英雄のおしまい

「これが私の罪よ。世界を沸かせて時の人になった元英雄がこんなクズとか失望したでしょ。」

 

 もう気も狂えない私の人生は代夏の幻覚と悪夢を見ながらただ寿命を待つだけになった。私以外の制裁を指名された人たちよりかはマシだけど。

 

 「それにしてもしばらく引き篭もっているうちにこの街も変わったわね。」

 

 綺麗だった街はダンジョンから出てきたモンスターにより色々な場所が壊れた。私の家は無事だったが。

 

 私が力を失った次の日に、ダンジョンからモンスターが溢れた。しかもこの街にはSSランクダンジョンとSSSランクダンジョンがあるからその二つのダンジョンの近場は大惨事になったし。この事件は世界中で起こっている。天使様は本当に全ての結界を消したのだ。

 

 代夏が元々所属していたギルドや高校も制裁で壊れたし、代夏を理不尽な目に遭わせた人はみんな天使様からの制裁で理不尽な状態に陥っている。その中には生活が苦しくて自殺したり生活費稼ぐためにダンジョンに入ってGランク難易度で死人は出てないけど重症を負う人が急激に増えたらしい。

 

「ぶっちゃけていえば世の中がこうなったのは全部私のせいなの。本当笑えるよね。」

 

 これが因果応報って奴かもね。あの時私がとても悪い事をしたから私が住んでいる街どころか世界中に影響するぐらいの罰を下された。それだけの話だった。


 「…話聞いてくれてありがと。あなたの貴重な時間を取っちゃったからその分お金をあげるわ。はい百万。…いらない?遠慮しなくて良いのよ、受け取って。

 私は『英雄』時代にお金を稼いでるのよ。この先豪邸買って贅沢の限りを尽くしても生涯を余裕で暮らせるぐらい稼いだの。それも二人分程。まぁそんな生活する気無いけど。

 良いから受け取って!そうでもしないと気が済まないの。

 受け取ってくれてありがと。」

 

 「それじゃあね、私は昔から姉弟二人で住んでいた家に帰るわ。私にはもう家族はいないけど。…あなたはちゃんと今いる家族を大切にしなさいよ。そうしないと私みたいになるから。」

 

 こうして私は帰る。代夏が居なくなり一人だけになった家へと。そして生きる。私が犯した罪を償うために。

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