弟の力

「え?」

 

 私達はボスに振り返る。モンスターが人間の言葉を話すと思わなかったからだ。

 

 それに新しい力?このボスはもしかして…。

 

「思い出したかな?お姉さん。俺が夢でお姉さんと契約してお姉さんを強くした存在だよ。

 それよりどうよその力。俺が与えたお姉さんの新しい力は全部弟くんの力なんだ。弟君の命を奪うと共に弟君のスキルも奪ってたんだ。そしてそのスキルをお姉さんにプレゼントしたんだよ。」

 

 そこまで言われてようやく気づいた。私が得た力はサポーター型の最高峰のスキルであると。日記では一人でAランクダンジョンまで入れると書かれていた、この力は本当に弟の力だったのだろう。でもなんで弟の命が私の契約の代償に?

 

「なんでって顔してるね。それはね、お姉さんにとって弟君は一番大事な人って事だよ。それも無意識に大事に思っていたのさ。」

 

 そんな事をボスに指摘される。

 

 私が弟を大事に思っていた?そんな筈ない。昔はそうだったかもしれないが今は違う。そう、あんな弟大事な筈がない。

 

 そう考えていた私にボスは言葉を続ける。

 

「そんな事はどうでもいいとして。

 お姉さんは強くしてやった恩も忘れて俺を殺そうとした。だからお姉さんも弟君の所に連れて行ってあげるね。

 大丈夫、お姉さんのパーティメンバーも一緒に連れて行くから。」

 

 ボスがそう言うとボス部屋の出入り口に透明な壁が出来た。私達は必死にその壁を破ろうとしたが破れなかった。

「無駄無駄、その壁は人間には破れないよ。少なくとも天使か悪魔ぐらい強くなきゃ。

 それよりも早くこの世とのお別れの挨拶を言いなよ。どうせ君達は此処で死ぬんだから。『ビッグバン・エクスプロージョン』」

 

 そうボスが唱えると目が痛くなるほど大きくて眩しい白い光の玉が現れて私達の方に飛んできた。

 

 そして耳が壊れるほどの爆発音と共に視界が白くなった。

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