造を具現化する力ねぇー、そうなんだ。ノンが使っている魔法とは違うってことかな?」


「魔法とは違いますね、魔法には魔力が必要ですから」

やはり別物か。

ひと先ずは、そうしておこう。


「そういえば、ゴンも魔法は使えるの?」


「はい、使えます」

魔法使えるのか、いいなぁ。

魔法が使えると、何かと楽になりそうなんだよな。

そうだった。


「ゴン、鑑定していい?」


「どうぞ、どうぞ、遠慮なくどうぞ」

ゴンが姿勢を正した。


「ん、ありがと」


『鑑定』


名前:ゴン

種族:九尾の狐Lv12

職業:島野 守の眷属

神力:0

体力:1384

魔力:2403

能力:人語理解Lv5 水魔法Lv14 土魔法Lv14 変化魔法Lv14 人化Lv2 人語発音Lv3


へぇ〜、ゴンは水魔法が使えるのか、ならば。


「ゴンちゃん、明日から貴方を畑の水やり当番に任命します!」

ゴンが一瞬ビクッとなった。


これで、朝の水やりからは解放されました。

よかった、よかった。




現在能力の開発中。

創造を具現化する力ってことだけど、いっちょやってみますか。


ということで、ただ今大豆と格闘中。

煮込んで潰した大豆に、塩を少々混ぜたペースト状の大豆、完成した味噌をイメージして神気を与えてみる。


駄目だった。


ちっ、簡単にはいかないか。


ならば、今度は空気中にある、麹菌が集まって大豆と混ざっているイメージでやってみる。


駄目だった。


味噌食べたいなー、欲しいなー。


更にそこから麹菌が発酵されていくイメージを加えてみる。


駄目だった。


だが近い気はする後は何だろう?

そうだ熟成されていくイメージを加えてみる。


おお!味噌ができた!やった!


ピンピロリーン!


「熟練度が一定に達しました。ステータスをご確認ください」


「よっしゃ〜!」

思わず口にしていた。


味噌ゲットだぜ!


能力に『熟成Lv1』が加わっていた


この日を境に、味噌、醤油、そして大量のアルコール作成が始まった。


これを一番喜んだのがノン


「犬飯が食べれる〜!」

と、大はしゃぎ、そこら辺をぴょんぴょん跳ね回っていた。


それに対してゴンは

「犬飯って何?」

と強い口調でノンに聞いていた。


「何って、ノンの大好物なご飯だよ」

はしゃぎまくるノン。


「ふん!興味ない」

とゴンは塩対応。


何はともあれ仲良くして下さい。




俺はと言うと、アルコールの作成に勤しんでいる。

まずはビールだな、サウナ後のビールは必須でしょう。

あとは、ワイン、日本酒、酒精の強いのも造って、アルコールランプも造らないとな。

いやはや、アルコールがあると、人生が明るくなりますなー!

いろんな意味で。


ハッハッハ!




さて、こうなってくると急がれるのが、備蓄倉庫とゴンの家。


さすがに聖獣とはいえ、女の子を同じ部屋で寝泊まりさせるのは気が引ける。

今ある家の隣に、同じサイズの家を作ろうとしたところ。


「主と同じ大きさの家に住むなんて滅相もない、小さいのでお願いします」

と懇願された。

だが、備蓄倉庫に入りきらなかった作物も入れる必要があるからと、断固として拒否した。


俺の家はまた後日、新たに建設するつもりだ。


ゴンの家は数日で完成した。やっぱり『合成』があると、かなり家の完成度が上がる。

ありがたいことです。


家の完成後、始めの内はソワソワしているゴンだったが、次第に慣れたようで。

今では、存分に我が家を堪能しているようだ。


家の建設は、俺とノンが中心に行なった。

今のところ、肉は充分に足りているので、ノンの狩りは一旦ストップ。

家の建設には、人型のノンがおおいに役立った、やはり複数人で行うと仕事が早い。


家は前回の反省をもとにいろいろ手を入れている。

ちゃんと窓を設けて、家そのものも大きさを倍にした。

能力が更に向上したことにより、建付け等も格段に良くなっている。

自分の新居を造る時には、もっと上手くなっていることを願おう。


ゴンは畑仕事全般を行うことになった。

水やり当番から畑当番へと格上げした。


ただ土に神気を与えることと種蒔きは、俺しかできない仕事になっている。

神気はしょうがないとして、種蒔きはできるだろうと、コツを教えてゴンに万能種を植えてもらったが、作物は育たなかった。


どうやら万能種も、俺の能力の一部ということらしい。

ちなみに、万能種から作った、作物の種からは、ちゃんと芽が出た。

なので今は、積極的に収穫した作物の種から、種植えは行っている。


一通りの完成を得てからというもの、とても安定した穏やかな生活を営んでいる。

ちなみに備蓄倉庫はログハウスの四倍ぐらいののサイズになった。


たくさんお野菜作りますよ~!




おトイレ事情について説明しておこう。


転移後、最初は正直に申し上げて、小の方は適当にそこら辺の浜辺でおこなっておりました。

大の方は浜辺に小さく穴を空け、そこに催しておりました。

紙はないので、適当な葉っぱでお尻は拭いていました。


さすがにこのままでは良くないと、最初のログハウス建設後、畑の隣にトイレを設置することにした。


構造としては、畑に向けて斜めに穴を掘り進めていき、土が崩れないように、万能鉱石にてモルタルを作成。

穴の側面をモルタルで固めて、穴は完成した。大体深さは三メートルぐらいといったところか。

便座の椅子は木で作成し、蓋を用意。

使用後は蓋をしておくといった、簡易的なものにした。


雨が降っては良くないと、屋根と壁はもちろん完備。

使用後は予め準備しておいた。バケツの水を流す。


そして念の為、十日に一度は『分離』にて、匂いをとり除いている。


あと、お尻を拭く紙は『加工』にて、木から紙を作成している。

まだ熟練度が低いのかそれとも材料の問題なのか、紙質は再生紙のようにゴワゴワして硬いのだが、葉っぱを使うよりはよっぽどいい。


使用方法は、ちゃんとノンとゴンには、ルールとして徹底させている。

使用後は必ず蓋をするように!


なんで畑の隣にしたかって?


「肥料になるからですよ!」




ちょっと試したいことがあるので、本日はノンの狩りに同行中。

獣を見つけたら、教えるようにすることと、手出し無用とノンには伝えてある。


鼻に意識を集中しているのか、ノンの鼻の周りがひくひくしている。

ノンが手を差し出して、俺を制した。


「主、いるよ、あっち」

と右奥を指さした。


ノンが指をさした方向を見てみると、デカい鶏?のような獣が草をつついていた。

体長一メートルぐらいはありそうだ。

一心不乱に草をつついている。虫でもいるのだろうか?


距離五十メートル


音を立てないようにゆっくりと近づくことにした。

抜き足、差し足、忍び足っと


「あっ!」

ノンが不用心に声を出した。遅れて枝が折れる音がした。


まずい、逃げられると思った矢先。

何故だか猛然と俺に向かって来る、デカい鶏。

真っ赤な目で俺を睨みつけている。

その様から獰猛な獣であることが分かる。


距離三十メートル


俺は、左手の人差し指をデカい鶏の方向に向ける、いわゆるピストルの形を作る。

右手を添えて、神気を放つ、イメージはピストルから弾丸が発射されるイメージ。


「バン!」と口にする。


デカい鶏のような鳥は、バタリとその場に倒れた。

やはりできた!

神気銃!

デカい鶏は気絶していた。


ピンピロリーン

「熟練度が一定に達しました。ステータスをご確認ください」


『鑑定』


名前:島野 守

種族:人間

職業:神様見習いLv3

神力:計測不能

体力:879

魔力:0

能力:加工Lv4 分離Lv4 神気操作Lv2 神気放出Lv2 合成Lv2 熟成Lv1 初心者パック

預金:3050万13円


続けてデカい鶏を『鑑定』


『鑑定』

ジャイアントチキン 森に生息する獣 食用可


鶏肉かぁ

嬉しいねー、今日はから揚げにしようかな?


本日の晩飯は、ジャイアントチキンのから揚げ。

バットに鶏肉とショウガ、ニンニクと醤油を入れ、あらかじめ漬け込んでおく。

おっとネギも忘れずに投入。


俺のから揚げの衣はジャガイモから造った片栗粉のみ、そして片栗粉には胡椒をふんだんに混ぜておく。


畑で大量に手に入れた、菜種を『加工』にて油にし、調理開始

まずは二百度ぐらいの油で一分ぐらい揚げる、そして、次は百六十度の油でじっくり四分揚げる。


最後に出来上がったから揚げを一つ取り上げ、包丁を入れて、念の為火が通っているのか確認する。うん、いいでしょう。

お一つ味見、OKです。

我ながらグッジョブ!


「おーい、飯にするぞー、ノン、ゴン早くおいでー」

から揚げにミックスサラダ、朝炊いた米と味噌汁を収納から取り出した。


「では」


「「「いただきますー!」」」

三人そろって合唱。


「主、から揚げ美味しいね、ご飯を犬飯にしちゃっていい?」

好きにしなさいな。


「いいけど温かいぞ、ノンは本当に犬飯が好きだな」

最近は人型での食事にトライ中のノン、ゴンが人型で食事をするのを見て、対抗心から行っているようだ。


「温かくていいの、人型だと温かい方が美味しいもん」

人型と獣型で味覚が変わるのか?


「そうなんだ」


「ふん!犬飯って、お行儀の悪いこと」

ゴンが怪訝そうに言っている。


「まぁそう言うなゴン、ノンは昔っからこれなんだから、許してやってくれ」


「主がそういうなら・・・」

ゴンはしょうがないな、といった顔をしていた。


「そうえいば、主、始めてから揚げなるものを食べましたが、すごく美味しいですね」

ゴンが嬉しそうな顔をしている。


「あっそうだ、ゴン聞きたいことがあったんだけど、二人とも聖獣なんだよな?獣なのか?あと、今食べてるジャイアントチキンにしても、獣なんだよな?どうなの?」

箸を置いて、ゴンが喋りだした。


「まず、この世界では、人型の生き物以外を獣と言っていると、解釈されていいかと思います。なので獣人とかは、獣にはなりません」

獣人ねぇ、いるんだ・・・面白そうだな。会ってみたいな。

まてよ、いうことは獣人は、二足歩行ってことか。


「獣人がいるんだ・・・あっ食べながらでいいぞ」


「ありがとうございます、では遠慮なく」

ゴンは箸を持って、から揚げを口に入れた。


「獣も大きくは三つに分類されます。まずは私やノンのように聖獣、そして、魔獣、獣です。」

そうなのね。


「その違いは、聖獣は神の使い、獣は本能のままに生きる生き物で、比較的知能は低く、意思の疎通はまずできません。そして魔獣。魔獣は獣が何らかの異変により、狂暴化した獣です。力もスピードも格段に強くなります」

魔獣か、獣より強いってことね。何かしらの異変ってのが気になるな。


「どうやって見分けるんだ?」

これがすごく重要に感じる。


「何となくです」

はい?何ですと?


「何となくって、どういうこと?」


「魔獣に関しては、黒い瘴気のようなものを纏ってますので、可視化できますが、聖獣と獣の違いは知能の差が大きいので、何となくです」

そういうことね、見た目だけでは分からないということか。


「なるほどな、聖獣も獣の姿でいれば、獣に見えるってことだな」


「おっしゃる通りです、人型になれない聖獣も中にはいますので」

これは大事なところだぞ。


「だから知能の差は見た目では分からないから、雰囲気で掴むしか無いってことだな」


「そういうことです」

間違えて聖獣を殺してしまったら、気分悪いよな。


「ただ、聖獣は先ほどお話しさせていただいた通り、神の使いですので、そうそう間違えることはないかと思います。あと、聖獣はかなり数が少ないです」

聖獣と巡り合うことは少ないということか。


あっ、そういえば。

「ゴン、お前神様の使いってことは、俺の眷属になって大丈夫なのか?」


「はい大丈夫です。私がよく仕えていた神様は、もうこの島にはいませんし、百年も会っておりませんから」

ん?どういうことだ。会っている年数が関係するのか?とりあえず今はいいかな。


「そういうもんなのかねー、まぁいいけど。そっかー、獣を狩るときは背後からは辞めとかないとな」

獣の目を見ることが、必要だろうな。

目をみれば、意思が感じられる。それで判別できるだろう。


「主はお優しい」


「違うよ、間違って聖獣を殺したとなったら、寝起きが悪いだろう?まぁ『鑑定』があるから大丈夫だとは思うけど、それで、人間の俺に仕えてていいのか?俺は神じゃないぞ。ステータスを見る限り、人間だ」


「神気をそれだけ身に宿していれば、私にとっては神様です。それに現に私もノンも眷属に成っています。神様の見習い中でも眷属を持てるのではないでしょうか?」

創造神の爺い、なんか弄ってるかもな・・・

あの人ならやりかねないな、いや、十中八九やってるな。

ノンが俺に器を差し出した。


「主、お変わりー」

ノンはマイペースですなー。


はいはい、どうぞ、どうぞ。


「ゴンはお代わりいいのか?」


「私もお願いします」

から揚げってご飯が進むもんね。

気持ちは良く分かるよ。

もっと食べなさい。

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