第2話 無人島での暮らしとマイサウナ

目の前に拡がるのは広大な海、潮騒が耳に心地よい。

穏やかな波の光景が心に溶け込んでくる。

水面が輝いていて、眩しいほどだった。

空気が美味い!

ずっと眺めていたいとの衝動に駆られるが、そうとも言ってられない。

何といっても、いきなり無人島に放り出されたんだから。

そしてあまりの海の透明感にここが異世界である事を実感した。

日本ではこうはいかない。

この海の透明度って・・・


足元を見ると、砂浜の上に立っているのが分かった。

手の平を見てみる、そして腕を確認する、それなりに引き締まっている。

シャツを脱いでみた。

胸の張り具合、引き締まった腹まわり、肌の張り。

おお!・・・若返りを実感した。

若い!若返っているぞ!

これはいい!

すごく良い!


念の為にシンボルを確認する・・・変化なし、残念!


漲る体力と活力、その場で跳ねてみたくなった。

さっそく跳ねて見る。

軽いぞ!

とんでもなく体が軽い!何だこれ!

それに滞空時間が長い!


無性に走りたくなった。

思わず走ってみる。

走る、走る、一気に駆け抜ける!

楽しい!無性に楽しい!

ずっと走っていられるような気がする。


もう一度跳ねてみた。

何故だか楽しい!何でだ?

背伸びをしてみる。

肩の可動域が広い!驚くほどに身体が柔らかい!

こんなに身体って伸びるものだったか?

それに慢性的な腰痛が無くなっている。


「若いって最高!!」


無限の体力と気力を感じた。

身体が変わるとここまで気持ちが変わるものなのか・・・

心と体は繋がっているというが・・・ここまでなのか・・・


「バウ!!」


声がしたので振り返ると、そこには大きな犬?狼?のような動物がいた。

目を見てすぐに分かった。

これは間違いない。

私の相棒だ!


「ノン!」


「お前ノンなんだろ、おいで!」


両手を広げると思いっきりノンが体を預けてきた、あまりの重さに堪えられず尻餅をついてしまった。

そして、砂浜の熱気を感じる。


全身でノンのモフモフを堪能する。

ああ、楽しい!それにこのモフモフ気持ち良い!

なんて楽しいんだろう!


改めてノンを見てみる。

これまた立派になったなあ。

体が倍ぐらいの大きさになっている、そして獰猛な爪。

あれで切り裂かれたら痛いだろうな。

ちょっと怖いぐらいだ・・・

毛皮がモフモフになっているのはいいよね。

たくさん撫でてあげようと思う。

モフモフが気持ち良いからね。


それにしても、これまた精悍な顔つきだこと。

姿が変わるとは聞いていたけど、ここまで変わるとはな・・・

ノンと目を合わせた。

笑っているように見えた。


あぁ、いかんいかん、今はいろいろと確認するのが先だった、状況の整理が必要だ。

まずは周りを観察してみよう。

さっそく現状把握だ。

目の前は海、風は微風、足元は砂浜、そして振り返ると森、さらにその奥に山と、広がる空。

空は雲一つ無かった。

気温は大体二十五度ぐらいだろうか、過ごしやすい気温だ。


ん?んん?

もしかしてこの島って、めっちゃくちゃデカくないか!

デカいよね!

ええ、間違いなくそうですよね!


なんだか森が騒がしいが、とりあえず後回し。

あと、なぜだか身体の周りが光っている。

何で?


私、いや、ここでの一人称は俺にしよう。この身体で私というのはキザに感じるし、大人ぶって見えて滑稽な気もする。

それに身体がそう呼べと言っている気がする。

やっぱり身体に心は引きずられるよね。


俺の服装は日本での恰好のままで、靴下姿だったが、よく見ると足元にスニーカーが置いてあった。

創造神様お気遣いありがとうございます。足下って大事だよね。


さて、いきなり始まったサバイバル生活、何から始めようか?

まずはサバイバルの基本は水・火・食料の確保と、無人島を筏で脱出するテレビ番組でやっていたのを思い出した。


ということで、まずは水、川がないか探してみるか?どうしよう・・・そうだ初心者パック!ってどこにあるんだ?

周りを見渡してみたが、それらしい物は見当たらなかった。


一応ノンに聞いてみるが

「ノン、初心者パックってどこにあるか知ってるか?」

首を傾げている、うん、分からないなと。


う~ん。ん!

そういえば自分の状態を確認できるとか言っていたな、よし、多分こういうことだろう、よく異世界ものとかであるやつだな、正直恥ずかしいがやるしかないようだ。


「ステータスオープン!」


目の前で半透明のモニター画面のようなものが現れた。


「やっぱりそういうことですか・・・ん?そういえば、確認したいと思ったら確認できるって言ってなかったか?」

モニターが消えるのをイメージしてみた。


消えた・・・モニターが現るのをイメージしてみた。

出現した。

あらま、お恥ずかしいこと!


声に出す必要はなかったってことね。

ノンを見ると何かを察したのか、急に下を向いていた。

さて、気を取り直して確認しましょうかね。


名前:島野 守

種族:人間

職業:神様見習いLv1

神力:計測不能

体力:780

魔力:0

能力:加工Lv1 分離Lv1 初心者パック


預金:3102万5933円


なんだこれ、ツッコミどろこ満載!ってか初心者パックって能力なの?

初心者パックの文字に触れてみると、画面が切り替わった。


言語理解 言語発音 鑑定 収納 万能種(1粒10円) 万能鉱石(鉄鉱石1Kg2000円)


あちゃ~残念、水や食料ではなかったかー、でもちょっと待てよ。『加工』に『分離』って使えるんじゃないですか?


浜辺から森の入り口に移動、手頃な大きさの木に触れてみた。


『分離』と唱えてみた。


特に何も起こらなかった。はて?

どうしたら、この能力は使えるのか?


能力の使用には何がいるのか・・・そういえば・・・創造神様は俺の創造力を褒めていたような気がする・・・一番考えられるのは神力なのだが、どう捉えれば・・・完成したイメージが必要?


今度は完成形をイメージをしながら

『分離』と唱えてみた。


足元に木材と木の皮と葉っぱが転がっていた。

しめしめ・・・そういうことね。


能力の発動には、完成形をイメージすることが大事ってことか。

そうだ!そういえば。

今度は完成形をイメージして心の中で『分離』と唱えてみた。


できていた。


これも口に出す必要は無いってことか・・・くそう!またやっちまったよ。

あー、恥ずかしいったらありゃしない。

でも思わず口から出ちゃうんだもんなー。


あと、一つ重要なことが判明した。

この能力を使う時に神力を使って能力を使用しているということ。


能力を使用した際に、体の中から微量の神力が出ていく感覚があった。


能力の使用には、神力が必要だということみたいだ。

そして神力とは、空気中に存在している神気を、体内に取り込むことで、神力になるといったところなのだろう。


念のため、先ほど使用したあとにステータスを確認してみたが、相変わらず神力は「測定不能」のままだった。


「測定不能」ってどういうことだよ・・・膨大にあるってことか?

とりあえずは使い放題ってことかな?


何はともあれ、水問題速攻解決!


まずは先ほど確保した木材から『加工』の能力で木のコップを二個作成。


片方に海水を入れて『分離』の能力を使用。


イメージとしては、海水から塩を取り除き、取り除いた塩が何も入ってないもう一つのコップに移動。

さらに塩を除いた水から、不純物が取り除かれるイメージで『分離』の能力を再使用。


試飲してみると、普通に水が味わえました。


加えて塩もゲットしました。

多分今すごいどや顔してると思う、うんうん。

漫画なら背景にドドン!と書いてあるに違いない。

次はノンの分の水を作る、工程は先ほどと同じ、コップでは小さいので深めの皿を木材から造った。


水を飲み、満足そうなノン、うん良かった。

念のため、深めのコップを何個も作成し、水を作っておいた。


次は火か食料か・・・


待て、まずはノンのステータスを確認してみるか。

先ほどの初心者パックの中に鑑定があったから見られるだろう。


『鑑定』


名前:ノン

種族:フェンリルLv7

職業:島野 守の眷属

神力:0

体力:2043

魔力:1532

能力:人語理解Lv4 火魔法Lv9 風魔法Lv14 雷魔法Lv12


あ~、火問題解決しちゃいました。

そしてこちらもツッコミどころ満載!

ノンってフェンリルなの?

この世界のシベリアンハスキーはフェンリル?


まぁよいとして、魔法だよ魔法・・・

そういう世界なのね、俺のステータスみた時に『魔力』ってあったから分かってはいたけど。

とってもファンタジーな世界のようだ。


で、俺は魔法は使えないけど、ノンは使えると・・・

いいなー。いいなー。魔法使いたいなー。

羨ましいなー。


あと、やっぱりこいつ、人の言葉を理解できていたってことね。

犬がテレビを見るなんて聞いたことなかったもんな。


やれやれ・・・


適当に枝や落ち葉を集めてきた

「ノン、火魔法でこれを燃やせるか?」


「バウ!」

返事をすると、ノンが口から火を噴き出した。

口から吐くのね、口の中熱くないのかな?

枝や落ち葉がバチバチ燃えている。


「ノンさん結構火力すごいですねー、もう少し抑えめでお願いします」


「バウ」

分かればよろしい。

直ぐに燃え尽きてしまったので、今度は多めに木や葉っぱを集めておいた。


さて、まだまだツッコミたいことが満載だが、最後の食料問題を先に解決しよう。


あったよね、万能種って、多分これでなんとかなるだろう。

とりあえず、どこに畑を作ろうかな?


周りを見渡して見た。

たしか、野菜は海に近すぎると塩害で育たないって聞いたことがある。

海岸から離れたところに作る必要があるだろう。

とは言っても森の中過ぎると、獣に荒らされる可能性があるよな。

さっき獣っぽい気配を感じたしな。

ひとまず浜辺から百メートルぐらい離してみるか。


ここらへんかな。

どうしよう、ノンの火魔法で、足元の草木をとはいかないよな。

確実に森林火災に繋がる。


ひとまず、この万能鉱石いってみましょうか!


ステータス画面の「万能鉱石」をタッチしてみた。

ドン!

足元にそれらしき鉱石が落ちてきた。

見たところ三十センチメートルの立方体といったところ。


念のため『鑑定』してみる。


『鑑定』


『万能鉱石』 思い描いた鉱石に変更可能な鉱石、ただし、鉱石の貴重度、又は市場価値によって鉱石のサイズが変更になる


価値によってサイズが変更か、さすがに甘くはないな。

あわよくばミスリルやアマダンタイトの素材が、安々手に入るのかと思ったけど、そうはいかんようだ。

まぁいいでしょう、まずは鉄にしてみた。

サイズはほぼ変わらなかった。


『加工』鍬の先

イメージ通り鍬の先端部分ができていいた、先ほど確保した木材と嵌め合わせて、鍬が完成した。


ではとりあえず適当に『分離』で木を伐採し、十平米の更地を造った。

更に、先ほど作った鍬で地面を耕していく。


鍬を振っていると、若くなったことを改めて実感した。

鍬がとても軽く感じたのだ。

それにしっかりと地面を耕せれている。

自分の想像以上に地面に鍬が刺さる。


一直線に八メートルのラインを耕し、それを等間隔にて八本ほど作ってみた。

まずはお試しなので、家庭菜園サイズで結構。


若い身体での肉体労働って気持ちいい~!

軽く汗をかいていた。

あー、風呂に入りたい。


さて、問題の『万能種』ひとまず万能種を五十個手に入れた。

手の平の上でよく観察してみる。

黒くて楕円形の見慣れた種、どう見てもスイカの種にしか見えない。

スイカの種が万能?確かにスイカは美味しいし、水分も豊富な素晴らしい野菜だ。

でもスイカだけでやっていくのは、ちょっとしんどいぞ。

いや、ちょっと待て、見た目に騙されてはいけない。まずはこれだろう。


『鑑定』


『万能種』 種を撒いた時に、思い描いた植物や野菜、果物の種になる万能な種。成長度合いは種類によって異なり、育成方法によっては早期の収穫も可能


はいきました、初心者パックの恩恵!

いやいやいや、創造神様ありがとう!

これで食料問題も解決だ~!


玉ねぎと人参とジャガイモは必須だし・・・ネギとナスとトマト・・・アスパラにブロッコリーに・・・

思いのままに種を植えてみた。

その後、水撒きをして、とりあえずは様子見としよう。


そして

1日後、芽はでない。まぁ早々にはね・・・

2日後、芽はでない。そろそろでてこないと万能とは言えないよね・・・

4日後、まだ芽はでない。おい!いい加減まだか・・・

7日後、まだ芽はでない。創造神・・・あの爺!嵌めやがったな!




いやはやとんでもない詐欺にあった気分です。

創造神様に嵌められたと思ってしまいましたよ。

とりあえず、私はまだ何とか生き延びておりますが、これはノンのファインプレイの結果でしかありません。

あーまったく。よかった、よかった。


詳しく話そう。

種を撒いてから一日後、当然お腹は空ている。

まずは万能種の成長を待とうと思う。

当然畑への水やりは行っている。


何もしないのも何なので、家を造ることを考えてみた。

暇なので海中を覗いて見た。特に魚は見つから無かった。


種を撒いてから二日後、芽すら出てこないことに、多少イライラし始めている。

お腹が減ってしょうがないからなのか?

とりあえず、銛を作成し、海に潜ってみたものの、魚は確保できなかった。

銛突きって難しい。

どうにも身体が浮いてきて、下に潜ることが出来ない。

足につけるフィンが欲しいところだが、ゴムは流石にない。

万能種でゴムの木の種を植えようかと考えたが、やめておいた。


種を撒いてから三日後、まだ芽は出ない。

海を眺める、釣りでもしようかなと考える、でも道具は簡単につくれるが、エサをどうすればいいか分からない。

すると、ノンの鳴き声が聞こえた。

「バウ!」


「バウ!バウ!バウ!」

遠い目で声のする方に目をやると、ノンがいて何かを咥えている。


ん?大きなネズミ?

五十センチぐらいのでかいネズミっぽい獣をノンが咥えていた。


「バウ!」

えっ!これを調理して食えってことか?

ネズミか~、正直抵抗はあるが・・・背に腹は変えられん。


いただきましょうかのその前に。


『鑑定』

ジャイアントラット 森に生息する大きなネズミ 食用可


食用可なのね、よかった、よかった。

でもネズミなんだよなー。


まずは『分離』にてネズミの血抜きを行う。

さらに『分離』で皮と肉を剥がす

そして『分離』にて内蔵を取り除く、

最後に『分離』で肉と骨を分ける。


俺の目の前になんともしがたい肉が転がっている。

なんともしがたいって?


そうなんともしがたいです。何せ臭いんです。

ならば匂いを「分離」してみては?

おお~素晴らしアイデアです。

だけど匂いって分離できるものなのか?


早速試してみましょう。

『分離』匂いの基。


できた。


見た目はほぼ牛肉、うん、これは牛肉だ、そう思うことにしよう。

早速一口大に切り分け、串に刺して焼いてみた。

焼いた時の匂いは何とも香しかった。非常に食欲を刺激する。

一瞬ネズミであることが頭をよぎったが、刺激された食欲には抗えず食べてみた。


「旨い、いや凄く旨い」

なんじゃこりゃー、無茶苦茶上手いぞ。

牛肉っぽい肉質、そういえば昔、某ハンバーガー店の肉はデカいネズミの肉だっていう都市伝説的な話があったような、なかったような・・・


「ノン、どうだ?」


「バウ!」


「そうか旨いか、うん?お代わりか、待ってろよ。もっと焼いてやるからな」


「あっそうだ塩があったんだ」

串焼きにした肉に塩を振りかけてみる。

あ~!バリ旨!ムッチャ旨!


「あ~ごめん、ごめん、ノンもお塩どうぞ」

目を輝かせるノン。

もっともっととせがんでくる。


まぁ待てお楽しみはこれからだ、と俺は不敵に笑う。

というのも、実は俺は時間を持て余し、塩について実験を試みていた。


まずは海水からとる普通の塩、確かに旨い。あら塩といっていいのかもしれない。

目の粗さや大雑把な味の感じが実に良い。だがこれで本当に納得していいのか?


否!そうではない。

次に求めたのは藻塩、海に潜った際に海藻を見つけて収穫しておいたのだ。

そして海藻についた塩を『分離』にて収穫する。

藻はどうしたって?もちろん食べるのには抵抗がある、だからといって捨たりはしない、いちおう何かに使えるかもとキープはしている。


それよりも藻塩だ。

なんとミネラルに溢れた塩なのか!


「さあノンよ、これを食らうがいい!」

肉に藻塩を振りかけてやった。そして俺の肉にも。


「旨い!」


「バウ!」

ノンが相槌を打っていた。


ちなみに、毛皮と骨は取っておいたが、血は海に返した。

海藻は肥料になるかもしれないと、細かくして畑に撒いておいた。

藻塩にして塩分を抜いたから多分大丈夫だろう・・・


四日後、まだ芽は出ない。

こちらは既に、深めのフライパンと、箸とお皿を数枚作成し終えていた。

今か今かと植物の成長を待ち構えている。しかしそろそろ限界。

何が万能なんだ?腹が立つ!

だいたいの家の設計はできたので『分離』を駆使して木材を集める。


五日後、まだ芽はでない。

岩場の石を裏返してみたところ、魚のエサになりそうな虫を発見。早速何匹か捕まえて、釣りを行う。


釣果:ボウズ


ちなみに、釣り道具は『加工』にて、竿と釣針を作成、糸は草を集めて『加工』を行い糸を作成した。

アタリはあったんだけどね、ダメでした。

まぁ魚はいるってことですね。


ここで俺は荒業を思いつく。


「ノンさんや、おいで、おいで、海に向かって雷魔法をぶっ放なしてはくれんかね」


「バウ」

ノンが雷魔法を海に向かって放った。


ドーン!!!!


ものすごい落雷だった。あまりの威力に腰を抜かすかと思った。

数秒後、海面に数匹の魚が浮かんでいた。

魚を取りに行こうと海に足を突っ込んだところ。


感電した。

漫画なら、多分骨が透けて見えていただろう。


「ノンさん風魔法で、お魚さんたちを集めてくれるか?」


「バウ」


塩焼きにして、美味しくいただきました。


七日後、まだ芽はでない。

芽はでてないのに雑草は生えていた。

雑草を無理やり引っこ抜くと、根の部分が土の中に残ってしまった。

なんか無性に腹が立ってきた。


ネズミ肉と、魚のお陰で、空腹は凌げている。

しかし、何が万能種だ!もう種を撒いてから一週間だぞ。

せめて芽ぐらい生えてきてもいいだろが、あー、腹が立つ!!

あーもう、いい加減にしろ!

爺ぃコノヤロー!騙したな!!


バシュ!!!!!


俺は思わずぶっ放してしまっていた。

周り一面に大量の神気をぶっ放してしまった。

俺を中心に、金色の神気があたり一面に放出された。

そして一瞬遅れて、ばたばたと何かが倒れる音が遠くのほうから聞こえた。


「はぁ~すっきりした!」

なんだか気分がいい。

やっぱりストレスは良くないね、怒りの感情は良くない。

ストレスは溜めてはいけない。


あれ?


ん?んん?


下を向いてよく見ると、畑一面に植物が育っていた。

蔓が伸びているもの、大きな葉っぱを付けているもの。

中にはもう収穫できる作物もあった。


どゆこと?


ピンピロリーン!


「熟練度が一定に達しました。ステータスをご確認ください」


「はい?」

更にどゆこと?

ピンピロリーンって何ですの?

あと、さっきの声、どこかで聞いたことがある声だったような・・・

まぁいいや、確認しろってからには、確認してみましょうかね。


名前:島野 守

種族:人間

職業:神様見習いLv2

神力:計測不能

体力:842

魔力:0

能力:加工Lv1 分離Lv1 神気操作Lv1 神気放出Lv1 初心者パック

預金:3102万3433円


あっ!Lvと体力が上がってる。

う!やっぱり預金は減ってるのね、確認してなかったけど。


この使ったお金は、いったいどこに支払われるのかな?

まぁ、知ったところでどうしようもないのだが。

万能種や万能鉱石の生産者さんかな?

いるなら会ってみたいもんだ、多分神様関係なんだろうけど。


そして何でLvアップしたのか?熟練度?今考えてもしょうがないか。

ここは追々の考慮ポイントだろう。


あと神気操作と神気放出ってさっきのか・・・

万能種の成長には神気を与える必要があるということなんだろうか?

念の為、畑に手を付き、神気を放出してみたところ、みるみると作物が成長した。


説明書きにちゃんと書いておきなさいよ!もう。

そういえば・・・


「ノンおいで」


『鑑定』


名前:ノン

種族:フェンリルLv8

職業:島野 守の眷属

神力:0

体力:2096

魔力:1557

能力:人語理解Lv5 火魔法Lv9 風魔法Lv14 雷魔法Lv13


あっノンもLvが上がっている。

ていうか、Lvもそうだけど、体力とかノンの方が俺より高いんだけど・・・

魔力も上がっている。いいなーノン。

あー、羨ましいなー。

俺も魔法使いたいなー、エイヤー、トオーって、表現が定年を物語っているな・・・


無人島生活十日目、畑の作物が順調に育ち、やっと食うに困らなくなったので、今は本格的に家を建設中。

早く屋根のある生活をしたい。


家の建設状況はと言うと、木材の確保はできた。

屋根の表面に取り付ける予定の木の皮も揃っている。

これからは木の接合部分の凸と凹の加工を行い、その後は釘をたくさん作成する。

もちろん金槌も作成済。家のイメージはログハウス。


今、俺とノンは分業制、畑の面倒と家の建設は俺の仕事。

ちなみに畑は大幅に拡張した、おおよそ五倍ぐらい。


ノンには狩りを頑張ってもらっている。

これまでノンが狩った獣はこの通り。

ジャイアントラット・ジャイアントピッグ・ジャイアントボアの三種類。

なぜに全部ジャイアント?たしかにデカいけど・・・


ジャイアントピッグとジャイアントボアに関しては、本当にデカかった。

二種類とも立ち上がったら二メートルはあろうかというサイズ。

二メートルの豚と猪って・・・怖い。


なので食べきれず、ジャイアントボアに関しては、ほぼ丸々手つかずの状態、腐らせてはいけないと、塩漬けにして樽に保管している。


そして本日の狩りはお預け。ノンは絶賛お昼寝中。

気持ちよさそうに寝ております。

ノンのことは置いといて。


丸太を組み上げていく、さすが二十歳の肉体、三メートルサイズの丸太を軽々と持ち上げられる。

ただ、実際の二十歳の時の俺はこんなに力持ちだった覚えはないのだけど・・・異世界ドーピングってことかな?

後、よくよく考えてみたが、二十歳の時の俺ってこんなに締まった体だったか?

もう少し、我がままボディーだったと思う。

脱線してしまった。


能力を使いまくったら『加工』と『分離』がLv2に上がった。

だからなのか『加工』で最初に作っていた木材は、表面がザラザラしていたのだが、今作る木材の表面は、ツルツルになっている。


さらに『分離』がLvアップしたせいか『分離』で海水から作る水が、天然水になっていた。確かに水の味がうまくなっている。

恐らくレベルアップは、何回も能力を行ったことによるものと推測している。

そして、ぶちまけた神気だが、相変わらず神力の測定不能に変わりなし。

一体どれだけ神気を身体に貯め込んだんだか、俺にはよく分かりません!

一先ずは使いたい放題でありがたいのですがね。


無人島生活十三日目、完成しました、愛しの我が家。

ログハウス?いや掘立て小屋?倉庫?

いいじゃないか、マイハウス・・・始めてにしては上出来!

自画自賛するしか思いつかない、トホホ。


これで屋根のある生活が出来る。

でもよく見てみたら、窓が無いし・・・扉の建付けも微妙・・・


でもいいのだ!

とりあえずの目的としては、


1 雨風を防げること

2 寝る場所の確保

3 物を保管できる場所の確保


これだけできればよし!

ということで、ひとまずは満足。

屋根のある生活がやっと始まった。


これから家具をいろいろ造っていこうと思う。

まずは、木の皮から蝋燭の作成だな、そうしないと、窓が無いから本当に夜は、真っ暗になってしまう。




今は備品の作成中。

畑の水やりが終わったら、木材と万能鉱石を中心に、様々な備品を作成していく。


調理道具は、既に大体の作成が終わっている為、その他の備品を今は作成中。

まずはベットの木枠を作成した、本当は布団が欲しいが、糸は作れるがそれ以上の技術が無いため、とりあえず断念。


椅子とテーブルを造った。

そして、改めて釣り竿も造った。やっぱりインチキ無しに魚をゲットしたい。

ちなみにまだ釣果はボウズのままです。


木のコップだが、使い続けると衛生的ではないと思い、万能鉱石でアルミを使用して作成し直した。どうしてかというと、口を付ける部分の色が変色しだしたからだ。


また、ジョウロとバケツをいくつかアルミで作成した。


あと風呂代わりの大きな樽も造った。

まあ風呂とは呼べないレベルですが、水を張って、ノンに火魔法でお湯にしてもらって入浴しているのだが、完成度はかなり低い。

木材の隙間があり、ちょろちょろとお湯が漏れてしまっている始末だ。


あとは、バーベキューコンロ。

実はこれが一番ハイルーティーンで使っている。


ログハウスには換気口が無い。完全な設計ミス・・・キッチンはあるのだが・・・

我ながら残念でしかたが無い。

早くも改築を検討している。

ちくしょう!


さて、今後の方針を考えてみる。まずは何をすべきなのか?

無人島からの脱出?無人島の探索?能力の向上と開発?

否!

決まっている「サウナの建設」これ以外に何があるというのか!

ということでどんなサウナを造るのかを、慎重にかつ大胆に考えてみる。

ログハウスの反省をここに生かすべきだ!

そうだそうだ!


設計段階からきっちり考えてみる。

サウナの利用者は俺一人?ノンも入りたいのかな?

いや教えて差し上げましょう。サウナの世界を!

この世界初の、フェンリルサウナーの誕生だ。

虜になったりして・・・フフフ。


ということで、人間一人とフェンリルが一頭入れるサイズで考える。

セルフロウリュウは絶対完備。

水風呂はどうするか?これもサイズと深さについて検討が必要、広いにこしたことはないのだが、どうしたものか・・・


外気浴に絶対欲しいのは「インフィニティーチェア」あの人を駄目にするということで有名な椅子。

でも、今の能力では作成が厳しいか?・・・

なんでこんなに楽しいのだろうか?

ワクワクが止まらない!

夢のマイサウナ!

待ってろよ!マイサウナ!


悩みに悩んだ結果、マイサウナの概要が決定した。

まずは、一番重要な部分、温度を上げる心臓部の熱源装置に使用する材料だが、鉄では難ありとの判断で、アルミを使用。

ここには金は惜しまない。


いっそのこと異世界なのだからミスリルなども考えたが、性能がよくわかっていない為、今回は不採用。

それにお高いんでしょう?多分・・・


サウナ内の広さは五メートルぐらいは必要と考えたが、熱の上がり具合を考えると広すぎると判断。

狭さは我慢できる為、内部の広さは四メートルあれば十分との考えに改めた。

もちろん外壁などは木材を使用。どれだけ木材の隙間を埋めれるのかがポイント。


水風呂は深さ八十センチ広さは四メートル×四メートル、水風呂は深いに越したことはなく、広いにこしたことはないのだが、利用人数を考えてこのサイズに決定。

同時に二人で入るにはこれぐらいは必要でしょう。


当初は、水風呂は海にドボン、との考えもあったが。

体に付いた海水が乾いた後に、ベタつき感が残るだろうとのことで断念した。

やはり、細部には拘るべきなのだ。


そして問題の外気浴だが、今の俺の能力では、インフィニティーチェアーは作成できないと考えていたのだが、ここにきて状況が一変した。


サウナ建設の為に木材を『加工』

水風呂作成後に、水を貯めるために『分離』を多用したところ。


ピンピロリーン!


「熟練度が一定に達しました、ステータスをご確認してください」


とのアナウンス。

ステータスを確認すると


名前:島野 守

種族:人間

職業:神様見習いLv2

神力:計測不能

体力:842

魔力:0

能力:加工Lv3 分離Lv3 神気操作Lv1 神気放出Lv1 合成Lv1 初心者パック


預金:3072万433円


『合成』って何?


とういうことでサウナ建設を一時中断

新たな能力の獲得は『加工』と『分離』のレベルが、3にまで上がったからなのか?

これまでは、能力のレベルが上がることはあったが、新たな能力の獲得は初めての出来事だ。

どういうことか・・・


『加工』と『分離』が向上したことによる発展形として、親和性のある『合成』という能力の獲得ということなのか・・・

新たな能力の獲得には、現在の能力を高めた結果得られるものなのか・・・

いまいち腑に落ちない・・・

サンプルが今回以外にない為、結論はでない。


とりあえず新たな能力獲得を喜ぶべきところなのだろう。

分からないものは、分からない。

次に移るとしましょう。


と言うことで『合成』で何ができるかを考えてみる。

まず最初に思い浮かんだのは布製品。

大量の糸を植物から『加工』で作成し、その糸がタオルになるところをイメージして『合成』を使用してみた。


タオルができた。


素晴らしい!これは、とても使える能力だ。

というのは、始めから備わっていた『分離』と『加工』の能力は、あくまで引き算でしかなかったからだ。

『分離』は海水を飲み水にすることは出来る、これは海水から塩を引いたからだ。

『加工』は木をカップや木材に出来る、これも木を加工した作業。又、木材を『加工』にて表面を仕上げたり。木材を切る作業が出来る。

これも引き算だ。

大量の糸を集めて『加工』でタオルを造ろうとしてみたことがあったが、出来なかった。


『合成』はいわば足し算、この能力の使いどころは、実に多岐にわたるだろう。


これまで作れなかった、布製品や、石鹸などいわゆる混ぜ合わせるであったり、加える作業がこれでできる。

とても重宝する能力だ。


こうなれば今やることは、たくさんの糸の原料集め。

二日かけて膨大な糸の作成に成功した。


結果できてしまいました。

「インフィニティーチェアー」


俺、泣きそうです!

イエース!イエース!

やってやりましたよ!最高の外気浴の友を遂に造りましたよ!

あと、布団も出来ちゃいました。大変助かってます。


さらに、いろいろ試してみたところ、衣服、座布団等文化的な物がいくつも作成できた。

布ってこんなに生活に根付いていたんだなと感心しましたよ。

又、石鹸や簡単なソファーも作成した。

一気に文化レベルが上がった気がする。とても満足だ。


さて、改めて『合成』ついて話しをしよう。

まず非常に役に立っている。

何よりこの能力が無ければ、マイサウナの完成度は、低いものになってしまっていたかもしれない。と思うぐらいこの能力は万能であった。


まず、サウナの心臓部、熱源装置であるストーブにはアルミが使われている。

当初は縦と横の接合部分には『加工』を使って、凸凹を作成しジョイントすることを考えていたのだが『合成』を使うことにより接合部分が無くなったのだ。


横から見たらL字型になっている状態、この処理を行うことで、要らない隙間が無くなった。

結果、無駄な温度のばらつきが無くなる。

サウナの温度の安定と上昇にとても貢献したといえる。


更に素晴らしいのは、いくらLvが上がって来ているとはいえ、サウナ室は木組の建物である為、多少の隙間ができてしまう。

それを『合成』を使うことにより、全ての木の隙間が無くなった。


これにて、更にサウナの温度安定にも貢献できたし、何よりも、水風呂の完成度が上がり、木材の隙間の無くなった水風呂が完成した。

とても万能な能力である。


構想から五日、いよいよ遂に、念願のサウナが完成した。

やりましたよ、ええ、やってやりましたよ!

手に入れました『マイサウナ』!


感動です!

初めてのマイサウナ、興奮せずにはいられない。

早く入りたい!今直ぐ入ろう!


ということで、まずはサウナストーブに薪を入れ、ノンに火を吹かせる。

ちゃんとサウナストーブ側面には空気穴があり、酸素を取り込めるようになっている。


煙は煙突を伝って外へ出る構造なので、煙臭さは心配ない。

まだかまだかと焦る気持ちを抑えつつ、薪を入れてから十分経過、まだ充分な温度には達していない。


更に薪を投入して温度の上昇を待つ、この間に水風呂の様子を伺う。

しかしこの水風呂に水を貯めるのは大変だった。

いくら二十歳の肉体とはいえ、持てる量にも限界がある。


深めの桶を両手に持ち、何度も何度も海からの往復、おそらく三十往復ぐらいはしていると思う。

この作業だけでも汗をかき、水風呂に飛び込みたくなった。


あと水風呂の水は当然『分離』で水を天然水にした。

そして塩がたくさんできていた。

この塩の使い道も考えないといけないな・・・塩サウナ?

まだそこまでにはほど遠いが、いいアイデアだと思う。後日検討としよう。


水風呂に手を入れて温度を確認、だいたい十八度前後といったところだろうか。

少し物足りないが、これはしょうがない。

今はまだ温度調節できるほどの能力を持ち合わせていない。特に冷やすのはね。


数分待ち、再度サウナの温度を確認する。

まだまだだった。

気持ちが焦っているが、ここは一旦落ち着こう。

マイサウナ一発目だ、一番サウナのパフォーマンスがいい時に入るべきだ。


三十分後

そろそろだろうか?

おそらく七十度にも達してはいないだろうが、あれがあるから何とかなるだろう。


では、マイサウナいただきます!合掌!

本当であれば、まずは、体を入念に洗い、お風呂に浸かって体を温めてからサウナに入るのが、俺のルーティンだが。

今回はサウナの完成を優先した為、洗い場はない。

そこは後日作成ということで、許して欲しい。


「では改めまして、無人島生活初のサウナをいただこうと思います。ノン君、君も入りますか?」


「バウ!」

何だかやる気満々のノン、本当に何するのか分かってるのかな?


「元気な返事でよろしい、ではでは、さっそくさっそく」

俺はサウナに一礼し、全裸になり、タオルを持ってサウナ室に入った。


やはり少し狭さを感じる、まだいまいち目標とする温度には達していない。

ということで、始めましょうか。

セルフロウリュウ!


前もって準備しておいた水の入った桶に杓を入れ、暖炉の上に積み上げてあるサウナストーンにゆっくりと水をかけていく。


ジューっと水が蒸発する音がする、そして、蒸気が一気に発生した。

それに伴い室内の湿度が上がる、良い湿度だ。

タオルをぶん回して、湿度をサウナ室全体に行き渡らせる。

サウナ室内の湿度が上がり、体感としては温度は八十度ぐらいに達したであろう。


良い熱を感じる、汗もじっくりとかき始めた。

良い感じ、良い感じ。

横を見ると、ノンが少し苦しそうな表情をしている。


「ノン無理しなくていいんだぞ」

ノンはもう少し粘るといった表情を返してきた。


全身からいい感じで汗をかいている、とても気持ちいい。

無人島生活を始めてから、サウナに入るのは何日ぶりだろうか?

遂にマサウナを手に入れた、この世界に来る動機となったマイサウナ。

念願と言ってもいいだろう、これを毎日楽しもうと思う。

そんなことを考えながら再度横を向くと、満身創痍のノンがいた。


「ノーン!」


俺達はサウナから飛び出た。

水風呂に飛び込もうとするノンを制止して、かけ水をすることを教える。

かけ水をしてから水風呂に入る。


体から一気に熱が奪われていく。

ただ日差しが強いせいか、少し水風呂の温度が上がっており、少々もの足りない。

日除けの屋根を作ろうと決意した。


水風呂から出て、軽く体を拭く。

そしてインフィニティチェアーに腰掛け、横になる。

素晴らしい開放感を全身で感じる。

微風を受けて体の内側から熱が発散されていくのを味わう。


心拍数が徐々に徐々に下がっていく、そして呼吸に意識を集中する。

鼻から大きく息を吸って、口から細く長く息を吐く、これを何度も何度も繰り返す。

吸い込む息は空気中にある、体に良い神秘な空気を体内に取り込むイメージ。

吐く息は体の中の悪いものや疲れ、ストレスやコリを吐き出すイメージ。

これを何度も何度も繰り返す。


すると体がどんどんどんどん神聖な金色の光に包まれていく。

『黄金の整い』を終え余韻にひたった。


隣を見るとノンがとても興奮した様子で俺を見ている。


「ノンどうかしたのか?」

何とも言えない表情で、もどかしそうにしている。

するとノンが深く呼吸をしだした。


「ん?もしかして『黄金の整い』をしたいのか?」

ノンが目を輝かせて俺を見て一鳴きした。


「バウ!」


「そうか、じゃあ二セット目だな」


二セット目を終えて外気浴、ノンに説明をしながら『黄金の整い』を開始、余韻に浸った。

あー、気持ちいい。

あともうワンセットやろうかなと思い、ノンに目をやった。


「おお〜!」

思わず声が漏れた。ノンが神気を纏っていた。金色の神気に包まれている。

これはどういうことだ?


『鑑定』


名前:ノン

種族:フェンリルLv8

職業:島野 守の眷属

神力:15

体力:2096

魔力:1557

能力:人語理解Lv5 火魔法Lv9 風魔法Lv14 雷魔法Lv13


神力15って、なんで?

ノンも神気を貯めれるってこと?

んー、よく分からん。わからないことは考えない。

そんなことより、今はサンセット目。


サンセット目を終え、余韻に浸る。

そして少し考える。

いい整いだったのは確かだけど、日本の時よりも神気が薄いように感じた。

サウナを行う上では、解放感を伴う、最高のロケーションなのに何故だろうか?

この世界と日本では実際に空気中に漂っている、神気の濃さが違うのだろうか?


あとノンが神気を纏っていた。

動物でも神力を使えるということなのだろうか。

まぁ、今は考えても埒が明かない。


そんなことより、今はサウナに入れた喜びを噛みしめよう。

マイサウナ一号、これにて完成!

なんだか感慨深いものがある、こっちの世界に来てよかったの・・・かな?


ちなみにノンだが、時間が経過すると共に、神力は徐々に無くなっていった。

どういうことなんだろうか・・・

まあ気にしない気にしない、こっちの世界に来てからというもの、疑問だらけの為、もはや気にしたら負けなのだ。

と達観することにした。

やれやれだ。

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